逝きし世の面影

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配管が地震で破損「ベントが水素爆発の引き金」の可能性示唆

2011年12月13日 | 放射能と情報操作

ベント配管、地震で破損か 東電社員、保安院に説明(2011年12月6日朝日新聞)

経済産業省原子力安全・保安院は6日、東京電力福島第一原発事故を受けて同社社員らに対して実施した聞き取り調査結果のメモを公表した。原子炉格納容器内の気体を外に逃して圧力を下げるベント(排気)を実施する際、配管が地震で壊れていたために操作が難しくなった可能性を指摘する社員がいたことがわかった。

『ベントが水素爆発の引き金になった可能性すらある』

福島第一原発のレベル7の過酷事故の『原因』とは何であるか。
東電(政府・マスコミ)はずっと『地震ではない。想定外の津波である。』と言い続けている。
しかし、もし津波以前の『地震で損傷していた』となったら、福島第一だけに止まらず現在の日本中の原子力発電所にも関係してくるので、大きく国全体の原発政策全般に関わってくる。
津波は立地に大きく影響されるが地震なら地震大国日本の原発では確率的に何時何処で起きるし、それは明日かもしれない。
地震の被害では場所も時間も選ばない。
だから東電など電力会社や原発メーカーや国は、地震での原発の破損を言いたくない。
福島第一原発では、『地震で配管が壊れていたのではないか』との疑惑は最初か囁かれていた。
3・11直後には1号基で大量の水漏れが作業員により確認され、一部マスコミでも報道されている。
今回、原子力安全・保安院が東電の社員の初期対応の『聞き取り調査』での話はこの疑惑を裏付ける。
圧力容器から溢れた蒸気が格納容器内に充満して高圧になり(格納容器の)損傷を防ぐ目的の『ベント』(蒸気の緊急放出)時に、『配管が、地震で壊れていたために、操作が難しくなった。』との衝撃的な事実が明らかになる。
津波の浸水で配管にまで損傷が出る可能性は低い。
ほぼゼロであろう。
原子炉のある丈夫な格納容器建屋ビル内の配管の損傷は、津波の半時間前の地震による破壊が疑われる。
この聞き取り調査で東電社員は『ボンベと便をつなぐ配管が地震で破損した可能性』を指摘した。
ただ、京大の小出裕章助教によると、『ベント作業が遅れなかった場合の水素爆発を防げた可能性』については、何れにしろ『多分無い。』(防げない)と否定的な見解を示している。
小出氏は、『水素爆発はベントをした後に起きています。』
『むしろベント(緊急の蒸気放出)をしてしまったということが、水素爆発の引き金になった可能性すらある』
(ベントをしても)『ベントをしなかったとしても、どっちにしても水素は漏れてしまいます。』
『やはり水素爆発は今回の(炉心溶融)事故の場合には防げなかったんだろうと思います。』
『ベントバルブの操作が、悪くしたのか、あるいはまあちょっと良くしてくれたのか』ベント作業が、『事故をどっちの方向に動かしたか。その判断は難しい。』
ただ、原発の操作が配管の損傷で(原発作業員が)『やりたい操作ができなかった。』ことは大事で、ちゃんとした検証が必要。
『東電は元々ベントの配管の耐震性を低く設計していた。』
原子力発電所には、『場所によって耐震性の高い低いの違いがある。』
『安全に重要な危機はもちろん耐震、を厳しくしなければいけない。』
しかし、『それほど安全に関係ないだろうと思ってるものは、どんどんどんどん耐震の厳しさを、低くしてしまうというですね。』
(お金のために)『そういう設計を、これまで原子力発電所はしてきたのですね。』
『多分あのベントバルブなんてものは、もうどうせ彼ら(東電)は使う気もなかったわけですから。』
『要するに本当に破局的な事故があったら使おうということ(建前)で、「ポーズ」(安心安全の宣伝・広報)で付けたバルブなわけですから。』と指摘した。

