逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

欧州銀行のリスク・エクスポージャーが3000億ユーロ

2011年09月24日 | 経済

エクスポージャー(exposure)の言葉は、危険などに『晒される』とか秘密や悪事などの『露見,暴露,摘発』の意味で、IMF報告書の欧州銀行のリスク・エクスポージャーの数値とは、欧州の各行が保有している破綻リスクに晒されている不良債権の総額という意味となる。
ギリシャの短期国債の金利は2011年9月時点で年55%を超えていて、サラ金(高利貸し)の金利の数倍に膨らんでいる。
これではギリシャでなくても誰であれ破綻は避けれない。
問題は今後ギリシャが破綻するか破綻しないかでは無くて現在が『破綻状態である』と見るべきであろう。
ECB(欧州中央銀行)が必死に支援して先送りしているが、総額1100億ユーロ(1400億ドル)の緊急融資を行なうギリシャの借金(2360億ドル)とは、経済規模が大きい他の欧州各国と比べると実は『小さい』問題にすぎないのです。
CDS(破綻保険)市場のギリシャ国債を保証するコストが過去最高値で、今後ギリシャがデフォルト(債務不履行)に陥る確率が91%となっている。
ギリシャの金融破綻が秒読みとなっている中、他のヨーロッパ各国の破綻保険の保証コスト(破綻する確率)も確実に上がっている。
人口1100万人のギリシャ以外でも財政状態が悪い(破綻確率が高い)ポルトガル、アイルランド、イタリア、スペインまでもが破綻確率が3割以上となっていて、ギリシャの金融破綻がこれ等のPIIGSといわれたヨーロッパ各国にもドミノ的に影響を及ぼすと市場は見ている。
スペイン、ポルトガル両国の格下げに続きイタリア国債も格下げされている。
もしもドミノ破綻が発生すればジャンク債の最悪のギリシャ国債の半分を所有するフランスや欧州最大の債務国(借金大国)イギリスも無事では済まない。
この大変に時期に仏英両国が主導して、アルカイダとの関係が深いといわれているアフガン帰りのイスラムのムジャヒディンの武装勢力を支援して、対岸のアフリカの石油大国リビアのカダフィ政権を潰した原因(目的、動機)とは、決してフランス大統領サルコジの言うような独裁政権の人権問題ではないことだけは確かである。

『欧州銀行のリスク・エクスポージャーが3000億ユーロ拡大と推計』IMF=報告

国際通貨基金(IMF)は21日、国際金融安定性報告書を発表し、欧州債務危機によって、欧州の銀行のリスク・エクスポージャーが3000億ユーロ拡大したとの推計を示し、銀行の資本増強を促した。
IMFは報告書で、銀行が過去2年間で直面したソブリン信用リスクの高まりを試算したと説明した。
報告書では、本格的なストレステスト(健全性審査)に基づく算出が必要とされる具体的な資本増強額には言及されていない。
複数メディアは前月、IMFが欧州の銀行は2000億ユーロの資本不足に陥る可能性があると推定していると報じた。
報告書はこれについて、2000億ユーロは資本不足の確固たる額ではないと言明。
今回の推計は、国債価格の下落に伴い、リスク・エクスポージャーがどの程度高まったかを見極めるものとし、銀行資産価格の下落や資金調達コストの上昇を考慮すると、全体で3000億ユーロ拡大すると説明した。
IMFはまた、欧州の債務危機は新興市場国の銀行に飛び火する恐れがあるとの見解を示した。
欧州の危機を受け世界経済の成長ペースが急減速し、資本フローが突然反転した場合、新興市場国の銀行のバランスシートは最大6%ポイント縮小する可能性があると推計した。とりわけ中南米の銀行がぜい弱であると同時に、アジアや東欧の銀行は資金調達コストの上昇に伴う影響を受けやすいとの見方を示した。
さらに、財政赤字抑制への取り組みにおける欧州や米国の対応能力に対し、市場が疑念を持ち始めており、デフォルト(債務不履行)リスクをめぐる懸念が高まっていると指摘した。
[ワシントン 21日 ロイター]

