彼女のデビュー作だという「氷平線」を読む。
帯には、「新官能派」などと書かれているが、この分類は彼女には失礼に当たるのではないか。
もちろん「性」を大胆に表現した箇所は、かなりの割合を占めるのであるが、いたずらに表現を派手にしたり、好奇心めいた動機も感じられず、むしろ「性」を、登場人物の設定や背景の中に、きちんと位置づけ、真正面から相対しているのだと思う。
すべて舞台は釧路、しかも主人公は、他者とのつながりの乏しい人物だけである。その「つながり」のひとつとして「性」に大きな位置を与えているのだろう。
「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「氷の棺」「氷平線」の六編の短編が収められているのだが、ひとつひとつが、ほぼ完全に独立したものであって、その筆の力には驚かされる。
久々に「うまいなあ」という小説を読んだ。
文芸春秋刊 1333円+悪税 ※三年前の発行であり、私は古本屋の検索で探して送付したもらいました。900円。
帯には、「新官能派」などと書かれているが、この分類は彼女には失礼に当たるのではないか。
もちろん「性」を大胆に表現した箇所は、かなりの割合を占めるのであるが、いたずらに表現を派手にしたり、好奇心めいた動機も感じられず、むしろ「性」を、登場人物の設定や背景の中に、きちんと位置づけ、真正面から相対しているのだと思う。
すべて舞台は釧路、しかも主人公は、他者とのつながりの乏しい人物だけである。その「つながり」のひとつとして「性」に大きな位置を与えているのだろう。
「雪虫」「霧繭」「夏の稜線」「海に帰る」「氷の棺」「氷平線」の六編の短編が収められているのだが、ひとつひとつが、ほぼ完全に独立したものであって、その筆の力には驚かされる。
久々に「うまいなあ」という小説を読んだ。
文芸春秋刊 1333円+悪税 ※三年前の発行であり、私は古本屋の検索で探して送付したもらいました。900円。