読書三昧

本は一冊一冊がワンダーランド。良い本との出会いは一期一会。そんな出会いを綴ります。

地図を作った人びと

2018年01月26日 21時01分43秒 | ■読む
ジョン・ノーブル・ウィルフォード著、河出書房新社刊
今からほぼ40年前に、仕事で住宅地図を使い始めて感動しました。近年になって、住宅地図の誕生物語とその価値の多様性を知り、若い日の感動を思い返しましたが、本書は、同様に日常生活に欠かせない地図を製作するための先人の苦闘が描かれています。
グランドキャニオンの、針先のような切り立った頂に登り測量する場面から始まります。そして2000年程前の賢人達の考察や推論、実験などの紹介の後に、中世ヨーロッパのキリスト教世界の世界観による地図製作の停滞あるいは退歩、大航海時代の幕開け、科学技術の進展による測量・測定技術の発展を概観し、それぞれの時代の地図製作に関わった人びととその苦闘を紹介しています。
大分前に読んだ類書で、フランスが派遣した測量隊の物語を読みましたが、本書でも、その苦闘と悲惨な道行きが紹介されています。人類が切り開いた地平線と水平線の彼方を既知の世界地図に加えて行く冒険の数々と、精度の追求は正しく驚異の物語です。また、第二次世界大戦の頃からは、特に科学技術が急速に進展し、本書がカバーする2000年ころまでには、宇宙の地図も作成されているとのこと。
先人達の苦闘を掘り起こし、様々なエピソードを織り交ぜて物語る著者の力量に感服しました。600頁に及ぶ大著ですが、初版の出版から20年後に新たな知見による改訂と技術の進展を反映して章を追加したとのことです。特に理系の人にお勧めの作品です。
評価は4です。

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