「 「「子供の頃からずっと一緒」「大切な人からもらった」など思い入れのあるぬいぐるみは、まさに「家族」そのもの。しかし、時間の経過とともに、黒 ずんで、破けて、ボロボロになって…。クリーニング店へお願いするのもいいが、「なんとなく不安…」と思っている人も多い。そこで、ぬいぐるみを“モノ” としてではなく“患者”として受け入れる「ぬいぐるみ病院」が登場。入院申し込みが殺到しており、現在1年待ちの状態だという。(杉山みどり)

おなかの綿の入れ変え 欠損した尻尾の再生も!?

  大阪府豊中市にある「ぬいぐるみ健康法人もふもふ会 ぬいぐるみ病院」を訪れた。通りに面した大きな窓からは、たくさんのぬいぐるみが通る人を眺めてい る。病院の待合スペースには治療を終え、“元気になった患者”らが椅子に並んでいた。まるで、帰宅を心待ちにしているようだ。

 入院から退 院までは、同病院のホームページの、(1)「申し込みページ」に患者の種類・サイズ・おおまかな症状など、必要事項を記入(2)順番がきたら、問診票と専 用の予約ページがメールで案内され、入院日を予約(3)入院(入院期間は基本的に8〜20日だが、症状により長期になる場合も)(4)無事治療を終え退院 へ−という流れになっている。

 スタンダードな入院費用は8千円から(ぬいぐるみのサイズによって異なる)。おなかの古い綿の入れ替えや、皮膚をきれいに優しく洗うという内容だ。ふかふかのベッドで寝て、“ドクター”の診察や“ナース”の看病など手厚いケアが受けられる。

  オプション(追加料金)で、傷や穴あきの縫合、手、足、尻尾などのつけなおし、刺繍(ししゅう)による再生、植毛。また、顔面・身体のゆがみ矯正や足のく ぼみ、鼻、耳などの再生。手、足、尻尾などの欠損再生など、「可能な限り対応できれば…」と同病院を運営する堀口こみちさんが説明する。

ぬいぐるみ販売から客の声で始めた「病院」

  6年前、ぬいぐるみの販売を始めた。ぬいぐるみを購入した客らから、「きれいにしてあげたいけれど、大事に扱ってくれるか不安」や「クリーニング店に預け ると、夜寂しい思いをしているんじゃないかしら」などの悩みの相談が増えてきた。堀口さんは、「お客さまにとってぬいぐるみは家族そのもの。ぬいぐるみの 病院ならば安心してもらえる」と考え、自らメンテナンスを請け負うことにした。

 洗濯ではなく「お風呂」、修理ではなく「手術」…。あくま でモノではなく「患者」として受け入れる態勢は徹底している。問診票、診察、手術、エステまで、人間や動物病院さながらの対応だけではなく、「入院してい る間、ぬいぐるみが心配。自身もさみしい」という人のための対応も考えた。

 入院中の写真を見られる家族専用のページを作り、そこでどんな 風に入院生活を送っているかの確認や、ナースへ治療に関しての質問もできる。「入院中の患者さまも、お帰りを待つご家族も安心していただけます」と堀口さ ん。また、退院時には、入院中のぬいぐるみを撮影した写真が入ったCDも渡される。

「ぬいぐるみは家族」気持ちに寄り添う

  ぬいぐるみ病院は、平成26年8月にスタートした。当初は1日に1〜2件の問い合わせだったそうだが、昨年3月にネットニュースで取り上げられ、全国から 入院申し込みが殺到した。「お困りの方がこんなに多かったんだと実感しています」と堀口さん。「順番が回ってきて、よかった」と電話口で号泣されたことも あるそうだ。「ドクターやベッド数に限りがあるので…。お待たせして申し訳ないです」

 ぬいぐるみの家族(持ち主)の層は幅広い。子供が多 いのかと思いきや夫婦やカップルをはじめ、30〜40歳代のビジネスマン(ウーマン)が多いという。「海外出張にも必ず連れて行くという男性もいらっしゃ いました。『かけがえのない存在、命そのもの』とおっしゃる方がとても多いんです」と堀口さん。

さらに充実したケアを目指して奮闘中

  現在、受け入れ体制を増強できるように検討しているという。ぬいぐるみの肌専用に開発されたオリジナルのシャンプーなどでやさしく丁寧に洗う。おなかに詰 める綿は日本製の高品質のものを使用する。堀口さんは「もっともっといい素材を探して、納得しなければ開発します!」と目を輝かせる。

 全国でも数少ないぬいぐるみ病院。「(商売として)いいところに目をつけたねといわれますが、そんなことを考えたことありませんでした。少しでも手助けできればという思いで始めました」と堀口さん。

 自分のぬいるぐみに愛着を持つ人は、「買い替え」という概念はない。人の気持ちに寄り添う「ぬいぐるみ病院」の存在は大きい。』

 

ぬいぐるみを大切にすることで、命の大切さと物を粗末に扱わない心が生まれると思います。

年末にスーパーのお菓子売り場にママと一緒に大きなミニーマウスのぬいぐるみ抱いて買い物に来ていた小さい女の子のことを思い出しました。

ミニーマウスのぬいぐるみを家にいる時も寝る時もいつも手から離しませんと言ったお母さんの言葉を思い出しました。

ぬいぐるみは、その人その人に取って大切な財産なのです。