ふくらはぎの血管がボコボコとこぶ状に膨らむ下肢静脈瘤(りゅう)。脚のむくみやかゆみ、こむら返りなどが主な症状で、命に関わる病気ではないが、重症化すると皮膚に潰瘍ができることもある。近年は、日帰りのレーザー治療が受けられる医療機関も増えている。(櫛田寿宏)

15分で終了

 東京都内の女性会社員(69)は40代後半に下肢静脈瘤を発症、太ももからふくらはぎの裏側の皮膚がボコボコと盛り上がった状態になった。「見た目が気になってスカートをはけないし、温泉にも行けなかった」と振り返る。

 3、4年前から左足が重症化し、ひどいかゆみに悩まされた。家族の勧めで今年9月、レーザー治療を受けた。

 「15分ほどで終わり、その日のうちに歩いて家に帰れた。こぶは目立たなくなり、かゆみも治まりました。もっと早く治療を受ければよかった」。今では好きなスカートをはき、旅行も楽しめるようになったと笑う。

女性に多い

  脚には、太い深部静脈とそこに川の支流のようにつながる表在静脈がある。この表在静脈の内側には、血液の逆流を防止する弁がいくつもあるが、下肢静脈瘤は この弁が壊れ、本来は心臓に戻るべき静脈血が逆流して脚の下の方の血管にたまって起こる。こぶはふくらはぎの内側にできることが多い。

 下 肢静脈瘤の治療を多く手掛ける北青山Dクリニック(東京都渋谷区)の阿保義久院長によると、弁が壊れる原因としては、加齢や運動不足、長時間の立ち仕事な どが考えられるという。腹圧が上がる妊娠中に発症する人も多く、男性よりも女性に多く見られる。40歳以上の女性の1割が発症するとされる。

 見た目を気にする人もいるが、直接命に関わる病気ではないため、積極的に治療をしない人も少なくない。しかし、「時間が経過しても症状は改善しない。放置すると重症化して治療が困難になることも多い」と阿保院長は説明する。

傷は針穴のみ

  治療は脚の付け根などから傷んだ静脈に特殊なワイヤ(ストリッパー)を通して、血管の一部を取り除くストリッピング手術が一般的だった。平成23年に血管 を切らずにすむレーザー治療が保険適用となり、手掛ける医療機関も増えている。レーザー治療は静脈に光ファイバーを挿入し、先端から出るレーザー光で静脈 内部を焼いて塞ぐ治療法。出血も少なく、傷跡もほとんど残らないなど、患者にかかる負担が軽減された。

 阿保院長は「治療は早いほうがいい。気になる症状があったら、ひどくなる前に医療機関に相談してほしい」と呼び掛けている。

 ■下肢静脈瘤の予防には

 ふくらはぎの筋肉には、静脈の血液を心臓まで送るポンプの役割がある。筋肉を鍛えるため、1日20分の早歩きをするとよい。横隔膜など呼吸筋も静脈の流れをスムーズにするのに重要な役割を果たしているので、朝晩10回ずつ深呼吸をするのが有効だ。

 立ちっぱなし、座りっぱなしも避けたい。どうしても長時間の立ち仕事をしなければならないときは、脚の静脈を保護してくれる弾性ストッキングをはくとよい。座りっぱなしのときはときどき立ち上がって脚を動かす。

 血液をサラサラに保つことも予防に有効で、水分を十分に摂取するよう心がけたい。お酒を飲むと体内の水分が失われるので、飲み過ぎには注意。たばこは血管の炎症反応を引き起こすので禁煙は重要だ。」

静脈瘤で悩まれている女性の方は、御覧下さいませ。