逝きし世の面影

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大日本帝国無当責の悪しき伝統 「放射能は無主」と東電

2011年11月29日 | 放射能と情報操作

『放射能は誰のもの?』

8月、福島第一原発から北に約45km離れた二本松市の 「サンフィールド二本松ゴルフ倶楽部」は原発の爆発の影響による毎時2~3マイクロシーベルトの高い放射線量で営業が出来無い。
仕方なく東京電力に『汚染の除去』を求める仮処分を東京地裁に申し立てた。
ゴルフ場の訴えに対して東京電力は答弁書で、
『放射能物質を「もともと無主物であった」と考えるのが実態に即している。』
『原発から飛び散った放射性物質は東電の所有物ではない。したがって東電は除染に責任をもたない。』
『所有権を観念し得るとしても、 既にその放射性物質はゴルフ場の土地に附合しているはずである。つまり、債務者 (東電) が放射性物質を所有しているわけではない。』と反論したから驚きである。
10月31日裁判所は東電に除染を求めたゴルフ場の仮処分申請を、『国の対策があるから。』との理由で却下するが、東電の驚天動地の『放射能は無主』との呆れ果てた答弁書には、まったく言及していない。
『放射能は無主』との東電とは違い、『行政権の範囲だから。』と自ら(司法)の判断を放棄して仕舞ったが、幾ら浮世離れした無責任な官僚裁判官でも最低限の羞恥心とか常識の欠片が残っていたのでしょうか。

『大日本帝国憲法の国家無当責』

酷すぎる今回の『放射性汚染物質は無主』との東京電力の言い分ですが、これは66年前までの国家を滅亡に導いた帝国憲法の精神だった国家の『無当責』と同じ無責任の極みの発想であろう。
製造原価に利益を自動的に上乗せできる東電等の電力会社ですが、此処は官僚組織以上に官僚的な組織なのです。
だから今回は『国家無当責主義』により逃げ切れると思っているのでしょうか。
それにしても朝日新聞(2011/11/24プロメテウスの罠  無主物の責任1)以外の他のマスコミは、この東電の悪行を報じない。
福島第一原発から放出した放射能が誰のものでもない『無主物』だったなんて、そんなニュースは何処も報じていないですよ。
特に一番影響力がある映像メディアのテレビ放送では、まったく見当たらない。
枝野大臣の『万が一。1~2回なら安全な暫定基準』とか福島第一テレビの原発の爆発映像の隠蔽など、不都合な真実を報道しないマスコミの悪行が度し難い。
しかし、それにしても凄い話で口があんぐりである。
放射能が無主で誰のものでも無いとしたなら、テロリストが核燃料を強奪しても無罪なのでしょうか。
自分の飼っていた闘犬用の土佐犬とか凶暴なドーベルマンが狂犬病になり檻を破壊して脱走して通行人に噛み付いたが、飼い主(東電)が、檻が壊れた段階で犬の所有権を放棄したので無関係であるとの怖い話に近い。
あるいは中東などで市民が空に向けてカラシニコフで祝砲をぶっ放すのですが、実弾なので何処か地面に必ず落ちてくる。
サッカーワールドカップでイラクが勝ったら流れ弾で死人や怪我人が大勢出たらしいですよ。
大勢が空に向けて撃つので誰が撃ったかの特定が出来ないので流れ弾の被害者は泣き寝入りするしかないが、これは野犬に噛まれたのと同じ扱いですね。
しかし野犬に噛まれても犬の首輪から元々の飼い主が特定出来れば、幾ら野犬でも無主で責任無しにはならないでしょう。

しかし、この問題の最大の原因は実は警察や検察など司法が機能せず原発事故で10万人以上の大勢が避難したり数百万人に直接の被害が出ているのに東電関係者を一人も逮捕せず野放しにしていることに尽きるでしょう。
だから未だに東電の無理無体な無法が罷り通るのですよ。
東電を強制捜査出来ない原因ですが、未だに大日本帝国憲法の国家の無当責任の呪縛から逃れられないでいるのでしょうか。
事故当時の責任者が未だに居座っているのですから、今からでも遅くないから、全員を一網打尽に逮捕拘留して真相の究明を行わない限りは、何も始まらないし、何も終わらない。