『欧州銀の損失、21兆円超』債務危機の波及警戒―IMF報告
 
【ワシントン時事】国際通貨基金(IMF)は21日、最新の世界金融安定性報告(GFSR)を発表し、ギリシャに端を発したユーロ圏債務危機によって、欧州の銀行が2000億ユーロ(約21兆円)を超える損失を計上する恐れがあるとの推計を示した。
記者会見したビニャルス金融資本市場局長は、ギリシャなど危機国の銀行との取引に伴う損失を含めると、『影響は3000億ユーロに及ぶ可能性がある』と警告した。
報告は、債務危機の金融システムへの波及に強い懸念を表明。
先進国に財政不安の払拭に向けた政策対応の徹底を求めるとともに、銀行の資本増強の重要性を訴えた。
IMFによると、欧州の銀行はギリシャの債務危機が顕在化した2010年以降、ユーロ圏危機国の国債保有に伴う損失リスクが拡大。
市場のターゲットとなり利回りが急上昇したギリシャ、アイルランド、ポルトガル、ベルギー、イタリア、スペインの6カ国分だけで、推計される損失は2000億ユーロに上り、これらの国の銀行との取引による信用リスクも含めると損失額は3000億ユーロに膨らむ可能性がある。  [時事通信社]

『2ヶ月で120倍に膨らむ?』

欧州銀行監督局は7月15日、欧州連合(EU)域内21カ国の主要90行の健全性を審査したストレステストで、資本不足額は計25億ユーロ(約2800億円)と発表して周りの関係者全員から『嘘でしょう。』と言われていた。
日本の経産相もストレステストで安全性を確認して原発を再稼動させる心算なのですが、このような身内だけで行うストレステストの信憑性(信頼後)は限りなく低い。
EU圏内の銀行は『ジャンク債』か『投機』レベルの格付けのギリシャ、アイルランド、ポルトガル、スペインの国債を1.1兆ドルも保有している。
資本不足額はたったの25億ユーロとの欧州銀行監督局のストレステスト(健全性審査)と、今回の国際通貨基金(IMF)の欧州の銀行のリスク・エクスポージャーが3000億ユーロとの報告との差が大きすぎて話にならない。
IMF報告書は、本格的なストレステストでは無いので具体的な『資本増強額』では無いかの様に装うが、先月の8月時点でIMFが欧州の銀行は2000億ユーロの資本不足に陥る可能性があると推定していた。
IMF報告書はこれについて先月の2000億ユーロは資本不足の『確固たる額ではない』と報告書の重大性を薄めようと必死に努力しているが、そもそもリスク・エクスポージャーの言葉の意味とは潜在的な『資本不足』を指しているのですから、なんとも苦しい言い訳である。
それにしてもイギリス系の世界最大の国際通信社ロイターと日本の時事通信とで同じ日の同じIMF国際金融安定性報告書が題名から内容まで微妙どころか数字が大きく違っているのには驚き呆れる話である。
ユーロ危機が21兆なのか32兆なのかが不明だが、今回は報道する通信社さえ大混乱する有様であり、額が大きすぎて実感が無いが何れにしろ欧州ソブリン危機は深刻で将来の破綻は確実らしい。

『アメリカ第二の巨大銀行バンカメ救済』

米経済誌フォーブスが21日発表した2011年版の米長者番付で1位は18年連続でマイクロソフトのビル・ゲイツ会長(55)。資産総額は590億ドルで、昨年から50億ドルも増加している。
リーマンショック以後に世界の金融界が大混乱し信用収縮が起きているが、今回ヘッジファンドの雄、ジョージ・ソロス(81)が7位に入り、初めてトップ10入りを果たした。
7位に入ったソロス氏の資産総額は220億ドル(約2兆円)で前年比で78億ドルも増加している。
欧州やアメリカの債権危機を回避する為にジョージ・ソロスは今春になって全ての米国債売却を行っていた。
資産390億ドルで2位の著名投資家のウォーレン・バフェット(81)以外のトップ20は金融危機の中でも、すべてが過去1年間に自己資産を増やしている。
唯一減らしたウォーレン・バフェット氏は資産総額が前年比60億ドル減だった。
バフェットは今回バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に50億ドルを出資しているが、2~3年後の結果がどうなっているかが注目される。
このバンカメは2008年に破綻確実のサブプライムローンのカウントリーワイドやメリルリンチを買収(「破綻回避」救済目的でオバマ政権に買収させられた?)して、大量の不良債権を抱えて破綻危機が囁かれている。
バンカメの自己資本は2220億ドルに対して損失額として推定されるのは1000億ドルから2000億ドルの物凄さ。
これまでバフェットの投資は一時的に問題をおこした企業に投資し富を構築してきたが、2008年には破綻寸前のゴールドマンサックスへ50億ドル投資し(政府のAIG救済で)CDS取引で満額返済され、オバマの連邦政府によって税金で助けられ大儲けしている。
ちなみにウォーレン・バフェットはオバマ大統領誕生の影の主役であり最大の後援者であると言われているので、不思議に見えるバフェット錬金術のネタは案外単純な構造だったのである。