『同一原因で一度に破壊される、お粗末な原発の多重防護』

3・11から半年が経過した後、東電が公表した津波映像から驚異的な驚くべき事実が明らかになる。(東電は3~5メートルの防波堤を超える7メートルの津波の映像を、責任逃れから10メートル堤防と15メートル津波と阿呆臭い法螺を吹く)
この時に原発敷地より一段低い海岸の防波堤部分に設置していた燃料タンクなどの設備が、最初の津波の一撃で全部が破壊される様子が写されていた。
誰も文句も疑問も言わないが、原子力発電所の施設内に危険な可燃性の燃料タンクが外部に剥き出しであること自体が不思議なのです。(原発は石油燃料を使わないと、常々宣伝している)
火災や破損を避けるためには危険物は安全な地下に設置するべきであろう。(街中のガソリンスタンドは安全上地下にタンクを埋設している)
あの最初の津波で一番目に破壊された燃料タンクとは、何と全電源喪失(ブラックアウト)時の非常用ディーゼル発電機の燃料タンクだったのである。
タービン建屋の地下に設置されていた発電機が津波で水没して使用不能で、今回はまったく問題視されなかったが、運よく使用可能でも結局発電機は燃料無しで動くことは無かった。
しかも東電は御丁寧にも、この水冷のディーゼル発電機の冷却ポンプまで危険な海側の低い同じ位置に設置する念の入れようである。
例え燃料が確保されても、既に最初の第一撃で水冷ポンプが破壊されているので非常用のディーゼル発電機は絶対に稼動することは無かったのですから呆れ果てる。
これが東電や保安院などの宣伝していた原発の何重にも施されて安全安心な多重防護の正体だったのです。
同一の原因で、全部が破壊されるなど本来は多重防護とは呼ばない。
3・11で発覚したのは安全神話から生まれた『多重防護ミス』とか『多重無知・無責任』であり今回の福島第一原発事故とは、完全な『多重人災事故』だったのです。

『幸運の連続で助かった5~6号基』

3・11で破壊された1~4号基と対照的に5~6号基は無事冷温停止した。
しかし、助かったのは実は偶然のなせる業で、メルトダウンの一歩手前の紙一重の危機的状態だったのです。
辛くも生き残った6号基のディーゼル発電機は1台だけ「たまたま」水を被らない高所にあり、「たまたま」空冷式であったために津波の被害を免れた。
この空冷式の発電機は設計当初には無かった。
しかし保安院から追加の非常用発電機設置を要求され、『経費の安い空冷式を追加した』、という、まったくの偶然の『幸運』であった。
そして、「たまたま」能力に余裕があり電気を分けることができた5号基と6号基は安全に冷温停止した。
多重防護が救ったのではなくて、5~6号基では幸運に幸運が重なった『多重幸運』だったのである。
1台でも余裕がある非常用発電機が、原発一基当たり2台も設置されていて、一見多重防護がなされているかに装っていたが、日本の原発のように多様化されていない員数だけの多重化は、多重防護の発想とは真逆である単なる官僚的な『員数あわせ』であり、これでは今回の様な過酷事故は防げない。
当初のアメリカの設計段階では、より安全な(堅牢で機密性がある)原子炉建屋ビルに設置されていた非常用ディーゼル発電機は、東電がわざわざ変更届けを90年代に保安院に提出してまで海側の危険な(脆弱で機密性が無い)タービン建屋に、それも地下にすべてが移動していた。
この時か、それとも設置当初からかは不明だが非常用発電機用の燃料タンクも冷却ポンプもより危ない低い堤防部分の、まったく同じ位置に何の防護施設も無しの丸裸状態で無防備に設置していた。
安全に対する発想自体が皆無(多重安全ボケ)であるが、原発安全村の持つ体質が余りに愚劣であり救いようが無い多重怠慢である。
福島第一原発のレベル7の過酷事故は、やってはいけない見本として標本にしたいほどの典型的な『人災中の人災』だったのである。

