T.NのDIARY

写真付きで、日記や趣味をひとり問答で書いたり、小説の粗筋を纏めたブログ

1233話 [ 「コーヒーが冷めないうちに」を読み終えて 5/? ] 12/20・火曜(曇)

2016-12-20 10:51:08 | 読書

コーヒーが冷めないうちに・第二話

(本作抜粋による粗筋)

第二話 「夫婦」記憶が消えていく男と看護師の話 ー1ー

[第三話「姉妹」の序章―妹の手紙]

 初夏とはいえ、地上はすでに真夏並みに暑い、ある日の午後。

 喫茶店・フニクリフニクラの店内には、ワンピースの女と房木がいて、もう一人、若い女性がカウンター席で何やら書き物をしていた。

 それをカウンターの中から、時田計が眺めている。そして、内容が気になるのか、チラチラと女の手元を覗き込む。

「すみません。長居してしまって」

 女は、いま書き終えた手紙を封筒に入れながら、計に言った。続けて、

「これ……姉に渡してもらえますか」と言って、計の前に差し出した。

 女の名前は平井久美。この喫茶の常連客、平井八絵子の妹である。

「あ、でも、お姉さんなら……」と、何か言いかけて、分かりましたと計は答えた。そして、「伝言とかありませんか?」と訊ねた。

 久美は少し考えてから、こう言った。

「もし伝えていただけるなら……、お父さんとお母さんも、もう怒ってないからって……」

「お父さんとお母さんは、もう怒ってない」

 計はわざわざ声に出して言われたことを復唱した。

 久美は支払いを済ませ、丁寧にお辞儀をして出て行った。

   カランコロン

                                   

「……ケンカしてたんですか?……ご両親と……」

 計が誰もいないカウンターに向かって語りかけると、カウンターの下から、

「勘当されたのよ」と言う声が響き、八絵子が、顔を出した。

「ご両親のこと聞かれましたよね。……感じのいい妹さんじゃないですか?」

「他人にはね。……(私を)恨んでんのよ。継ぎたくなかったのよ、あの子は……」

 計は小首を傾げた。

 平井の実家は、仙台市で高級旅館を経営している。両親は八重子に旅館を継がせるつもりだったが、13年前、八絵子が家出したので、妹の久美が後を継ぐことになった。今は久美が若女将として旅館を切り盛りしている。

 久美は定期的に上京して八絵子のもとを訪れては、実家に戻るよう説得していた。

「だからって隠れなくても……」

「見たくないのよ。……顔に書いてあるのよ。お姉ちゃんのせいで私はやりたくてもない旅館の女将をやっているの。お姉ちゃんさえ帰ってくれば私は自由になれる……ってね」

 八重子は、3時間も隠れていたから腰が痛いと腰を叩きながら、出口に向かって歩き出した。

「あ、手紙……」と、計は八絵子に差し出した。だが、八絵子は、

「捨てといて」と、手紙に目もくれず、右手をヒラヒラさせた。

   カランコロン

            次の節に続く

 

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