逝きし世の面影

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アメリカがロシアへの報復を示唆したら、即座に起きたロシア大使暗殺

2016年12月22日 | 軍事、外交
笑うセールスマンならぬ、何故か逃げることなく『演説?する不思議な暗殺犯』

12月19日、過去にはトルコの首都アンカラのロシア大使館の警備をしたこともある現職警察官がボディガードを装て会場に侵入。写真展の開会式場で挨拶するロシアのアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使(62)を背後から銃撃、殺害後に逃亡することなくテレビカメラに向かって5分間も『アラー・アクバル』『アレッポを忘れるな』などと堂々と演説。ロシア大使の暗殺犯はアンカラ機動隊のメブリュト・メルト・アルトゥンタシュ(22)。その後駆け付けた警官隊との銃撃戦で射殺された。トルコ共和国において45年前にイスラエルの総領事が殺害された事件はあるが、今回のように『国』を代表する大使が殺害されたのは初めてだった。
BBCやロイターなど欧米のマスコミではシリアのアレッポ陥落の報復だというが、話が丸っきり逆さまである。
欧米マスコミから見れば『アレッポ陥落の報復』の論理は成り立つかも知れないが、最後の拠点だったアレッポがロシアやイランの支援を受けたシリア政府軍の猛攻で陥落したのは何日も前の話である。勝敗は既に付いていて、今は敗残兵が無事にトルコ側に撤退出来るかどうかの微妙な時期なのですから、逆効果どころか、タイミング的にあまりにも悪すぎる。ロシアを怒らせて暴走させるのが目的なのだろうか?何とも不思議な話である。
トルコ当局は暗殺犯はクーデター未遂事件の黒幕でアメリカに亡命中のギュレン師と関係があったと発表したが射殺されたので『死人に口無し』で真偽はまったく不明。カルロフ駐トルコ大使はロシアの友好国である北朝鮮大使を20年も務めたベテラン外交官で、今回のように普段からボディガード無しで行動することで有名だったらしいが、緊迫した今のシリアやトルコなどの中東情勢を考えれば信じられないような話である。(今回の現職警察官のように警備事情を知っていれば簡単に暗殺が可能)

『ロシア大使殺害テロ、「ヌスラ戦線」が犯行声明』2016年12月21日 Sputnik

トルコ駐在のロシア大使、アンドレイ・カルロフ氏の殺害事件でテロ組織「ファタハ・アルシャム(改名前はヌスラ戦線)」が事件の犯行声明を表した。



『米国務省 なぜ「ヌスラ戦線」から反政府勢力を引き離さなかったのかを説明する』2016年12月21日 Sputnik

ロシアのラヴロフ外相は、トルコとイランの外相との3カ国協議を総括し、米国は9月に合意された行動への自国の参加を証明することができなかったと述べた。
20日、米国務省のカービー報道官は、国務省が「ヌスラ戦線」から反政府勢力を引き離すことができなかった理由を記者団に説明した。
報道官は、「ロシアのラヴロフ外相が提起し続けている具体的な問題の件だが、これは『ヌスラ戦線』から穏健派反政府勢力を引き離すことだ。我々はこれについてうんざりするほど話した。 『ヌスラ戦線』がいた地域から去るよう反政府勢力に説得するために我々が全力を尽くさなかったということではない。だが我々は一人一人を把握することはできない。複数のメンバーは、哲学的、あるいは、ただ物理的に『ヌスラ戦線』の仲間に入った、または『ヌスラ戦線が』いる地域からは去らないなど、様々な理由で決めた。これは我々が適切な形で取り組まなかったことを意味しているわけではない」と述べた。

『中身が同じだった「汚い」ブッシュ大統領の対テロ15年戦争と、「美しい」オバマ大統領のアラブの春の6年』

6年前のアラブの春でアメリカや英仏独などNATO諸国が支援しているシリアの反政府勢力と、15年続く対テロ戦争でアメリカ軍やNATO軍が攻撃しているテロリストのアルカイダ『ヌスラ戦線』とは一体構造で中身が同じあり、そもそも分離も説得も不可能だったのである。
共和党ブッシュ大統領の始めた対テロ戦争も、民主党オバマ大統領の始めたらしいアラブの春も叫ばれているスローガンは何れも同じで『独裁政権の打倒』(民主化)だったが、イメージは正反対である。ところが矢張り中身は同一だった。全く同じもののコインの裏表であったのです。(違いは対テロ戦争の場合は主役がアメリカ軍であり、アラブの春の場合はCIAなど諜報機関だった程度) 

テロリストというよりもアメリカのハリウッドで製作されたスパイアクション映画の主人公のように振る舞うロシア大使暗殺犯人の大胆不敵さというか摩訶不思議な不真面目さ?



