今年のノーベル賞シリーズは、昨日、平和賞が決まり、あと経済賞を残すだけとなった。医学生理学賞、化学賞、物理学賞の3部門のどれかで3年連続受賞していた日本人の受賞はなく、連続受賞を逸した。
この科学3部門では、医学生理学賞、物理学賞のそれぞれでアメリカ人が3人ずつ、化学賞では欧米の3人が選ばれた。
この中で、物理学賞の受賞の理由となった重力波では、日本の研究者の研究成果が大きく貢献、関係者はアメリカ人3人の受賞を共に喜んだという。
文学賞では、今年も、受賞が期待された村上春樹氏はまたも受賞を逃し、長崎生まれで日系イギリス人のカズオ・イシグロ氏(62)が受賞した。
イシグロ氏は、5歳まで長崎に居住していたが、父親の仕事の関係でイギリスに渡り、イギリス国籍を取得したという。
作品の中には、日本で映画化された「私を離さないで」、「日本の名残」などがあり、本人の弁でも、日本がルーツであることが多くの作品の原点になっているとのことだ。
最後の、平和賞は、核兵器の非合法化と廃絶を目指す国際NGOで、今年の国連における「核兵器禁止条約」成立に貢献した「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に与えられた。
核兵器禁止条約は、核保有国や核の傘に居る日本、韓国などを除く122か国の賛成多数で可決成立したが、日本は被爆国でありながら反対した。
日本の立場は、アメリカ、ロシアなどの核保有国がその気にならなければ、核廃絶は実現できないので、これらの国の参加の無い条約には賛成できないというものだ。
しかし、日本のピースボートや広島、長崎の被爆者団体などは、このICANに参加、日本政府とは別の立場で被爆国としての役割を担っている。
今回のICANの受賞について、日本政府は沈黙しているが、核廃絶運動を進めている団体、個人にとっては朗報となった。
このように、今年のノーベル賞は、残念ながら日本人の受賞はなかったものの、日本や日本人に関係する人物、団体が受賞したことは喜ぶべきことだ。「関連:2016年10月4日」