『米連邦準備制度理事会(FRB)QE3発動見送り』

21日、FRBの金融政策運営を決める連邦公開市場委員会(FOMC)は短期の米国債売却による長期国債への買い替えを決定する。
FRBは、『国際金融市場の緊張を含め、景気の先行きには深刻な下振れリスクがある』と危機感を表明するが、FRBが量的緩和第3弾(QE3)に踏み込む考えが無いことも明らか。
(ゴールドマンサックスなど一部投機筋は盛んにFRBのQE3実施確実を宣伝していた)
ところが期待されていたFRBの新たな金融緩和策が米国債の大量購入(QE3)ではなくて買い替えと言う、効果が期待できない決定であった為に、デフォルトの警戒感から市場は敏感に反応して株価と通貨(ユーロとドル)のダブル暴落と、『円が一番安全』との思惑から75円台突入目前という記録的な円の上昇を引き起こしている。
政策金利であるFFレートの誘導目標を0~0.25%とする事実上のゼロ金利政策を少なくとも2013年半ばまで継続するとの方針だが、ゼロよりも低い金利は無いの米連邦準備理事会(FRB)の行える金融政策は完全に限界を来てしまった模様である。
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4 コメント

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通貨戦争もいよいよ最終局面か (愚樵)
2011-09-25 08:11:40
・宗純さん、こんにちは。

破天荒な数字がゾロゾロと並んでいますが、我々の感覚からはほど遠い「彼岸の世界」という感じですね。こんな世界は日々を良心的(庶民的あるいは小市民的)に生きている人間には理解不能です。良心を【良心】へ、さらには【悪心】にまで変換させなければ不可能。とはいえ、良心的な者からみれば「彼岸の世界」で起こっているようにみえることは紛れもなく社会現象ですから、同じ社会でくらいしている庶民・小市民も巻き込まれることは必至です。

もしかしたら原発で騒ぐ余裕すらなくなりかねない。

ドルvsユーロの通貨戦争も、そろそろ最終局面といった様相ですね。FRBはQE3を見送り、量的緩和でさらに儲けを企んでいた強欲共は、利益を確定させるための新興国から資金を引き揚げだした。一部は金・銀からも撤退しているようで、ゆえに一時的にドルが値上がりしているようですが、もしかしたらこの値上がりがドルの「終わり」なのかもしれません。もはやアメリカの実体はスッカラカンのですから。あるのは軍事力だけ...、おっと、その手はまだアメリカには残っていますね。その場合、鍵は財布となる日本ですかね。
(菅が止めたのは、オバマから米国債の棒引きを迫られたからという噂もありますね)。

ドルはもはや張り子のトラですが、一方の欧州ユーロも深傷を負っている。ギリシャがダメダメなのはずっと以前から分かっていたはずですが、それでもユーロに引き入れたのは、やはりヨーロッパ文明発祥の地だからでしょうか。「【平和】の祭典」(←【 】に留意のこと)だっていまだにアテネで聖火ですし。

ユーロの戦略としては、ドルを無力化することで「合衆国」を解体し(そう考えれば、EUのリビア進出も理解出来ます)、「合州国」へとしてしまうことでしょう。「合衆国」は対テロ戦争だのなんだのと、あまりに好き勝手をやり過ぎましたからね。ただ、その前に自身のユーロが崩壊しては目も当てられない。だから手当てに必死ですが、陰謀論を支持するブログを見回ってみると、こちらは何とかなるだろうという意見が多い。鍵はスイスフランでしょうか。スイスにどれだけ「実弾」が貯め込まれているか。通貨など所詮は紙切れですから、最後にものをいうのは「モノ」です。