『何事もなく無事に済んだ、12月19日のアメリカ大統領選挙人投票、(トランプ当選)』

史上希に見る汚い摩訶不思議なアメリカ大統領選挙ですが、これは多くの人々にとっても異例中の異例で今回の『汚名』は長く歴史に残るでしょう。
トランプが306人でクリントンが232人と圧倒的な大差がついた11月8日のアメリカ大統領選挙人選挙ですが、トランプ当選に苛立つクリントン支持者による暴動まがいの抗議デモが起きるは、ハーバード大法学部教授がトランプ当選を阻む目的で、大統領選挙人に対する工作を開始するよう呼びかけるは、とうとうヒラリー・クリントン本人までが、ロシアのプーチンがアメリカ大統領選に介入したと言い出すは、オバマ大統領までが悪乗りしてロシアへの報復を示唆するは、前代未聞の騒ぎに発展していたが、普通に考えれば選挙の結果を引っくり返せない。基本的に無茶苦茶なのである。
ひょっとしたら大どんでん返しがあるかと心配した12月19日のアメリカ大統領選挙人の投票は予定通り『トランプ当選』で何事もなく無事に済んだ。(ハフィントンポストUS版によると若干の造反がありサンダースへ投票した人が出たが、大勢には影響は無かった模様)
ところが、トルコの駐ロシア大使がとばっちりで暗殺される。しかし、基本的に一度動き出した巨大な『歴史の歯車』は誰も止められないし、逆転させることも不可能なのである。

『大統領はトランプに決まった。ところが、未だエスタブリッシュメント(民主党オバマ政権やマスコミなど既得権力構造)は敗北を認めてはいない。!』

ドナルド・トランプは、当選に必要な過半数(270人)を大きく上回る304人を得て民主党クリントン(232人)を圧倒したが、それでもオバマ政権やマスコミなどはしぶとく諦めない。
未だに自分たちの敗北を認めていないで、トランプ新大統領に対するネガティブキャンペーを続けてるのですから驚きだ。
この、選挙で当選した新大統領を市民の実力行使で倒そうとする摩訶不思議な運動ですが、これは東欧とか旧ソ連圏で相次いだインチキ臭いカラー革命とソックリ同じだった。
ヘッジファンドのジョージ・ソロスの民主化ソサエティーの資金援助で行われたカラー革命(アメリカ製の反革命暴動)と同じ種類のものが今のアメリカで起きているとすれば、来年1月20日の大統領就任式が無事に済んでも、(トランプ大統領の首を取るまで)この騒動が収まるどころかマスコミはますます加速させるでしょう。
これは、トランプがエスタブリッシュメント(支配階級)の凄まじい怒りや敵意を引き起こしたと言うよりも、今まで隠し続けていたエスタブリッシュメント(政府やマスコミ)の壮大ではあるがお粗末極まる馬鹿馬鹿しい嘘が、もしかしたら(常識を一から見直す)トランプによって白日の下に暴かれる危険性があるので、それを全員が恐れているのである。

『ブッシュの戦争からオバマの戦争に変質していた9・11から延々と15年も続く対テロ戦争』

2001年の9・11事件から15年続くアメリカの摩訶不思議な対テロ戦争ですが、前半は確かに共和党ブッシュ政権だったが、後半は民主党オバマ政権が密接に関わっていた。2009年1月20日に大統領に就任したバラク・オバマですが、それ以降も前ブッシュ政権の国防大臣(ゲーツ元CIA長官)を解任することなく、民主党政権下でも使い続けて対テロ戦争を続けていたのである。
オバマの選挙時のスローガン『チェンジ』は少しも起きなかったのである。(胡散臭いアメリカの対テロ戦争ですが、ブッシュ時代が最初の7年だけであり、オバマ大統領はその後8年も続けていた)
前ブッシュ政権の国防長官は8年間でラムズフェルドとゲーツの二人だけだが、オバマ政権ではゲーツ、バネッタ、ヘーゲルに続き2015年からは現職のアシュトン・カーターと4人目。(オバマの軍事方針が確定していない証でもあり、アメリカの対テロ戦争が失敗して行き詰っている証拠でもある)

