逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

正常性バイアス+集団同調性バイアスの相乗効果

2013年08月28日 | 放射能と情報操作

『なぜ誰も逃げなかったのか。恐ろしい非常呪縛の金縛り状態』

10年前の2003年韓国大邱市の地下鉄駅構内に停車中の車両で放火による火災が発生。約200人が死亡したが、出火直後の列車内の写真がマスコミに公開され世界に衝撃を与えた。
車内の映像は、あたり一面に煙が充満しつつあり誰が考えても、一目で危機的で一秒の猶予も無いと分かる。
即座に逃げないと焼け死ぬ状態なのです。
ところが炎上寸前の車両とは対照的に、乗客たちは目の前の煙が見えないのか全員が黙ってじっと座っている。
何故何百人もの乗客は逃げようとしなかったのか。
煙に気が付かなかった訳では無いのである。
乗客全員が、異常に気が付いていた。
ところが大勢いる周りの乗客の誰もが騒がずじっとしているので、自分も騒がず黙って座っていた。
『こんなことは起こるはずがない』と目の前の最悪の現実を否定する正常性バイアスと、典型的な多数派同調バイアスである『周りの誰一人逃げようとしていない。だから間違いなく大丈夫だ』と目の前の危機的な現実を否定する『非常呪縛』に支配されていて、乗客たちは正常な判断が出来なかったのである。
この非常呪縛の『金縛り』状態を破ったのは、誰かの『火事だ!』の一声だった。
間一髪。我にかえった乗客はガラスを叩き割って炎上する車両から辛うじて脱出して助かっている。

『欧米の定番パーティジョーク(周りの空気を読む日本人)』

客船が沈没したが救命ボートが足りない。誰かが犠牲にならないと全員が死ぬという極限状況が生じた。
英国人には『あなたこそ紳士だ』というと粛然と海に飛び込んで行った。
米国人には『あなたはヒーローになれる』というとガッツポーズで飛び込んだ。
ドイツ人には『これはルールだ』というと納得した。
日本人には『皆さんそうしてますよ』というと慌てて飛び込んだ。
国民性をからかう笑い話なのだが、2011年3月11日の福島第一原発事故後では到底笑う気になれない。
多数派同調バイアスによる非常呪縛は集団の場合ほど起き易いが、周りの空気を読む習性のある日本人では特に陥る危険が高いと思われる。
また正常性バイアスは、異常事態のレベルに比例していて『信じられない程最悪の出来事』であるほど、『現実(リアル)では無い。何かの間違い(バーチャル)ではないか』と思い込む。
危険のレベルが高いほど、逆に正常性バイアスに陥る危険性も高まるのである。

『日光猿軍団、年内で閉園 』

テレビなどでも度々紹介され全国的に有名な栃木県日光市にある猿のテーマパーク『日光猿軍団』が閉鎖されるそうです。
2011年3月11日の福島第一原発事故以来、観光客が激減して仕舞った。
福島県に隣接する日光など栃木県北西部一帯は放射能のホットスポットがあリ危険であることは、誰も人前では口に出さないだけで日本人の全員が知っているのです。
ましてや外国人はもっと知っている。
日本人の2名を除く調教師の9割を占めていた韓国や台湾のスタッフが全員帰国して仕舞う。
これ等の調教師ですが、本国の家族たちが栃木県北東部の放射能汚染を理由にして『危ないから早く帰国せよ』と強硬に主張。外国では日本国内では考えられないほど福島第一原発事故の放射能汚染の拡大を心配しているのです。
(外国とは反対に)日本国内のマスコミは挙国一致で金太郎飴の如く同一の『安全安心。心配ない』との超愛国的な大本営発表を繰り返している。
基本的に目の前にある厳しい現実を完全に失念しているのですから、68年前の一億玉砕のスローガンとそっくり同じレベルで少しも違いが無い。
NHKも外国向けのNHK world放送では、『福島事故の放射性物質が、甲状腺がんを増加させている可能性あり』と、外国人には国内向けとは別の説明をする二枚舌ぶり。

『付け火して煙よろこぶ田舎もの 絆社会の恐怖の村八分』

福島から西日本に避難した人が、なんと福島県の地元では『自分だけ逃げた』『裏切り者だ』として村八分状態の酷い苛めにあっていて、残っている家族に会う為に帰郷した時には、顔を隠して道を歩かなければならないほどの凄まじい有様に。
日本独自の絆社会ですが山口県連続放火殺人事件の原因でも有り、見かけの優しさとは違い実はとんでもなく恐ろしいのです。
若者が全員住み慣れた故郷を嫌って都会に出て仕舞い田舎の過疎が進むのは十分に頷ける話なのです。日本独特の共同体社会では、欧米では当然の個人のプライバシーとか自由が極端に束縛されるのですね。
『危ない。もう駄目だ』とは分かっていても、韓国大邱市の地下鉄火災と同じで、多くの人は自分ひとりの決断では勝手に逃げれないのです。
集団による多数派同調バイアスの極地ですね。
日本人の疎開をしなかったグアムやサイパンでは軍人だけではなく民間人も犠牲になるが、硫黄島では司令官の栗林中将が事前に本土に疎開させ、無駄な犠牲を防いでいる。
『汚染地帯に居残れば必ずからだが傷つき、(政府の方針に反して)逃げれば生活が崩壊して心が潰れてしまう』と小出裕章が語るが、福島県では疎開どころが『住民を一人も逃がさない』との方針がとられているのですから恐ろしい。
このままなら最悪、今後日本人による68年遅れの一億玉砕も十分にありえる話でしょう。