日本は、橋本政権時代に企てたアジア版IMF構想をクリントンに潰されたのが今さらながらに悔やまれます。それだけの「実力」がなかったと言えばそれまでですが、もし、それが成っていたら、ドルvsユーロの戦争を高みの見物とまではいかないまでも、余裕をもって見ることが出来たでしょう。もしかしたら漁夫の利を占められたかもしれない。今、その位置にあるのは中国ということになりますかね。

このまま行くと、日本もドルの崩壊とお付合いさせられることになりそうです。危ないと囁かれているバンカメあたりが逝くと、3大メガバンクも同時に飛ぶ可能性もある。三○住○あたりは生き残るかもしれませんが。

「日本国」として出来る最終手段は政府通貨の発行ですが、これは禁じ手とされているようです。場末のブログ当たりで騒ぐ分には同ってことはないようですが、それなりに影響力のある人間が口にすると「闇」がやってくるようです。小沢一郎を陥れた連中と同族ですね。そしてその連中は、日本国の実質的な支配者でもある。

そうなると「日本人」に残された手は、自主的な通貨の発行ということになりますが、おカネはお上が作るモノというマインドコントロールに冒されているので、その可能性すら思い浮かびません。それを唱えても気が狂っていると思われるのが関の山。となると、後は個人で防衛策に走るしかないということになってしまいます。残念ながら。

このような状況では、都市は不利です。私も故あって現在は地方都市に居住していますが...、その選択をせざるを得なかったことが返す返すも残念。以前の場所で暮らしてれば、台風12号の攻撃をマトモに喰らっていたことにはなりましたが、それでも防御策のオプションはこちらよりも遥かにある。もしかしたら12号による被害は、防御策をさらに高める地域の連帯感を高めることにすらなったかもしれません。

と、ツッコミどころ満載のコメントをさせていただきました(笑) 不真面目ですので、どうぞご批判ください。
アメリカンドリームがナイトメア(悪夢)に変る時 (宗純)
2011-09-25 11:12:43
愚樵さん、コメント有難うございます。

今回の話は風呂敷を広げすぎた感があるのですが、
『ドルvsユーロの通貨戦争』との見方も出来るが、今その両方が崩壊寸前なのです。
しかし、強欲資本主義のカタルシスが目前に迫っているのだけは確実なようです。
国家をバックにして通貨は信用を得ているのですが、この原則に反する無国籍な国際人造通貨『ユーロ』ですが、決してドルに対向する目的で作られたものではなくて、弱体化してドル一本では支えきれなくなったので、その補完通貨として創設されたものでしょう。
ユーロは決してドルに敵対するものではありません。
その逆です。
EUには加盟しても決してユーロを導入しないイギリスは欧州の国ではあるが米英同盟の特別の存在であり、英国のユーロ導入が無い事実が『ユーロの持つ意味』を物語っているでしょう。
そもそも国家とは無関係な『ユーロ』には根本的な矛盾が内包しているのです。ユーロでなければ今回のギリシャ危機は決して起きていないのですね。
今回のドル体制の崩壊の意味とは何か。
これは間違いなく今までの世界が信じていたアメリカン・ドリームの崩壊を意味しているでしょう。
この『夢が実現する』とのアメリカン・ドリームの正体ですが、そもそも『夢』とは今のように 『希望』 や 『願望』 というポジティブな意味を獲得したのは極最近の話であり、少なくとも、近代以前はそうではなかった。
フロイトは『人間の深層心理が反映されたもの』と考えたし、それ以前の古い世界では夢とは『あの世のメッセージをこの世に伝える霊的で恐ろしい現象』でネガティブなものだったはずです。
愚樵さんは、『素晴らしい夢』なんかを、本当に見たことがありますか。
皆さんが普通に経験している事実は正反対であり、私達が普段見る夢は決して『素晴らしい夢』なんてものは見ないのですよ。
普通に見る夢は『意味不明』な辻褄が合わない不思議な話であり、時にはぞっとする禍々しい恐ろしい話ですよ。
私が小学生の低学年だった大昔の話ですが何回も何回も裸の赤ん坊が空を飛ぶという意味不明の恐ろしい夢に悩まされていたのです。
中学生になって、この夢の原因が幼いときに見たキリスト教系の幻灯画だったことを思い出す事が出来て、やっと長年の悪夢から解放されたのです。
思い出そうとしても『素晴らしい夢』なんて見た記憶が無いですよ。
楽しい話は夢では完結することは無くて、美味しそうな料理が出ても普通は絶対に夢の中では食べれないのです。
楽しい夢というのは本当は少ない例外です。
大半は最初から奇妙な出来事の連続で夢の中では不安にさいなまされ、恐怖に身をすくませていいて、ひたすら早く終わることを願っているのですよ。
だから、『夢』をポジティブでハッピーなものと結びつける現在の発想の方が、実は奇妙なのです。
この『夢』の意味を転換させた張本人が、アメリカ文化で、『アメリカン・ドリーム』という言葉があるように、彼らは人類にとって禍々しい “不幸の印” であった『夢』を、正反対に『夢が実現する』と宣伝して、
鮮やかに願望に向かって一直線にひた走るポジティブな言葉に変えた。
しかし、どれ程美しい夢でも、やはり夢は夢に過ぎず何時かは覚めるのです。
そして、いま世界中の人々はやはりアメリカン・ドリームは、紛い物の偽りであり、夢が本来の禍々しい不可解で恐ろしい『夢』本来の意味に逆戻りしつつあるのでしょう。
夢が実現するとのアメリカンドリームは、原発は安全との話と同じで真っ赤な嘘だったことが証明されつつあるのです。
夢とは実現しないから『夢』だったとの、一番最初の出発点の一歩を間違えていたのです。
懐かしい夢 (愚樵)
2011-09-26 06:07:23
宗純さん、おはようございます。昨夜は夢を見ていたようですが、内容は憶えていません。たいていはそんなものでしょう。