(資料)
『福島1号機配管 地震で亀裂の可能性』
2011年12月15日

経済産業省原子力安全・保安院が、東京電力福島第一原発1号機の原子炉系配管に事故時、地震の揺れによって〇・三平方センチの亀裂が入った可能性のあることを示す解析結果をまとめていたことが分かった。
東電は地震による重要機器の損傷を否定し、事故原因を「想定外の津波」と主張しているが、保安院の解析は「津波原因説」に疑問を投げかけるものだ。
政府の事故調査・検証委員会が年内に発表する中間報告にも影響を与えそうだ。

これまでの東電や保安院の説明によれば、三月十一日午後二時四十六分の地震発生後、1号機では、非常時に原子炉を冷やす「非常用復水器(IC)」が同五十二分に自動起動。運転員の判断で手動停止するまでの十一分間で、原子炉内の圧力と水位が急降下した。この後、津波などで午後三時三十七分に全交流電源が喪失し、緊急炉心冷却装置(ECCS)が使えなくなったため、炉心溶融が起きたとされる。

一方、経産省所管の独立行政法人・原子力安全基盤機構が今月上旬にまとめた「1号機IC作動時の原子炉挙動解析」は、IC作動時の原子炉内の圧力と水位の実測値は、ICや冷却水が通る再循環系の配管に〇・三平方センチの亀裂が入った場合のシミュレーション結果と「有意な差はない」と結論付けた。
圧力と水位の急降下は、〇・三平方センチの配管亀裂でも説明できるという。
〇・三平方センチの亀裂からは、一時間当たり七トンもの水が漏えいする。

東電は二日に発表した社内事故調査委員会の中間報告で、「津波原因説」を展開、地震による重要機器の損傷を重ねて否定している。
(東京新聞)

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配管は瞬時に引きちぎれる (JUNSKY)
2011-12-13 11:00:17
広瀬隆さんの講演会(原発告発スピーチ)を聴きに行きましたが、配管の脆弱性について強調されていました。

尤も、広瀬さんの話を聞くまでもなく、地震動に反応する固有周期(すなわち建物の揺れ方)が異なる建家に接続されている配管は、強い力で押されたり引かれたりするので、(何しろ何百トンもある鉄骨鉄筋コンクリートの建家が何十cmも動く訳ですから)瞬時に破断します。
重要な配管を別々の建家に引き回すことそのものが、「設計精神」の誤りと言えるでしょう。

そういう、建築を学んだ人間なら初歩的な問題も解らないほど、『原子力村』には、専門馬鹿が多いのでしょうか?
【ホアンインゼンインアホ】(回文)とは言いますが・・・
(この回文も広瀬隆さんが披露したもの)
配管のお化け (宗純)
2011-12-14 10:20:00
JUNSKYさん、コメント有難うございます。

原子力発電所(軽水炉)とは核分裂でお湯を沸かす形式で原理自体は簡単なのですが、配管のお化けみたいな複雑な構造物であり、しかも運転時と点検の停止時とは配管温度が数百度も違う。
当然、熱膨張での歪を防ぐ目的で配管がすべて固定されていないで中空に吊られた状態になるのは原理的に仕方ないらしい。
固定すれば地震時の安全率が増すが、それでは原発が稼動出来ない。
中空に吊られた状態の配管が地震に弱いのは誰にでも想像出来るのですが、肝心の東京電力とか経済産業省、安全・保安院には絶対に想像出来ない。
これは『考えられない』ではなくて、本当の現実を想像することは恐ろしいので、『考えたくない』の間違いですね。
今年の一字が『絆』に決まったらしいが、 絆の語源は犬などをつなぐ綱で、この今年の漢字の『絆』とは、絶ち難い『いとおしい束縛』のことでしょうか。
当方の『逝きし世の面影』は政治ブログとして政府等の呆れ果てた悪行を取り上げていたのですが、今年は3・11以後には推敲する暇も無い程、忙しい忙しい。
『呆れ果てる』では長すぎる。『呆れる』なら安倍晋三ではないが一字ではなく三字になるので、今年の一字ならこれは絶対に『呆』しかありません。

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