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Western Quest

2017年07月05日 22時20分38秒 | 小説
第13章 東から来た者

晴斗たちは梅雨の晴れた日に堺市浜寺公園に来ていた。
青空の下公園の喫茶店のオープン席でお茶にしていた。
皆は暑さから冷たい紅茶を一気に飲み干した。
「最高だな。俺たちの夏が来たぜ。」
「今年の夏は明菜ちゃんと海で…」
「僕は山登りがしたいな。」
「僕はもっと多くの医学書を読んで…」
4人の少年たちは夏の空に想いを浮かべる。
「私たちも早く戦えるようにならなきゃね。」
「お兄ちゃんたちだけじゃ頼りないし。」
「僕も兄上の力に早くならないと。」
3人も同じく空に想いを浮かべていた。
「今日は七夕だし皆で短冊飾ろうぜ。」
晴斗の言葉に皆が頷いた。
一方妖怪たちも動き出していた。
「鵺、そちはのん気よの。」
二口女は先日のことを言っている。
「俺だってやる時はやるさ。何なら今からでも。」
鵺が立ち上がるとそこに襖が開く。
そこに来たのは着物に烏帽子を纏った壮年の男だ。
「何かございましたかな?」
「ご家老様、将軍陛下のご容体は?」
二口女は跪く。
「順調に復活へと向かわれておりまするぞ。」
「それはようございました。」
「ぬらりひょん様には朱の盆がついておりますのでどうぞ皆さまはご任務に。」
「だったら俺様が行って来る!出番だ貉!」
こうして人間界に妖怪が放たれた。
それを見送った朱の盆は奥の間へ戻って行く。
そこには深い闇の中で眠る老人がいた。
深い闇に顔ははっきりと見えない。
「ぬらりひょん様、報告にございまする。」
朱の盆は一枚の紙を手に取り読み上げた。
「本日は鵺殿が向かわれました。」
「それはいい。ところで計画の方だが。」
「軍師殿も次の地へと向かわれました。狐方に契約の話も順調で。」
「良かろう。して陰陽師の方は?」
「それが被害は重大で我々の計画に間に合うかが…」
「そうか。もう良い。」
「ですが陰陽師とは別の敵もこちらへ向かっている様子で。」
「やつらだな!野放しには出来ん。朧車を今すぐ呼び戻し応援に当たれ!」
「御意!」
こうして朱の盆は人間界へ向かった。
「東の地でやつらをやったともなれば我らも危うい。何としてでも…」
ぬらりひょんはそう言い再び眠りに就いた。
晴斗たちはそれを知らず公園で遊んでいた。
テニスに夢中になり時刻は6時を回っていた。
夕方の涼しい風が吹く。
「楽しかったな。今日は久々にテニスしたぜ。」
「俺もお兄さんとの兄弟対決楽しかったよ。」
「明菜はやらんぞ!」
「お兄ちゃんも満十郎さんもまだまだね。」
「晴斗君は妹離れしないとね。」
2人にそう言われ晴斗は落ち込む。
「晴斗さん、僕だけは味方ですよ。」
「小虎、俺には…お前だけしかいないのか…」
するとその時だった。
黄昏時の公園に悲鳴が響いた。
「何だ!」
皆は声の先に駆け付けた。
そこには無数の百鬼兵が市民を襲っていた。
「妖怪め、こんな時にまで!」
「とっとと片づけて七夕会やろうぜ。」
そして4人は変身した。
「妖術陰陽変化!」
変身し向かって行く。
同時に百鬼兵も4人に向かって行く。
その隙に唯たちが市民を誘導する。
「逃げて下さい!」
「ここは危険ですからあっちへ!」
慌てふためくように市民は逃げて行く。
その場には晴斗たちと敵陣営だけになる。
傾きかける日差しを背に鵺は高見の見物をしていた。
木の上から見下ろし呟く。
「もう馴れ合いは終わりだ。あれでお互い貸し借りなしだ。」
その目は覚悟を決めたように見えるも僅かに揺らいでいた。
鵺の心は白い部分と黒い部分が太極図のようだった。
次々に切り倒される敵の兵力。
爆風と煙が辺りに立ち焦げる。
そしてその先から1人の男が現れる。
緑色の着物に鎧、烏帽子と剛毛な髭に矛を持った大男だ。
