4月17日(現地時間)、ウクライナの危機を巡ってジュネーブで開かれたウクライナ、アメリカ、ロシア、欧州連合(EU)による4者協議は、事態の沈静化に向けた合意を共同声明として発表した。ウクライナ東部で行政機関を占拠している親ロシア派住民らに明け渡しを求める一方、罪には問わない方針だ。
17日午前に始まった協議にはアメリカのケリー国務長官、ロシアのラブロフ外相、EUのアシュトン外交安全保障上級代表、ウクライナのデシツァ外相代行が参加。予定の時間を大幅に超えて同日夜(日本時間18日未明)まで続いた。
協議後発表された「ジュネーブ声明」は、「事態の沈静化と市民の安全回復のための具体的な初期段階の取り組み」として、6項目の合意を列挙した。
その内容は ①すべての当事者が暴力を停止すること、②非合法組織の武装解除と不法に占拠された建物や公共施設の明け渡し、③明け渡しに応じた者は罪に問わない、④欧州安保協力機構(OSCE)による合意の実施状況の査察、⑤すべての地域と政治勢力が参加した憲法改革、⑥ウクライナ経済を安定させることの重要性の確認の6点。
しかし、4者協議合意後も親ロシア派が応じる気配はない。後ろ盾のロシアは「まずウクライナ軍が撤収すべきだ」(プーチン大統領)と条件を提示している有様だ。
ドネツクの州庁舎前には今もバリケードが築かれ、親ロシア派の占拠が続く。活動家の一人は「暫定政権は存在が非合法。われわれだけ退去しろという理屈はおかしい」と不信感をあらわにし、武器を捨てる様子は見られない。
ロシアのラブロフ外相は17日、4者協議合意後に記者会見。この中で「武装解除に例外はない」と注意喚起し、親ロシア派だけでなく、暫定政権に近いウクライナ民族主義過激派「右派セクター」も対象だと述べた。
これでは、何のために4者合意が成されたのか意味がない。ロシアや親ロシア派は、先ずはウクライナ暫定政権の統治を認め、行政機関の占拠を解除しなければ事は前に進まない。
ロシアは、東部地域をクリミアのように併合するつもりはなく、独立した行政区域にしたいようだが、これではウクライナに対する内政干渉になる。
やはり、ロシアはいらない血を流し、これ以上ウクライナの内戦状態の広がりを防ぐためにも、4者協議の合意を励行しなければならない。「関連:4月15日」