内容を憶えているような夢は、そうですね、不気味なものか、あるいは懐かしいもの。「素晴らしい夢」なんて見た記憶はない。

アメリカン・ドリームの「ドリーム」の意味するところは欲望です。そして人間の欲望とは他者の欲望なんですね。すなわちアメリカン・ドリームとは、他者の欲望を奪い取ること。〈闘争〉のプラットフォームです。

一般的なアメリカ人は、自身の価値観を至上のものと考える素朴な人たちです。アメリカン・スタンダードをグローバルと言い換えて何の疑いも持たない。自分たちの価値観は他人も受け入れるべきだと思っている。そうでなれば途端にクルセイダーになってしまう。プラットフォームというのは、その上に載っかっている間は気がつかないのですね。そして彼らのプラットフォームは、国家と同じだと言ってよい。

この点、日本人もあまり変りませんね。9条を掲げる護憲派ですら。

その点、欧州人はもっと複雑ではないでしょうか。

>そもそも国家とは無関係な『ユーロ』には根本的な矛盾が内包しているのです。

そうでしょうか。プラットフォーム=国家と捉えれば矛盾ですが、そうとは限りません。特に以前の東欧などは、国家と貨幣との関係は矛盾したものだった。自国の通貨への信用は低かった時代が長かったのですから。ユーロは、そうした矛盾を解決するための方策だったとも言える。

そもそもです。国家と通貨とが直接的に結びついているというのは、歴史的にみればごく最近の現象です。中国は歴史的に国家の力が強く例外的に国家通貨をずっと発行していましたが、欧州あたりでは、貨幣の信用の根源は貴金属だったのです。今でも合衆国憲法には金兌換通貨の発行が規定されているというのは、宗純さんが指摘されたことです。国家が金貨・銀貨を鋳造、あるいは兌換紙幣の発行は行ないましたが、しかし、これは国家が直接ではなく、間接的に関わっているに過ぎないのです。そのことは現在も基本的に変っていません。

国家と通貨との関係が直接的であるのなら、それは政府通貨でなければおかしい。でも、それは禁じ手です。通貨は中央銀行が発券するものでなければならない。そしてその中央銀行と国家とは、一般に信じられているように一体であるとは限らない。FRBもそうです。ECBもです。その意味で、ドルとユーロは同じ性質のもの。ただ違いは背景にある暴力組織です。欧州はEU。アメリカは合衆国。アメリカを合州国にするというのは、EUと同じ連合体にするということです。

つまり。もはや地域を統合するのでは暴力装置ではなく資本だということです。通貨最終戦争の意義はここにあります。国家VS資本なのです。ドルはアメリカ政府と直接関係のないFRBの発行でありながら、あまりにも強く合衆国と結びついてしまっている。暴力装置との関係が強すぎるのです。それは資本による直接統治には障害になる。ドル機軸体制および管理通貨体制は、仰るとおり国家への信認が背景なのですから。