『政財官学報原発安全村ペンタゴンの複合的な人災の連鎖』

福島第一原発の爆発で吹き上がった放射能汚染物質のプルーム(放射能雲)は福島県北部の飯館村などへは13~15日、東京都や千葉県など南部にも雨が降った21日に高濃度に拡散していた。
このような原発事故時に放射能の拡散予測を行い、住民に知らせる予想システムの気象庁の緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム「SPEEDI(スピーディ)」は、事故時には正常に起動していた。
すぐさまSPEEDIの予測値はIAEAにも政府にも報告される。
福島県庁にもファックスで送られたが、とうとう最後まで地元市町村や一般被災民に連絡されることは無かった。
情報を握りながら当局が流さなかったので大勢の住民を無意味に被曝した。
政府当局や福島県の犯罪性(人災)は際立っているが原子力安全委員会は、何と今のようなSPEEDIの恣意的な運用の廃止ではなくて、『SPEEDIの運用を廃止』の方向で動いていると言うから驚き呆れる。
安全委の作業部会の議事録には、
SPEEDIシステムの予測値は『初期防御対策の判断には実用に供しないことが明らかになった』。
作業部会で明らかになった、この事実からSPEEDIの運用停止との結論が出てくるらしいが、この国は狂っている。
SPEEDIの予測値が今では『正しかった』事が証明されているのですが、政府は国民がパニックに陥ることを恐れて『実用に供しない』と間違って判断した。
間違っていたのは予測値ではなくて政府判断の方なのですから、それならSPEEDIではなくて政府の安全委員会や保安院の運用停止を行うべきであろう。

『致命的な東電の原発運用マニュアル(人災)』

想定外の大津波の不可抗力の事故で逃げ切る心算の東京電力ですが、福島原発事故はまぎれもなく典型的な『人災』の見本である。
福島の過酷事故は、事前の客観的な科学的な想定内の範囲に収まる。
それなら、未曾有の出来事では無く人災である。
今回の3・11原発事故で明らかになった事は、『全電源が長時間喪失した』(ブラックアウト)ことによって、福島第一原発1~4号基で『過酷事故』が発生したという明確な事実である。
東京電力や政府やマスコミは『想定外の大地震』『千年に一度の大津波』と繰り返して不可抗力の天災であるかのように印象操作・世論誘導をしてきた。
しかし、ブラックアウトが原因なら『電源を確保出来』さいえしたら、→『事故は確実に防げた』ことに成る。
それなら、今回の事故は明確に『人災である』と断定出来る。
ところが原子力安全委員会の原子炉の設計・運用指針は、
『長期間にわたる全交流電源喪失は、送電の復旧又は非常用電源設備の修復が期待できるので考慮する必要は無い。』としていた。
この指針で長年原子炉を建設・運用してきたが、その『結果』として→今回の『過酷事故が発生した』のですから、これが人災でなければ一体何が人災か。
人災など、この世には何も無くなる。
安全委は御丁寧にも、
『非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくことなど)により、十分に高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。』安全委は、『全交流電源喪失(ブラックアウト)という事態は起こり得ない』と明確に指針に書いて仕舞った。
政府はIAEAに、『今回の事故の原因となった津波による被害は、津波の発生頻度や高さの想定が不十分であり、大規模な津波の襲来に対する対応が十分なされていなかったためにもたらされたものである』と報告したが根本的な間違い。
『全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい』という今の政府指針が存在する限り、大震災以外でも(航空機の墜落やテロで)原発の過酷事故は今後も起こる。
福島第一原発事故の最大の教訓は、『いかなる事態が発生しようとも、冷却装置を動かすための電源を多重に確保して、冷温停止させる』に尽きるであろう。

『偶然だった5~6号基の冷温停止成功』

今回福島第一原発の5~6号基は冷温停止させることが出来たが、実は偶然の幸運が連続しただけだった。
何とも恐ろしい身の毛がよだつ話である。
用意されていた非常用ディーゼル発電機は水冷で、運転には必ず冷却水がないと動かない。
水冷には水がいるのは当然であり当たり前である。
原発の運転時の常用の主冷却に海水を使うが非常用も同じ場所に設置されていれ、今回この非常用発電機の冷却ポンプとモーターが海岸に並んでいたために、常用と非常用と両方すべてが最初の津波で破壊されている。
日本の原子炉の設計においては常用(運転時)と非常用(緊急事故時)が識別されていない。
何と。!設計が『同じ』発想だった。
原発一基辺り2台用用意されていた非常用発電機は本体が水没しなかった5~6号基を含め全てがポンプが破壊され使用できなかった。