「我が名は貉!妖賊百鬼魍魎軍妖怪なり!」
そう言い妖怪に変身する。
その姿は鋭い爪に牙を生やし全身の毛が逆立ち赤い目をした鼬のような怪物だ。
「貉参る!」
そう言い貉は矛を向け4人に襲い掛かる。
4人もそれぞれの武器で攻撃を受け止める。
貉は容赦なく矛で攻撃を仕掛ける。
素早い動きに4人は反撃が出来ず避けるに精一杯だった。
「こうなったら4人で攪乱させるぞ!」
晴斗の言葉に4人はバラバラになる。
そこから妖術で攻撃した。
「妖術鳳凰烈火!」
「妖術青龍激流!」
「妖術白虎烈風!」
「妖術玄武地響!」
4人の攻撃が貉を襲う。
しかし貉は回転させた矛で攻撃を切り裂いた。
そして衝撃波が4人に命中した。
「ぐあ!」
4人は倒れるも立ち上がり向かって行く。
「蛇骨婆!」
満十郎は腕輪にボールをセットし向かって行く。
軟体化させた体で襲い掛かる。
しかし貉は獣の本能で満十郎の動きを読みねじ伏せた。
「ぐあ!」
そこに守が助太刀に入る。
「バク!」
ボールをセットし貉を吸引する。
しかし貉は地面に伏せ矛を投げる。
矛は守に命中した。
「ぐあ!」
「今度は俺たちだ!猫又!」
猫又ボールをセットし晴斗と小虎は爪で襲い掛かる。
しかし貉は攻撃を避けて後ろから爪で2人を切り裂く。
「ぐあ!」
2人も倒れた。
しかし4人はそれでも諦めず立ち上がった。
「泥田坊!妖術重引地力!」
「雷獣!妖術暴雷暴風!」
「雪女!妖術氷結吹雪!」
「化灯篭!妖術火炎車輪!」
4人の攻撃が向かって行く。
しかし貉はまたも攻撃全てを撃ち落とした。
「まだだ!輪入道!」
晴斗は無数の車輪を投げつける。
貉は攻撃を撃ち落とすその隙に晴斗は間合いに入った。
「しまった!」
晴斗は剣で幾度となく斬撃を入れる。
貉は反撃に矛で突くも晴斗は身を屈めローキックを入れる。
「な!」
バランスを崩した貉に再び攻撃した。
「妖術火炎車輪!」
晴斗と投げつけた車輪が炎を帯びた回転で貉を襲う。
そこに外の3人も攻撃に加わる。
「鎌鼬!」
守は鎌鼬ボールをセットし巨大化した鎌で斬撃を入れた。
「化け蟹!」
満十郎は化け蟹ボールをセットし鋼鉄化した体でタックルする。
「影鰐!」
小虎は影鰐ボールをセットし巨大化した爪で斬撃を入れた。
「ぐあーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
貉は一斉攻撃を受け倒れる。
「おのれ!」
貉は立ち上がる。
すると晴斗が腕輪にボールをセットした。
「旧鼠!」
旧鼠装束に変身し素早い動きで縦横無尽に公園を駆け回る。
貉は獣の本能を剥き出しにし晴斗を追いかける。
晴斗は素早い動きで間合いに入り斬撃を入れる。
「ぐお!」
さらに2発3発と次々に斬撃を命中させる。
貉は暴走するように追いかけるも晴斗の俊足には追い付かない。
次々に斬撃が命中する。
「ぐあーーーーーーーーーーーーーーーー!」
「天狗!」
小虎は天狗ボールをセットし風に乗り爪で攻撃する。
「ぐあ!」
「喰らえ!」
守の鎌での一撃も命中する。
「俺も忘れんなよ!」
満十郎も鋼鉄化した体で突進する。
「ならばその鎧砕いてくれるわ!」
貉は満十郎に矛で攻撃するも傷一つつけられない。
「無駄だーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
そして鋼鉄化した満十郎は拳を握る。
その拳で放った渾身のストレートの鉄拳を貉は受ける。
「ぐおーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
貉は宙に舞い上がり落ち倒れる。
「決まったぜ…」
満十郎はどや顔で言い放つ。
「ぐ…こうなれば一先ず退散だ!」
逃げようとする貉に満十郎はとどめを刺す。
「妖術陰陽青龍激流斬!」
満十郎の斬撃が貉を襲った。
「ぐあーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」
