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現前化しない ”愛” の物語  『シブヤから遠く離れて』  渋谷・シアターコクーン

2016-12-28 | 演劇

 

2004年の初演から12年。

初演は岩松 了が蜷川幸雄さんのために書き下ろした戯曲である。

物語の鍵を握る青年、ナオヤ役を、初演では嵐の二宮和也が演じたが、今回は『書を捨て街に出よう』で話題を呼んだ村上虹郎がナオ

ヤ役に挑戦。不思議な女マリー役には初演と同じく小泉今日子が続投する。

 

     

私、成長してない?   そう見える…成長をとめなきゃ。

 

現実と虚構の狭間を生きる、孤独な人たち。観客の心を揺さぶるミステリアスなストリー。

廃墟になった家に思いを残す青年と、蝕まれはじめたわが身をもてあます女の現前化しない「愛」の物語でもある。

村上虹郎のナオヤは、子供でもなく、大人にもなりきれず、重い過去を抱えつつ揺れる、危うく、脆い感じをストレートに演じた。

ただ発声に難があり、聞き取りにくい台詞も多い。

小泉今日子は、マリーという退廃的な役柄。ナオヤに対する想い、アオヤギに対する想い。あれこれ考えるが、まとまらず。

この妖精的なというか、魔性のおんなというか、ミステリアスな女に存在感があり、ゾッとするようなエロを匂わせたのはさすが。

トシミ役の南乃彩希は平凡。可もなし不可もなし。ケンイチの鈴木勝大は役が持つメッセージに誠実に向き合っている。

橋本じゅん、豊原功補らのベテラン陣がワキを固めた。岩松 了はセリフ無しのご馳走役。

 

  

 

 

『シブヤ~』は、蜷川幸雄さんが「こんなのどう?」と、岩松了さんに見せた『チェルノブイリの写真集』だった。そもそもその一冊の写真

集が『シブヤ~』の発端である。

蜷川さんのアタマの中に何らかの構想があったのではないか。

初演は半ば廃墟化している邸宅に、それを取り囲むように黑いヒマワリが咲いていたそうだ。

さらに言えば、この作品はヴェルディのオペラ『椿姫』が下敷きになっており、暗い記憶の狭間を浮遊する青年と、すべてから逃れよ

うとする不思議な女マリーの静かではあるが、力強い愛が描かれている。

12年前とはまた別の命をもって生まれたんじゃない、と再演した演出家はいう。

たしかに、難解といえば難解だが、この芝居から、時間とはなにか、人間が成長するとはどういうことか、廃墟のアパートの内部をみ

せないように、なんだかよくわからないが、観客にそんな質問を投げかけているように思えてならない。

 

皆さん良いお年をお迎えください。

 

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