『常用と非常用が同じだった日本の多重防護』

非常事態(津波)発生時に、『同じ原因(津波)で非常用のバックアップのポンプの冷却装置も同時にやられてしまう。』、という設計思想は、根本が狂っているか腐っている。
今回は非常用のディーゼル発電機の本体が津波で水没して使用不能になったので問題視されていないが、実は水没せずディーゼル発電機が健在でも使用は不能だった。
そもそも非常用発電機の冷却水の確保を無視した、こうした設計思想自体に大きな問題がある。
辛くも生き残った6号基のディーゼル発電機は「たまたま」水を被らない高所にあり、「たまたま」空冷式であったために津波の被害を免れた。
そして、電気を分けることができた5号基と共に安全に冷温停止した。
5~6号基では幸運が重なったのである。
福島第一原発では外部電源がすべて喪失し、電源盤がすべて水没したが、空冷のディーゼル発電機1台が生き残ったために、辛うじて5~6号基の冷温停止に成功している。
この空冷式の発電機は設計当初に無かった。
しかし保安院から追加の非常用発電機設置を要求され、『経費の安い空冷式を追加した』、という、まったくの偶然の幸運であった。

『多重化ではなく、多様化こそが重要』

『緊急時』の非常用のディーゼル発電機を冷やすためのポンプも、『通常運転時』の主冷却系の隣に設置していたために、同時に津波で破壊されているのですから緊急時に何の役にも立っていない。
西洋の諺に、『卵を同じ籠にすべて入れてはいけない。(落とした時に全部割れる)』というのがある。
今回の事故で『同じ発想』の安全設備の『多重化』では安全は確保できないと証明した。
『多重化』では無くて、『多様化』こそが原発事故のリスクを削減できる。
福島第一の教訓とは、『原理の異なる発電装置と冷媒(ヒートシンク)を多重に用意する。』に尽きるでしょう。
原発事故以外の色々な問題でも同じですが、種類や原理・原則の『多様化』こそが過酷事故のリスクを唯一削減できる可能性が有るのです。

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Unknown (さそり座)
2011-11-28 16:16:18
最近の政治家,東電,官僚,マスゴミ(特に読売新聞と渡辺主筆「主筆の意味は理解出来ない」)の言動には自分の「目」「耳」を疑うことが多い。
どう逆立してもこの判決に論理的根拠が見当たりません。
裁判官はまともな思考力がないのか,ヤケクソで判決文を書いたかでしょう。
いずれにしても正常ではありません。
三権分立 (Unknown)
2011-11-28 17:53:52
最近、裁判所の判決に政府の意向が色濃く反映されている様に思われます。
司法・行政・立法の三権分立で、それぞれが独立した権限があるのに有名無実化してきています。
これじゃ、独裁国家と変わらなくなる日が来るかも??
平目裁判官の弊害か (宗純)
2011-11-29 15:30:57
コメント有難うございます。

裁判官は本来は一人一人が独立しており上司の命令には従う義務は無くて、裁判官個人の良心と憲法や法令に対する忠誠義務しか持っていない。
ところが、私企業の一般サラリーマンと同じで人事権を握る最高裁事務局に逆らえない。
中学生程度の語学力があれば、今の自衛隊が憲法9条に違反するのは誰にでも理解出来るが、札幌地裁での『自衛隊は憲法違反』との当然の判断をした伊達判決の裁判官は、その後は過疎地の地裁とか家庭裁判所等のドサマワリも報復人事を受けている。
裁判官の世界は所帯が小さいなのでこの事実は誰でもが知っており、政府に逆らえば恐ろしいとは身にしみて知っているのでしょう。
今では全員が上の顔色しか見ないヒラメ裁判官ばかりが蔓延っている。
『行政の責任だから』と責任を放棄する今度の東京地裁裁判官ですが、近頃はこんな最低の連中ばかりになったのでしょう。

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