はぐれ遍路のひとりごと

観ながら歩く年寄りのグダグダ紀行

八高山2

2014-05-15 11:29:49 | 低山歩き
 歩行記録      歩行月日2014年5月10日
歩行時間:6時間55分 休憩時間:1時間20分 延時間:8時間15分
出発時間:7時10分   到着時間:15時25分
歩 数: 29、185歩   GPS距離:19.0km
行程表
 福用駅 1:30> 馬王(まおう)平 0:35> 白光神社 0:10> 八高山 0:30> 大垂(おおだる)滝 0:35>
 風倒(カザンタオ)峠 0:45> 天狗の座敷 1:10> 川近(かわちか)神社 0:05> 泉集落 1:35> 丹間バス停

観歩記
 大札山に登った後、十年以上前に購入して本箱の隅に眠っていた「花に出合う山旅」を取り出し見てみると。
何と!何と!この八高山が載っていた。その表題は「白光神社のシキミ林を歩く」となっている。それによると
「白光神社の奥の院から八高山頂にかけての林は、殆どの樹木がシキミなのだ」と紹介されている。
 奥の院に来るまでの林の中にも「シキミ」(樒)とか「サカキ」(榊)と木の名前を書いた札があったが、どちらも
似たような感じの葉だった。それにここには「ミヤマシキミ」(深山樒)もあるというが区別がつくだろうか。
 シキミは香りが良い事から別名「香花」とも言い、枝を仏壇や墓に供えたりする。また、樹皮や葉は線香の材料
だったと紹介しているHPもあった。
それ程よい香りがするのかと、葉を丸めて鼻に持っていくと、微かに良い香りがする。でも沈丁花や金木犀の
ように自然に香りが漂ってくるわけではなく、同じように葉を丸めると香ってくるハーブには、とても敵わない。
それでもこのシキミを香花と呼んだり線香を作ったというのだから、昔は臭いはあっても香りは少なかったのか。

 サカキの札を付けた木は、高くて葉も取れず見る事も出来なかった。だが低い所にあったシキミと葉が似てるが
蕾がシキミと全然違う木があった。多分これがミヤマシキミなのだろう。
その葉をむしって鼻に近づけると良い香りではないが悪臭でもない、マー普通の葉っぱの匂いがした。
ただ葉の形はシキミは若干丸みを帯びていて、ミヤマシキミとおぼしき葉は細いようだった。
尤もそんな違いを書いた植物図鑑はなかったので、確かではないが・・・・・・・・・

 
             シキミ(大崩山塊撮影)                   ミヤマシキミ?

 林が終わり尾根に出るとすぐ山頂だった。この山頂にある三角点は静岡県内に19点ある一等三角点の一つだという。
この三角点について「花に出合う山歩き」では、こんな風に紹介している。
「一等三角点の標識は花崗岩が多く用いられている。標柱の1辺は18cm、長さ81cm前後、重さは約90kg一般的には
文字を刻んだ面が南側になっている。これは南面には陽光が当たり、苔が付きにくく発見が容易だとだと言われている。
従って標石を見れば東西南北の方位が分かると言うことになる。」

成程と納得したいのだが、「文字が刻まれた面が南側」という説はうなずけない。以前にこの説を聞いてから三角点の
上に方位磁石置いて方角を調べたが、1/4程度は南ではなかった。ましては苔が付かないので見つけやすいと言うのも
眉唾のような気がするが・・・・・・・・・・・

 山頂は尾根が続く南北の景色は見えないが、東西は樹木が伐採されていて景色が見えていた。
アッ!富士山が見える。最近余り富士山を見た事がないが今日は久しぶりの対面だ。エッ見えないって?

       
                               八高山山頂

 ご免なさい。見えると言っても霞んでいるので、肉眼では見えてもカメラではズームにしないと見えなかった。
これでどうでしょうか、薄っすら写ってますよね。
 まだ時間は9時40分でこのまま帰るにしては当然早すぎる。予定ではこのまま尾根を北上して風倒峠に行く
予定だが、山頂にあった「大垂滝・林道」の標識を見ていて気が変わってしまった。
この大垂滝は厳冬期には氷結する滝とネットに出ていたので、今回場所を確認しておこうと思っていた。
だが若し厳冬期に来る気になっても、この長い尾根歩きに不安を感じていた。それが山頂から直接下るコースが
あるなら確認しておいても損ではない。そんな事を考え休んでいて、西の方角の景色を見るのを忘れてしまった。

