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酔いどれの誇りと踊る熊たちへ愛を込めて

松本清張「断碑」を読みました・・・・・・・・・

2011-10-05 18:50:11 | 日記
新潮文庫の「或る小倉日記伝」の短編集の中の一編。

自分もそんなに熱心に清張モノを読んでいる人間ではないが、何気なく開いてみてこの「断碑」を読みました。

読了してまず思ったこと。

「何だこれは・・・・・。」

チョット気晴らし程度の気持ちで読んだだけなのに、あっという間に重々しい気分。

しかし間を置くとジワジワしてきた。

これは癖になるかもと・・。

深くて優れた評論・面白い感想文もネットで沢山読めるので、わざわざ自分の非才ぶりをさらけ出して書き残す必要もないのだけれども

それだけこの短編小説に隠れている魔物がそうさせているのかもしれません(笑)

なんだろうね


ストーリー説明は省いちゃいます。

この主人公(木村卓治)を支える妻(久保シズエ)が後半に出てきます。

感情移入しすぎてしまうほどに可哀そう。

その短い半生に、特に木村と出逢ってからの「だめんず人生」ぶりに「それはあんまりだろっ!」と思わず声を出してしまう

主人公がとにかく日常生活上でダメ男。

そりゃ、本人なりに辛い目にもあっているだろうけれども

とても友人になりたくないタイプだ。

仕事(物語では考古学界だから、研究か)に打ち込む男はステキだ!なんて消し飛びます。

熱心なんて綺麗な言葉で済まされない。もう「とり憑かれ」ている。

狂気スレスレでないと突き進めない壁が立ちはだかっていたというのも分かるんだけれも。

のめり込んでいく人間の傍にいる人はタマッタものではないよ。

主人公の親が病気になってしまったシズエに対してする処置がまた酷い。自分の息子が原因なのに!

とにかく木村卓治の考古学界でも冷遇や生い立ちの不遇なども、だから何なのよ!え?と言いたくなるほどに

勝手ぶりが炸裂している。

木村の怨念が熟していくにつれて、あの「寂寥感」を感じてくる。

だから本人だって孤独地獄のような気持ちに浸かりはじめているのは分かっていたのだと思う。

だから、勢いも任せてシズエに「すがった」じゃないの。

同情するよシズエに。これじゃ。

でも・・・しかし・・・シズエ自身の気持ちはどうだったのか?

そもそも両家の親の猛反対を押し切っての結婚なのだが。

本人たちの意思を通したのだから、これは本望?

やはり、幸せだったと思えていたのか・・・・・



カタルシスはなかった。

だが、尾を引く。

なんなんだこれは。

           ---------------------------
この50ページ満たない小説の中にギッシリと人間の持つ「因縁と怨念」の話が詰まってます。

この短編を北九州市教育委員会主催で、中学・高校生の読書感想文のコンクールがあるみたいです。

小倉にある清張記念館のホームページに告知されているのを見て驚きましたが、十代の人たちの反応は

とても興味あります。




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