大爆発が起こり貉は死んだ。
4人は変身を解き満十郎は落ちたボールを拾った。
「晴斗君、やったね。」
唯は晴斗に抱き着く。
「満十郎さんもかっこいいとこあるじゃない。」
明菜にそう言われ満十郎は鼻を高くする。
「だって俺は蘆屋道満の子孫だからな!」
「今回は特別だ!」
晴斗はそう言い放ち公園を去る。
それを唯も追いかけた。
「皆でやったからですけどね。」
「君の言う通りだ。」
小虎と守はそう言い2人で頷く。
「2人も協力で来たらいいんですけどね…」
道三郎はため息をつく。
こうして夕焼けの公園を後にし一同は阪堺電車に乗る。
夕日に照らされた大和川を背に電車に揺られていた。
一同は屋敷に帰り七夕会を楽しんでいた。
短冊にそれぞれの思いを書いていた。
「皆でいつまでもバカやれますように。安倍晴斗。」
「皆いつまでも笑顔でいられますように。蘆屋満十郎。」
「皆といつまでも友達でいられますように。神小虎。」
「皆がいつまでも健康でいられますように。亀山守。」
「皆と早く一緒に戦えますように。百瀬唯。」
「皆とずっと家族のように過ごせますように。安倍明菜。」
「皆と永遠に楽しくいられますように。蘆屋道三郎。」
それぞれの思いを読んで飾る7人は笑顔で溢れていた。
「皆、スイカも冷えたし花火も買って来たよ。」
鬼龍院は皆に花火とスイカを配る。
「満十郎、どっちが種遠くまで飛ばせるか勝負だ!」
「受けて立ちますよお兄さん。」
晴斗と満十郎は懸命にスイカを食べ種を飛ばし競い合う。
「晴斗君ってば子供ね…」
「お兄ちゃんも受けて立つ満十郎さんもね…」
唯と明菜はやれやれという気持ちだった。
「道三郎君、花火ってこうやって遊ぶための物なんですね。」
「小虎さん、今まで花火を何だと思って…」
「狼煙かと思ってました。」
「古典的ですね…」
無邪気な一同に守は静かに見ていた。
「これが友達なんだな。僕にもやっと友達が。」
そして後ろから手が置かれた。
「そうだよ。君ももう私の家族だ。良かったら学校に来ないか?」
晴正はそう言うと守は決意した。
「行きたいです。僕だって友達と過ごしたい。」
「部屋で医学書を読むのもいいがそれを是非友達に教えてあげるといい。」
「はい。そうさせていただきます。」
そう言い七夕の夜に守の願いは叶った。
一同は晴れた七夕の空を見上げる。
そこには無数の流星が瞬き皆が無邪気にはしゃいでいた。
そして翌日守は学園に来た。
小虎と同じ2年1組の教室に転校生として紹介された。
「皆、よろしく。亀山守です。趣味は医学書を読むことです。」
すると多くの生徒に質問攻めにされる。
「人間はいつか本当に永遠の命を手に入れられるんですか!」
「人間はどうして病気になってしまうんですか!」
こうして2年生の教室は賑やかな朝で始まった。
一方この関西の地に1人の少年が足を運んでいた。
赤い髪に緑色の瞳をした痩せ型の少年だ。
首にはDCKの文字の入った十字架のネックレスと長い包には十字の長剣。
「本当にこの地に手がかりがあるのか…」
そう言い少年は拳を握り締め俯く。
拳を解き空を見上げ呟く。
「帝…父さん…」
こうして彼は大阪市阿倍野区にやって来た。
この西の地を踏みしめ新たな決意を胸に歩き出した。
それと同時に雨が降り出し彼は土砂降り雨の中傘もなしに屋敷前に佇むのだった。
その背中はどこか虚ろにも見える。
雨に濡れた髪から滴る雫が悲しみの涙をも思わせるようだ。
そこに重い扉が音を立て開いた。
鬼龍院が笑顔で出て来た。
「お客さんが来るなんて珍しいね。君はどこから?」
「俺は東京から来た魔法戦士。友達と父さんを蘇らせるための手がかりを求めて来た。」
「かねてより聞いているよ。そのヒントを送ったのは僕だからね。」
鬼龍院の言葉に彼は疑うような目をした。
2人向き合い雨は強まり雷鳴が響く。
その光は不気味に2人を照らすのだった。

続く