 
           八高山より富士山                       八高山より南アルプス

 山頂の山名表示から下る笹薮の中の道は急だった。まるで滑り台をイヤ滑り台より急な下りで、笹の軸を掴み
ながら下った。とてもこんな道は登る気にはならない、そんな感じの道だった。
 笹が終わると今度は、左が杉林で右が雑木林の境を下る道になった。雑木はシキミやアセビが多く特にシキミは
いたる所にある。そのシキミの葉が道に落ちていて、まるで滑り台に蝋を塗ったようによく滑る。おかげで真っ直ぐ
立っては歩けないので、膝を少し曲げ中腰になって下るしかなかった。
今日はストックを持ってくるのを忘れていた。最近は使う使わないに関係なく、転ばぬ先の杖として持ってきていた
のに情けない。だいたい杖は突くだけではなく単独行の時には、獣に対しての武器にもなるし、蜘蛛払いにもなる。
以後は忘れないように気をつけよう。

 日の当たった所に赤いドウダンツツジが咲いていた。赤いからサラサドウダン(更紗満天星(灯台))だが山で
赤いドウダンを見るのは初めてだ。家で確認のため調べてみるとサラサドウダンは赤いと言っても、更紗模様
(濃いピンクの縦じまが入る模様)で全体が赤いわけではない。
さらに調べるとベニ(紅)サラサドウダンという種類もあったが、これもサラサドウダンに比べ赤みが強いが
全体が赤いわけではない。
さらに追及していくと、有りました。多分これだろうという花が。名前は「チチブ(秩父)ドウダン
「サラサドウダンの変種で赤花のベニドウダンが中国、四国、九州地方に多いのに対して、やはり同じ赤花の
チチブドウダンは関東地方が中心で、秩父の山地に多いのでチチブの名が付けられまた。」

ここでは一先ずチチブドウダンとしておこう。

 白い釣鐘状のアセビと赤い釣鐘状のチチブドウダンが一杯咲いていれば見事だろうが、残念ながらチチブ
ドウダンの木は3本しか見当たらなかった。

 
           チチブドウダン                          チチブドウダン

 滑り台のような道は何時までも続く。大分嫌になってきたが救いは道がハッキリしている事。踏み跡?イヤ
滑り跡はしっかり付いているし途中の木にはペンキで印も付いている。でも間違う心配はないが登りには使い
たくない道だった。厳冬期にこの道を下る? 嫌だ!嫌だ! これで雪でもあったら最悪だろう。

 25分掛かってようやく林道に到着。その山道入口にあった標識には、八高山まで1時間15分となっていた。
下り25分で登り75分。マーそこまで行かなくても1時間は十分かかりそうな道だった。

         
              目印のある山道                      山道入口

 標識には林道を右に行けば馬王平、左に行けば家山となっている。しかし大樽滝の表示は無い。持参した地理院の
地図には八高山から直接林道に下る道はないが、大垂滝は八高山より大分北(左)の方角にある。ここは左で間違い
なそうだし、家山に抜けるのもいいかもしれない。と言う分けで林道を左に進む事に。

 案ずるより産むが易し、ものの3分ほどで大垂滝に到着。滝は水量が少なくて淋しいが、写真では見えない上の方
にも滝が続いている。冬なら木の葉が落ちて滝の全体が見えるかもしれないな。でも厳冬期にぜひ来てみたいと思う
ほどの物でもない。

 林道といっても舗装がされているわけでもないし、車も全然走っていない。勿論歩いているのも私一人だ。
今日は八高山までの間で4人の単独の人とあったが、これからはどうだろう。多分貸切の山になりそうな気がする。
 林道が白っぽく見えるのはコンクリを細かく砕石した物を敷いてあるからで、その為かどうか雑草が生えていない。
特に道脇などは舗装された林道でも雑草が押し寄せてくるが、ここでは生えていない。何故だろう?
コンクリに雑草を押さえる成分が、いやそんな筈はない、それならコンクリ舗装の道は雑草が生えない事になる。
ウーン不思議だ。

   
            大垂滝             大垂滝               林道
               大垂滝の地図
 林道がチエーンで閉鎖された先が風倒峠だった。峠には「掛川のやまっぷ 林道原の平周辺」と書いてある。
中々立派な案内板で、どうやら林道を管理している元の営林署が建てたようだ。それによると今歩いて来た林道は
「原の平林道」で、この峠を右に行けば川根町で、左に下れば掛川の居尻キャンプ場に続いている。その途中には
神社があって、よく見ればバス停のようなマークもある。
峠からは南北にハイキングコースも延びていて、南が八高山、きたが?川根となっている。そして実施の山道はと
確認すると、南北の山道の入口はすぐ分かったが、どちらも標識は無かった。

 さてここから先はどうしよう。「花に出合う山歩き」では八高山からここまで尾根を縦走してきて、ここからは川根
家山を案内している。その道でも良いが残りが全て林道歩きというのも面白くない。それは掛川に下る道も同じだ。
かと言って今から更に北に向かうのは恐ろしい。なら尾根を歩いて八高山に戻るしかないな。
全く馬鹿なコースを歩いたものだ。これなら予定通り風倒峠まで尾根を縦走して、大垂滝を見ながら馬王峠まで
戻れば良かった。だが後悔先に立たずでどうしょうもない。マーチチブドウダンを見た事で良しとしよう。