となると、通貨最終戦争の結末は、国家依存からの脱却。すなわち金・銀本位制への復帰です。それがアメリカで為されるか、ヨーロッパで行なわれるか。すなわち「実弾」がどこにあるのか、ということです。ニューヨーク連銀の地下かノーフォークか、はたまたジュネーブかか。またヨーロッパの富裕層が自身への増税を主張するという怪奇現象も、その流れで負えば意味も理解出来ようというものです。彼らにとってもっとも大切なのは資本(という信憑)であり、今、この時点でそれを崩壊させるわけにはいかないのです。
(この怪奇現象を良心的に解釈する向きも多いですが、あまりにもナイーブです。)

最終戦争に資本が勝利することになれば、そこからは新たな資本主義の幕開けです。国家は弱者のため、すなわち弱者を適当に生かすために存続することになるでしょう。そこにはもはやアメリカン・ドリームはありません。懐かしい夢もありません。不気味な夢があるだけです。
貨幣の正体は『信用』 (宗純)
2011-09-26 16:39:44
愚樵さん、コメント有難うございます。

今の欧米のドルやユーロの値打ちが下がり続ける金融危機のことを、経済学用語で別名『信用収縮』とも呼ばれているのですが、まさに貨幣とは『信用』のことなのですよ。
パチンコ屋で『お金』と交換するときに店で出す意味不明の釣り糸とか文鎮とかの景品と同じなのですよ。
その場でお金を支払うと賭博罪が成立するので、代替貨幣としての『金額が判る目印』程度の意味しかないのですね。
これを本来の目的である、釣り糸や文鎮として利用する人は誰もいないのです。
これは金貨でも同じ仕組みです。
昭和天皇在位60週年で発行された額面が10万円金貨ですが、金地金の値打ちは10分の1程度(1万円)しかないので後の9万円は日本銀行の『信用』がプラスしているのです。
この時に中東あたりの金細工師が勝手に10万円金貨を作って日本に持ち込んだのですね。
紙幣とは大違いで、金貨では細工師の偽金と正規の日本国造幣局との違いが不明なのですよ。
材料費が1万円で加工費が9万円?
ですから普通の金貨は金地金の重さで価値が決まる仕組みであり、この日本国の造った10万円金貨とは、実は国家が作って偽金様の不思議な代物だったのですよ。
このやり方は日本国としては珍しくも何とも無くて歴史的に何時も何時もやっていたらしい。
江戸時代には何回も繰り返し小判を鋳造しなおしのですが、再鋳造するたびに1両小判の大きさが小さくなり金の含有量が減っていく。
特に酷いのは西日本で流通していた銀貨で、とんでもなく一般貨幣として小さいのですね。
ところが当時の人々はそれ程文句を言っていないのですよ。
これは考えて見れば当たり前で、大きく重たいよりも、貨幣はそれ自体使用するのではなくて単なる目印なのですから、小さい方が持ち運びには便利だったのですよ。
このやり方の正反対で国家の信用が無い李朝朝鮮では、貨幣に紐を通して持ち歩く必要があり、旅行する為には手荷物以外に貨幣を運ぶ屈強な人足を何人も雇って運ばす。
ほんの僅かの買い物でも数十キロ、大きな買い物なら数百キロの貨幣が必要だったらしい。
江戸時代には日本国は金銀の交換比率が世界と比べて違っていたが、特に銀貨は日本国内での流通と比べても通常価格の倍近い(貨幣の重さが半分)事実をアメリカの初代総領事のハリスの付込まれて、徳川幕府側の、『これは幕府の信用力で流通しているのだ』との正当な言い分は聞き入れられずに、メキシコ銀貨との重量比での交換というとんでも無い為替管理を押し付けられ、日本経済は壊滅的な打撃を受ける。
この話は昭和天皇の10万円金貨の話に、近い無茶苦茶な話なのですね。
ハリスから150年が経っているのですがアメリカのやり口は同じであるのですよ。
そして、アヘン戦争の顛末を誰よりも知っているので相手に攻撃の口実を絶対に与えまいと無理難題を承知で飲んだ徳川幕府と、今の150年後の日本政府の態度もまったく同じなのですから情け無いですね。

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