『最後に国家を崩壊させた日中15年戦争と10年にも及んだソ連軍のアフガン侵攻の泥沼』

今回の駐アンカラのロシア大使暗殺に関して100年以上前の日本訪問中のロシア皇太子に現職警察官が日本刀で切り付けた大津事件とか第一次世界大戦の引き金になったオーストラリア皇太子暗殺と比較する論考が見られるが、これらの事例は平和が長く続いていた時に起きている。余りにも背景や条件が違いすぎるのである。
今は『戦争』が絶えることなく延々と続いている状態なので、それなら満州の軍閥の張作霖爆殺(1928年)に近い暗殺である。馬賊出身の張作霖ですが日本軍と協力していたがソ連や国民党政府など日本軍以外にも関係を持とうとして日本(関東軍)に暗殺される。
日中15年戦争(1931年 昭和6年の満州事変から1945年 昭和20年ポツダム宣言受諾まで)勃発3年前の張作霖爆殺ですが、これはソ連による1979年のアフガニスタンのアミン大統領殺害とよく似た事件だった。(左翼軍事政権だったアミンは後ろ盾のソ連だけではなく、敵対するアメリカなど西側とも関係を持とうとしていたことが殺害の原因だったと思われる)
要人暗殺では1983年ビルマ(現ミャンマー)のラングーンのアウン・サン廟爆破事件(韓国の全斗煥大統領の暗殺未遂)などのように敵国側が狙ったものは失敗する確率が高い。ところが全斗煥暗殺未遂の4年前(1979年)に起きた朴正煕大統領殺害のように犯人が身内のKCIAの場合は成功する。

『2014年9月11日のリビアのベンガジでのアルカイダによる米大使殺害とデヴィッド・ペトレイアス中央軍司令官』

今回のロシア大使暗殺に一番似ている類似のテロ事件には、なんといっても4年前の2012年9月11日のリビア東部のベンガジ(米総領事館)でのアルカイダによるクリストファー・スティーブンス米大使殺害がある。
ところが、マスコミは言うに及ばずネット空間でも誰もこの事実(類似性)を指摘しないのは何とも不可解である。
というか、そもそも歴史的な大事件である4年前のリビアでのアメリカ大使殺害は欧米マスコミは出来る限り触れたくないタブー中のタブーなのです。およそ『謎の事件』と言って間違いないだろう。(だから報道量や報道内容が圧倒的に少ない)
この謎の米大使殺害を記事に書こうとした記者もいることはいるが、ニュースソースである元中央軍司令官(当時はCIA長官)は日本の西山事件と同じように不倫騒動でアメリカ大使殺害から3か月後の2012年11月に失脚している。このペトレイアスは欧州軍総司令官から大統領になったアイゼンハワー以来の大人物(最有力の大統領候補)だったが、電子メールの流出で簡単に口封じされているのですから怖ろしい。
来年1月20日に発足するトランプ政権には、西山事件とそっくり同じ不倫騒動に矮小化され失脚したペトレイアス将軍が参加しているのですから驚きだ。ひょっとしたらですが、2012年9月11日のリビアのベンガジでのアルカイダによる米大使殺害の謎(アメリカのタブーというよりも恥部)が解明されるかも知れません。基本的にアメリカとアルカイダとはズブズブの関係であり、いわゆる『対テロ戦争』とはプロレス興行と同じ様な八百長構造(出来レース)だった。
実業家のトランプ新大統領が幾らプロレス団体の役員を政権に取り入れたとはいえ、15年続いた八百長の対テロ戦争(金食い虫の出来レース)を今後も許すことは有り得ないのである。
対テロ戦争を戦った歴戦の勇士ともいうべきペトレイアス陸軍大将ですが、この人物はアメリカの不倶戴天の敵であるアルカイダを使ってISIS『イスラム国』と戦うべきだとの『禁断の作戦』を語っているが、基本的に不真面目な八百長試合なのである。(対テロ戦争の胡散臭さはアメリカ軍将兵なら誰でも薄々知っているのでトランプを支持したが、当たり前ですが米軍高官ならもっと詳しく隠された内実を知っている)