 
             風倒峠                           山道入口
               風倒峠の地図
 峠から山道の取っ付きは急だったが林の中に入っても中々急な道が続いた。山道には文字の標識は無いが
目印のテープが時々あり、それにもまして白い棒の先に赤い鉄板の付いた「境界見出票」が先々にあったので
不安なく歩けた。
地理院の地図では4個目のピークが八高山になっていて、まず最初のピークに来たが表示は何もない。
ただ境界見出票がポツンと建っているだけだった。
 ピークから5分も下った所で左からの道が接近してきた。その道の方がしっかりした感じの道だ。そういえば
風倒峠の手前に八高山への標識があったが、峠に行ってみたかったのでそのまま通り過ぎてきた。きっとその
道と合流するのだろと思ったが、道は合流せず別々に続いていた。
しばし考えて峠からの道は尾根の完全縦走で、もう1本の道はピークを避けた巻道なのだろうと考えた。
ならもうピークには用はないと、楽な巻道を歩く事にした。
巻道は少しガレていたり倒木もあったが傾斜が緩く楽に歩く事が出来た。

        
                  ガレ状の巻道                       倒木があった巻道

 次のピークを巻いた先で縦走路と合流し、その場所にあった標識には、今歩いて来た道を差して「家山」とあり
尾根の道の先は「女小天狗の峰」を越して林道となっていた。
何故女小天狗の峰なのだろう? ただ小天狗ならともかく女小天狗とは・・・・・・・
 合流してからの上りの急な事、急な事、10歩歩いては立止り、また10歩歩いては立止りの連続だった。
この辺りもシキミとアセビの木が多い。そうかアセビは馬酔木と書いて動物がアセビの葉を食べると酔ったように
フラフラする事から名前が付いたと言う。そのため鹿の多い奈良公園では、鹿がアセビを食べないので公園には
アセビだけが残っているという。
ならこの山にアセビが多いのも同じ理由だろう。それに更に毒性の強いシキミは残って当然だ。となるとこの山は
毒気が充満している事になる。その為に発光現象が起り白光と・・・・・・・・・・。またいい加減な事を。

 三つ目のピークに12時丁度に着いた。標識にはこの場所を「天狗の座敷」と書いてある。さっきは女小天狗の峰で
今度は天狗の座敷。標識にはここから西にある峰を「小天狗の峰」と書いてあり、やけに天狗が多い。
この辺りで天狗と云えば秋葉山の三尺坊だが、マテヨ!天狗を修験者の事とするなら、この少し平らな天狗の座敷に
修行所(寺院)があり、小天狗の峰は新参の修験者の訓練場所。では女小天狗の峰は・・・・・・ウーン!分からない。
その当時の山岳寺院に女性の修験者がいたとは思えないし、ウーン仕方ない、では女と付くのだから優しいと場所
として、女小天狗の峰は本当の新米修験者の修行場所だ。そして小天狗の峰は女小天狗の峰を卒業したが、まだ
一人前ではない修験者の修行場だ。としておこう。

 妄想的歴史観は次から次へと湧いてくる。ここ八高山の尾根を北上して行くと大日山金剛院に続いている。更に
北上すると春埜山大光寺がある。これらの寺院は火伏で名高い秋葉山秋葉寺の修験者が修行で回った道でもある。
当時人里離れた山岳寺院でも味噌醤油米などは麓から仕入れるしかなかったろう。その仕入先は秋葉山は塩の道や
天竜川がある。だが秋葉山と離れている春埜山と大日山は、天竜川より大井川の方が近いので、大井川で荷揚げ
された物資を調達したと考えられる。そのルートが春埜山、大日山、八高山、経塚山、神尾山、地蔵峠ではないか。
そして地蔵峠がある集落は大井川に面した神尾集落です。勿論神尾とは神の最終で、所謂神の道の終点と考えれば
ドンピシャ収まりますよね。
ただこうなると八高山の名前が気になる。何しろ春埜山は883m、大日山は881m、そして八高山は813m。
これでは辺りで一番高い山と名乗るわけにはいかないだろう。だから当時は八高山ではなく白光山と呼んでいた
のではないかな。

 馬王平で修験者が麓の用事の帰りにウトウトした話は、食料を仕入れて神尾から帰る途中の修行者が、疲れから
眠ってしまったのでしょう。そして馬に乗って探しに来た先輩修行僧に注意された話が変化したのです。
エッ!注意したのが先輩ではなく王様だった? それは相撲界でも言いますよね「一枚違えば天と地の違い」とか
「虫けら同前」と。当時の修行僧も先輩後輩の違いは「王と奴隷の違い」があったのでしょう。

と、マーそんな妄想をしながら天狗の座敷で昼飯を食べました。

 
              分岐の標識                         天狗の座敷
               天狗の座敷の地図

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