逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

ビン・ラディン?の海上投棄、ムスリムを水葬にする不見識

2011年05月04日 | 宗教

インドの聖なる河ガンガー(ガンジス川)の聖地ベナレス(バナーラス)のガート(沐浴場)と水葬

現在水葬は法律により日本国内では禁止され、刑法190条の死体遺棄罪に該当するとされるが、聖なるガンジス川ではヒンドゥー教の最高教義の儀式の一環として行われていて、人々はここに『死にに来てガンガーに流される』ことがヒンドゥー教徒として一番大切なことであるとされている。
これは、『ヒンドゥー教が、仏教の無常観や輪廻転生を受け継いでいるため』とも言われているがチベット仏教の水葬とは扱いや様相が随分違っている。
ヒンドゥー教徒は現世の穢れを清めて(火葬)から遺骨が聖なるガンガーに流されるが、穢れていないとされる子供や聖人は火葬にせず布に包んで水葬にする。
現在の中国は衛生上火葬を推奨しているが以前のチベット仏教(ラマ教)のダライ・ラマが支配していた当時のチベットでは薪など材木資源は貴重品だったので火葬は高位のラマ僧など限られた人だけだった。
土葬も土地を所有する裕福層など少数であり、もっと身分の低い下層階級では鳥葬や水葬が一般的だったらしいが、インドの大河ガンジスとは違いチベットでは川は限られている。
輪廻転生を最高教義とするチベット仏教の鳥葬では、遺骸を小高い丘に担ぎ上げてからハゲワシなど鳥が運べる程度まで小さく解体するが、日本なら法律などにより違法行為となる。鳥葬は刑法190条の死体損壊罪で間違いなく罰せられる。水葬もラマ教では同じように小さくしてから遺骸を川に流す。
葬送行為は最もその人の宗教観、死生観が明らかになる行為で、やり方を一歩間違うとまったく同じ行為が『最大の侮辱』とも、逆に『最高の儀礼』ともなり不可思議そのものです。
身近な周りの家族にとっては困り者で、頑固な無神論者の『信念の人』だった私の父親が元気だった頃は、『葬式は無用。死体は筵に包んで川に流せ。』と何時も言っていたが、いくら『親の遺言』でも日本で本当に実行したら間違いなく警察に捕まります。

『インドとパキスタンの違いが判らないアメリカ人』

世界最大のイスラム国家は2億人を超えるインドネシアだが人口1億8千万人のパキスタンは二番目に大きいイスラム国である。
その首都近郊でパキスタン政府に秘密裏に、家族もろとも殺害する(口封じ)とは、・・ナチの戦犯でも裁判を受ける権利はあるのですよ。
しかもパキスタンの宿敵とも言える三度も全面戦争をして三度とも大敗した、宗教的な価値観が正反対とも言えるインドの風習の『水葬』にしたと言う。これ以上にイスラム教徒のパキスタン人の心情を逆なでする行為も珍しい。
米軍はインドとパキスタンは隣りの国だらか『同じだ』とでも誤解したのだろうか。アメリカ人は大喜びで9割以上の市民が大歓迎しているという。
まあ、しかし、現地のパキスタン人ではオサマ・ビン・ラディンが(生きていて欲しいと願う部族地帯の人々もいるだろうが)生きていると思う人は、何年も前から少なくなっていた。 
ムシャラフ前大統領(陸軍参謀長)自身も『ビン・ラディンは死亡している』と口を滑らせて、それが原因(アメリカが怒って)で失脚させられたとの噂もあるが、パキスタンの人々の間では『ビン・ラディンの死』は周知の事実である。
現地パキスタンでは何時、『アメリカがオサマ・ビン・ラディンの死亡を発表するのか?』という『疑問?』があっただけだった。 
2ヵ月後の7月からアフガンからの米軍の撤兵が開始されるが、9・11事件から10年経ってようやくオサマ・ビン・ラディンも『役割が終わった』ということだろう。

