T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1249話 [ 「終わった人」を読み終えて 2/? ] 10/17・月曜(曇・晴)

2016-10-15 13:51:14 | 読書

[あらすじ・注目した文書]

    ※ ()内の薄青色の蛍光部分は筆者が補足したところ。

    ※ 黄色の蛍光部分は注目した文書のところ。

第一章 (出世競争に敗れた末の定年退職)

[あらすじ]

 田代は、メガバンクに就職し、エリート街道をまっすぐに歩いていたが、役目を目前に、社員30人の子会社へ出向そして転籍させられ、63歳になったときの3月末、定年退職した。

[文章] 

    定年って生前葬だな。

    俺は専務取締役室で、机の置時計を見ながらそう思った。

    あと20分で終業のチャイムが鳴る。

    それと同時に、俺の40年にわたるサラリーマン生活が終わる。

[あらすじ]

 田代は、盛岡市の南部高校を卒業し、現役で東京大学法学部に入った。

 東大を出た後、メガバンク万邦銀行に就職を決めた。

 同期の大卒男子は200人。

 誰もが選び抜かれた男という誇りを匂わせていた。

 どこのメガバンクも似たりよったりだが、万銀の場合は入行3年で、まず給料に差をつけられ、そして6年目、選ばれた者に初めての役職がつき、椅子も変わる。

 田代は、もちろん選ばれ、本部へ異動になった。選ばれた同期は71人で、早くも1/3になった。

 そして、田代は、39歳で支店長に抜擢され、43歳で業務開発部長、45歳で役員につながる企画部副部長に就いた。

 ここから早い者は40歳後半で役員になるのだが、社内では、次は田代か同期の西本かと噂されていた。

 49歳のある日、田代は子会社への出向を命じられ、新役員には西本が就いた。

 2年後に、本部役員の意向は不明だが、田代は、子会社の社員へと籍が変わる「転籍」を言われた。

 田代は、「ああ、俺は『終わった人』なのだ」と、頭の中が冷たくなったが、転籍を受け入れた。

 退職した日の夕餉は、娘夫婦と親戚のトシも来ての「ご苦労さんのホームパーティ」となった。

[文章] 

    席上、老人ホームの義母から送られたDVDの声の、

    「家族を守り抜いて下さったことは、どんな仕事より大きく、

    最重要なことだ」に、田代は涙腺が緩んだ。

    だが実は、俺を泣かせたほか等の理由は、

    取り立てて社会に影響を及ぼすこともなく、

    家族を守り抜き、終わったのかという小物感だった。

    とはいえ、本部の役員になったとしても、

    「散る桜残る桜も散る桜」なのだ。

    そう聞かせたものの、家族だけを守った小物感は消えなかった。

    夜も更け、俺は、トシと二人だけで飲み直した。

    「壮さんの定年もそうだけど、どんな仕事でも、

     若い奴らが取って代わる。

     俺は、『生涯現役』ってありえないと思うし、

     それに向かって努力する気が全くないね。

     あがくより、上手に枯れるほうがずっとカッコいい」

    「そうだけど、

     俺は生涯現役であろうとする気持ち、わかるし、悪くないね。

     実際、若い人が崇め、

     社会から注目される老齢現役だって多いじゃないか」

    「ああ、奴らはやっぱり天才なんだよ。

     あがいてしがみつくレベルの天才じゃなくさ、

     俳優でも作家でも……なんでも、

     世代交代と無縁でいられるヤツらは天才だよ。

     それと同列に並ぼうったって、努力でどうなるもんじゃない」

    トシは俺に忠告しているように思えた。

[あらすじ]

 翌朝、解放感が広がる田代は、「夫の退職初日だからサロンを休んだ」と言う妻の千草に、お袋のいるいる東北に温泉旅行に行こうと誘うと、一泊くらいなら付きあうと言われ、カチンときて、「じゃ、いいよ。一人で行く」と言うと、「怒らないでよ。友達と行けば?」という言葉を返された。

 妻との、これからの人生に『ときめいていた』が、現実離れした夢だったと、みじめな思いをさせられた。

第二章 (無趣味な『終わった人』)

[あらすじ]

 田代が退職して一か月が経って、五月の連休に入った。

 それにしても本当にやることがない。本当にない状態にあった。

 一か月間、朝は7時に起き、新聞を読み、朝食を8時半に終わり、掃除を終わってもまだ10時。昼食までの時間は本を読むしかない。午後も何もすることはない。

 妻から、夕食の時に、「明日の昼ご飯、いるの?」と言われ、「いる」と言う。これは、俺がどこにも出かけないことを示すので、時には、嘘を言い、時間つぶしに外出し、コンビニ弁当を食べることもあった。

 田代には何の趣味もない。ゴルフも付き合いでやった程度で面白いと思ったことはない。ドライブや旅行も特に好きでない。仕事が一番好きだった。

 二か月が過ぎ、とうとう歩数計を買ったが、散歩したものの、どうにも楽しめないでいた。

[文章]

    トシに話すると、

   「壮さん見え張らないで生きた方が得だよ。

    今までの人生とは別の人生がやって来たって思えよ。

    定年になった男たちは、

    家庭に戻るか、趣味に走るかしかないんだ。

    カルチャースクールでも老人大学でも行けって」と言われた。

    そうかもしれないが、だが、俺は行きたくない。

    区の広報誌などに、紹介されている教室へ行って、

    同じヒマなジイサン、バアサンとランチなんかして帰るのか。

    冗談じゃない。俺は嫌だよ。そんなジジババと一緒じゃないよ。

    (俺はそんな年寄りでなく若いのだ) 

   「壮さんは、まだ仕事に未練タラタラみたいだけど、

    復帰は無理だよ。

    もちろん、何らかの仕事はあるかもしれないが、

    銀行で身を削ったような仕事は絶対にない。

    残酷な言い方だけど、『終わった人』なんだからさ」

    十分にわかっている。

[あらすじ]

 田代は、体力だけはキープしたいと、スポーツジムに行ってみることにした。

 昼間のジムは、ジジババのたまり場だったが、体力測定の結果、かなり劣っていたことや、それまでの、朝酒、時代劇、昼寝を続ける毎日の連続は精神をやられると思ったからだ。

 夜の部は多くの若い人も来るなどと親切に案内してくれた鈴木というインストラクターと知り合いになる。

                           

                 次の章に続く

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