製造間接費の差異分析(操業度差異)
2009年05月29日
カテゴリー: 工業簿記・原価計算

操業度差異を考える前に、改めて変動費と固定費との違いを考えてみる。
当社では標準原価計算を採用しており、製品Aに関するデータは以下の通りである。
(資料:製品A)
販売価額 @10万円
製造原価
材料費 @1万円/kg
労務費 @1万円/h
製造間接費(変動費) @1万円/h
(固定費) 月額100万円
基準操業度 2500時間
販売費(変動費) @0.5万円/個
(固定費) 月額100万円
一般管理費 月額100万円
ここで着目したいのは製造間接費の標準原価。
変動費については1時間あたり1万円となっているが、固定費部分は月額で与えられている。
というのも、固定費と呼ばれる原価は本来操業度(生産数量と考えてもいいだろう)とは無関係に発生するものであり、例え工場を丸々一ヶ月閉鎖したとしても固定費部分の原価は通常通り発生する。
テキストでは工場長の給料や工場建物の減価償却費、工場敷地の賃借料などが例示されていただろう。
一方、変動費と呼ばれるものは生産量に比例して発生する。
材料費然り、労務費然り、水道光熱費然り。
これらの費用は工場が稼動しなければ1円も発生しない。
言い換えれば、製品1単位あたりの原価を見積もることが可能な部分なのだ。
(固定費部分は生産量に左右されるので、製品1単位あたりの原価を見積もることは困難)
とはいえ、原価計算においては「工場内で発生した全ての原価を製造原価として処理する」ことになっているので、便宜上は「固定費予算額÷基準操業度」にて1時間あたりの固定費を算出している。
ここでいう基準操業度とは、工場設備の利用度合いを表していると考えればよいだろう。
製品Aの場合は「100万円÷2500時間=400円/h」が固定費率となる。
さて、当月の実際操業度(検定試験では実際直接作業時間が実際操業度として用いられることが多い)が2400時間だったとする。
本来2500時間稼動させることを予定していた工場だが、諸般の事情により2400時間しか稼動させられなかった。
言い換えれば「100時間も無駄に遊ばせてしまった」ことになる。
この「無駄に遊ばせてしまった」分の原価が操業度差異だ。
それ故、「(実際操業度−基準操業度)×固定費率」にて操業度差異を求める形となる。
予算差異を求める際に「固定費予算許容額=固定費予算額」としたのも、生産量にかかわらず毎月一定額が発生すると考えられるのが固定費であり、仮に工場設備をフル稼働できなかったとしても固定費の予算額には何ら影響しないのだ。