アメリカのトランプ大統領が、昨年、オバマ大統領時に参加した地球温暖化防止のためCO2のゼロを目指すパリ協定からの離脱方針を表明した。
実際の離脱が終了するのは2020年11月になるが、CO2排出量で約16%と中国に次ぐ世界2位のアメリカの離脱は、世界が一体となって進めなければならない地球温暖化防止運動に与える影響は計り知れない。
1995年にドイツのベルリンで行われた気候変動枠組条約締約国会議(COP1)以来、欧州を中心にCO2削減対策が検討されてきたが、世界の約35%のCO2をようする米中はずっと消極的な姿勢を続けてきた。
しかし、実態として、気象、間伐など世界的に温暖化の影響が顕著になってきた中で、2015年、フランスのパリで行われたCOP21で、それまで消極的だった中国とアメリカが態度を一転、両国が加盟した中で歴史的な「気候変動抑制に関する多国間の国際的な協定」いわゆるパリ協定が合意された。
米中が、ここまで漕ぎつけるのは、一党独裁体制の中国はいざ知らず、共和党や経済界に反対の多いアメリカでオバマ大統領の努力は並大抵のものではなかった筈だ。
トランプ大統領は、選挙の公約にパリ協定からの離脱を掲げているので、いわば公約を実現したことになるが、大統領周辺でも離脱に反対する側近も少なからず居るとのことだ。
今後、地球温暖化対策は、欧州が中心となって進めていくようだが、中国もイニシアチブを握りたいようだ。
この中で、一時はCOP3で締結された京都議定書国の議長国日本の存在感は薄い。トランプ大統領に気に入られた安倍晋三首相は内弁慶に止まらず、トランプ大統領を説得するなど、もっと存在感を示すべきだ。「関連:2016年10月8日」