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ペトレイアス (luna)
2016-12-23 18:46:55
この人物は要注意です、オバマと共に12月16日、ロシアに対する「報復」について発言、将軍達は対テロ戦争慎重な中でペトレイアスは積極的だった。
フリンは対テロ戦争に反対、ジェームズ・マティス海兵隊大将はイラク戦争は間違いだったといっている。
この二人に比べてかなりうさんくさいし、ベンガジの襲撃事件は内紛だと思う、ロシア大使暗殺は内紛ではない、今回の欧米を外した三カ国協議をお膳立てしたのはこの大使だといわれています、欧米外しで進められる協議への妨害行為だと思います、イスラエルが関与したのではと言う話もちらほらと。
偽旗作戦? (Saito)
2016-12-24 23:16:43
大使が後ろから撃たれたのに、仰向け大の字に倒れているので、偽旗作戦(大使は死んでない、加害者はアクター)という話もどこかで読みました。

しかし、それだと目的が不明です。ロシア側の協力も必要になる。

ヒラリーのメール流出もオバマの嫌がらせだとしたら、これも嫌がらせなんでしょうか?そうだとしたら、ずいぶん低次元な話ですねえ。目的だけでなく、効果も評価すると。


敵味方が不鮮明なアメリカの対テロ戦争 (宗純)
2016-12-25 16:41:03
lunaさん、Saitoさん、コメント有難う御座います。

末端の兵士には意味が分からなくとも、元CIA長官のペトレイアス将軍とかアンドレイ・カルロフ駐トルコ大使などは別で、報道されることが無い極秘のインテリジェンスを知っている。
今回のロシア大使暗殺ですが、5分後に警官隊が駆けつけるまで現場にはボディガードの類が一人もいない状態なのですから不思議である。余程この大使は自分が殺される危険性が無いと信じていたらしいのですから訳が分からない。
大使暗殺では『戦争状態になる』と書いていたブログもあるが、話は逆でロシアとトルコ友好が双方が確認するなど去年のロシア機撃墜とは正反対に動いている。
あのトルコのクデター未遂ですが、トルコ空軍が主役で、去年のロシア機撃墜と同じであり、この二つの事件は何れも同じアメリカが一枚噛んでいると言われています。
そして、アメリカですが、オバマの動きが怪しい。オバマは『チェンジ』に期待した支持者を裏切ったが、信用するとがっかりするが、批判しようと拳を振り上げると、逆に案外と良いことをするのですから、困った話。あっちに付いたりこっちについたりと言ったり来たり。
アレッポ陥落でアメリカだけではなくて、露骨に国連までが介入して30万人の市民の話が、一桁違い。大嘘だった可能性が高いのです。用意されたバスは数十台では計算がまったく合いません。

オバマケアとか温暖化のパリ協定はトランプが白紙に戻しそうで、オバマですが8年間で何一つの残したものが無い不思議な大統領だが、なぜか今でも人気が衰えないのですから不思議である。
何の実績も残せなかったが、なぜか人気が衰えないと言えば同じくノーベル平和賞を受賞したジミー・カーター元大統領がいるのですが、いずれも妙に道徳的なのですよ。しかも生臭みが少ないしインテリ臭い特徴がある。カーターは不明だが、オバマの場合には明らかにCIAがらみ人脈ですね。すべての謎はこのことが原因しているのでしょう。
アレッポ陥落 (luna)
2016-12-30 21:52:04
アレッポは解放です、30万人は市民(シリア国民)であるからバスは必要ありません、バスを必要としたのはIS
です、彼らは家族と合わせて数千人であるから計算が合います。
またアレッポが陥落して負け戦となったのでかなりの勢力が脱落しました。
ISはほとんどが外国人であり、アサド大統領はイギリスマスコミの世論調査でも支持率が高いです。
陥落とみるから30万人が避難すると思う、解放とみれば住民がそのまま残るのは当然です、ましてベトナムなんかと違い反政府軍側はほとんど外国人傭兵ですからね(ベトナムでは南ベトナム軍はベトナム人でしたからね、人数が増えます)。
日本人知識人の低すぎる知的限界 (宗純)
2017-01-07 15:26:35
lunaさん、コメント有難うございます。

日本版CIAの孫埼享は今回のアレッポ陥落にはさすがに何も反応していない。ある意味でこの男はとんでもなく賢いですよ。
ところがである。あの金子勝はツイッターで何と大虐殺だと書いてある。確かに20台や30台程度の少ないバスを用意しても30万人は到底運べないのです。それにしても日本人知識人の欧米マスコミの信用度は超天文学的数字ですね。呆れるよりも最早笑うしかない水準ですが、フクシマの放射能被害にも言えるが、これはもう破壊的カルト宗教の段階です。到底正気とは思えません。

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