忘却への扉

 日記? 気づいたこと 何気ないひとこま 明日への伝言 願い 子供たちに 孫たちに そしてあなたに・・ 

菜の花色

2008-03-29 | 追憶
 菜の花をよく見る。遠くで近くで咲いている。何月から咲き初めたのか忘れるほどの期間、長く楽しめる花だ。
 港へと走る朝、小波の青い海。後方にヨットのような三角形の帆を立てた小さな漁船が何隻も浮かんでいる。ずっと向こうに霞んだ島影。道路横に続く緩い斜面の菜の花色と似合っている。
 昔よく利用した線路の両側にも咲いていた。汽車に乗れば、できるだけ海の見える窓側を選んだ。あの頃これほどの菜の花を見ることはなかった。
 種が蒔かれ小鳥が運び菜の花畑は広がった。人々が花見に訪れる場所もある。菜の花の色に安らぎを感じる。春色の花は、見えない土中に力強い根を張っている。
 途中で思いがけず懐かしくなる、穂の出た麦畑を見つけた。その畦道にも、ぽつんぽつんと菜の花を見る。年に何度か往復する道路だが、初めてのこと。
 あれほどあった私の村でも麦畑は限られた地域に極僅かとなり、その出会いも滅多にない。久しぶりの麦畑に、見なれた菜の花の数株が気持ちを和ませてくれる。
コメント
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