『ビン・ラディンと9・11との関係は』

ビン・ラディン『容疑者』ですが同時多発テロは『テロ』でも、1998年のアフリカのケニアとタンザニアのアメリカ大使館同時爆破テロの容疑でアメリカの逮捕状が出ている。
しかし、2001年の9・11事件ではアメリカを含む何処の国の捜査当局の何の訴追も受けていません。
ビン・ラディン容疑者の『容疑の内容』は、あくまで法的にはアメリカではなくてアフリカの『アメリカ大使館爆破』の同時多発テロですよ。
9・11事件直後に当時のブッシュ政権は、『ウサマ・ビン・ラディン率いる国際テロ組織アル・カーイダの犯行である』だと断定した。
当時ビン・ラディンが居住していたアフガニスタンのタリバン政権に対して、身柄を引き渡す様に命令したが、タリバン政権は当たり前ですがビン・ラディンが9.11の犯人である確たる証拠の提示を求めたのです。
このタリバン政権の当然の要求を無視『ビン・ラディンを引き渡さなかった』としてアメリカは『テロとの戦争』に突入していくのですが、アメリカとしては『有罪の証拠』と言われても出したくても無い物は無い。
いくらアメリカでも『無い袖は振れない。』のですね。
アフリカ諸国の米大使館爆破では多分ビン・ラディン(アルカイダ)がやった可能性が高いが、それとは大きく様相が違うアメリカ国内の9・11事件の犯人であるとの確実な証拠は全く無い。
現在アメリカが示している証拠なるものですが、あれでは9・11でビン・ラディンを訴追しても有罪には出来ないでしょう。
今回の殺害ですが、嘆かわしいですね。
関東軍の張作霖曝殺の謀略事件と、どれだけの違いがあるのか。あるいは無いのか。
あれはアメリカが容疑者だと言っているだけの個人を襲撃して家族や周辺の使用人まで殺害した明白な国家によるテロ行為であり、許されざる卑劣で残忍な国家犯罪(テロ)です。
アフガンで軍閥勢力の武装解除に尽力した東京外国語大学教授伊勢崎賢治さんは『生きて逮捕しないと、何の意味も無い』と言い切っていますが、全く同感であり、あれは単なる『死人に口無し』で不都合な真実を消す為の姑息な口封じですね。
意味はほとんどありません。
意味があるとしたらですが、アメリカ軍の対テロ戦争の口実が死んだのですから、戦争継続の意味が無くなる。
ビン・ラディンの水葬とは、7月から始まるアメリカ軍の負け戦アフガン戦争からの撤兵の為の宣伝工作のひとつ程度の話である。


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ビン・ラディン殺害事件の意味は (愚樵)
2011-05-05 18:27:04
ビン・ラディン殺害事件そのものに大した意味はない。仰るとおりでしょう。あるとすれば、時期にある。なぜ、アメリカはこのタイミングでビン・ラディンを殺害したのか。

>7月から始まるアメリカ軍の負け戦アフガン戦争からの撤兵の為の宣伝工作のひとつ

そういうことですが、この撤兵が意味するところが大きい。ソ連のアフガン撤退と同様の意味を持つ。先のFRBの「アメリカ、さよなら!」宣言と併せて考えると、これらの事象が指し示す方向はかなり明白ですね。その大きな流れで捉えれば、たしかに今回の事件は「些細な出来事」でしかありません。

しかし、それにしても。いくらデッチ上げられたものだとはいえ、あれだけ世界を震撼させた「テロリスト」の死が「些細な出来事」でしかないとは。この世界はどこまでクソッタレなのか。本当に嫌になります。
アフガンのカルザイ大統領 (宗純)
2011-05-06 12:10:09
愚樵さん、コメント有難う御座います。

パキスタンの首都近郊でのCIAが主導したアメリカ軍特殊部隊によるビン・ラディン暗殺で、アフガニスタンの大統領は、『主戦場はアフガンで無いと言い続けていたがそれが証明された。』
『これ以上の攻撃(戦争)を止めて欲しい。』言っています。
このアフガンのカルザイ傀儡政権の発言は、日本のマスコミ報道では『タリバンに対して』言ったとなっているが戦争とは、タリバンであれ誰であれ一人では出来ないのですよ。
敵味方の両方が必要であり、それならこの『戦争を止めて欲しい』の言葉の相手(主語)はタリバンとアメリカ軍の両者と解釈するべきでしょう。
そしてタリバンはアフガン土着の原理主義勢力で、もう一方はカルザイ政権のスポンサーである外国の遠征軍。
カルザイ大統領でもタリバンでも誰でもですが、アフガニスタン人は例外なく、外国軍の、アメリカ軍に戦争を止めて欲しいのです
マスコミの言うところの「テロリスト」の死が役立ちとしたらですが、
私としては、パキスタン人の多くが信じている様に既に大分前に死んでいたか、生きているとしたらビン・ラディンはパキスタン辺境トラバルト地域ではなくて、とっくの昔にヒゲをそり落としてアメリカのマイアミの保養地にでもいて、優雅に暮らしている可能性が十分にあると思っています。
ビン・ラディンは元々アメリカ情報機関の支援の下で有り余る財力を使った対ソ連用のテロ活動に対して財政支援していただけであり、自分自身が戦闘していた訳ではないのです。
又アメリカとしても折角大変な努力で作り上げたエージェントを無駄にはしないでしょう。

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