『人はなぜ子供騙しの簡単な嘘にだまされるのか』

『人はなぜだまされるのか』について放射線防護学の専門家で疑似科学やオカルトを批判するジャパン・スケプティクスの元会長でもある安斎育郎は、数々の騙しのテクニックを紹介して科学的な懐疑心の大切さと主観と客観的事実を混同しやすい常識の盲点について語っている、
ところが安斎育郎が幾ら口をすっぱくして『思い込みや騙しの手口』を説明しても、騙される人はあとを絶たない。
『自分は絶対に騙されない』といいつつ、人はだまされ続けるのである。
此処で『なぜ』の視点を180度引っくり返したのが進化心理学の石川 幹人で、人類は300万年前の過酷な狩猟採集時代の生き残りに有利だったので『人は、だまされる』ように進化した。
社会性の生き物である人間では『騙される』(他者を信じる)方が自然(多数派)であり、疑う方が異常(少数派)なのである。

『進化心理学から見る集団同調性バイアス』

人類は数百万年もの長い間利害が一致する血縁関係にある数十人以下の少人数の共同体で生活していたのです。
(相手が家族とか親族の場合)疑わしくて『納得できない』場合ても、他人の言葉を『とりあえず信じる』ように進化した。
石川 幹人よると、社会全体では『疑う心』は常に少数の例外である。
親しい少数の人間集団では一々相手の言葉を疑うよりも、『人を信じる』方が圧倒的に有利なのです。
ところが近年(数千年前)になって血縁関係に無い巨大な人間集団(社会とか国家)が出現してくる。
共同体内でも支配被支配の上下関係が生まれ、利害が相反するにもかかわらず、人類は以前の『とりあえず信じる』モードのままなので、子供騙しの見え透いた嘘でも多くの人々が結果的に騙される。
荒唐無稽にも思える石川 幹人の『人が騙されるのは人類の進化の過程である』(社会の進化に人類の進化が追いついていない)との進化心理学ですが、3・11以後の政府や東電のお粗末過ぎる嘘八百を信じる多くの人々を見ると、俄然信憑性がでてくるから不思議である。
普通の大人なら絶対に信じないであろう無茶苦茶が、現在平気でマスコミが垂れ流し多くの人が疑うことなく信じている様は、悲惨すぎてとても正気とは思えない。
一億総痴呆状態なのである。
今の日本国の状態は『人類とは、そもそも信じる(騙される)ように進化した生物だった』とでもしないと、到底説明が付かないのです。

『だます阿呆に、だまされる阿呆』

同じ阿呆でも、火山学者の早川由紀夫群馬大学教授の場合は桁外れ。ぶれ幅が大きすぎる無茶苦茶。
人体への放射能の影響は専門外であるが、火山灰の拡散の手法を援用して福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質の『放射線汚染分布地図』をいち早く公開する。(ここまではまともだったが、後がいけない)
『福島県のセシウム汚染の農産物は、サリンを作ったオウム信者と同じ』『福島の農家は放射能を含んだ野菜を出荷している。これは殺人未遂罪に該当する』と発信していた。
ツイッターでも放射能の危険性を発信していたが、『小児甲状腺癌は危険で無い』『福島の発症数は通常値』との悪魔の飽食、山下俊一福島県立医大副学長モドキと論争を繰り返していたので、密かに心配していた。
カシコと論争しても滅多に賢くならないが『朱に交われば赤くなる』の言葉の通り、恐ろしいことに逆では当て嵌まる。アホが伝染するのです。
その後の詳しい経過は知らないが、相手は現職の医者(専門家)であるが、早川由紀夫はまったくの医学の素人なのです。危惧したとおり、早川由紀夫は御粗末な真っ赤な嘘に騙される。
言いくるめられた今では180度転向して放射能は安全安心。『福島の甲状腺がんが多い事実は認められない。甲状腺がん患者が1万人に数人程度いる。これは甲状腺学界にとって重要な発見だ。新知見をもとに、甲状腺がんの教科書をすっかり書き直す必要がある』と主張する。
『釣り』で無いとしたら早川由紀夫は科学的懐疑心ゼロで、自分の主観にあわせて科学的な客観的事実を修正する度し難い破壊的カルト宗教の狂信者か、それとも重度の若年性痴呆症である。
なぜ自分が『騙されているかも知れない』と考えないのだろうか。

(見えすいた簡単な嘘に騙されるアホ学者の悪しき見本として、早川由紀夫以外にも地下水の放射能汚染と原子炉の冷却水との区別が付いていない大槻義彦の無残を書く予定だった。
ところが、なんと8月28日付け赤旗の第一面記事でも混同していたのには呆れ返る。
科学的懐疑心の喪失は予想以上の広がりで個々の学者馬鹿程度の話では無い。日本社会全般の大問題であり、その病根は深刻である。今後これは別記事で取り上げます)
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7 コメント

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戦争とテロ (鬼丸竜馬)
2013-08-27 11:43:11
そうですね。いじめの先に、戦争があるのです。

半沢直樹の人気でも判るように、皆気付いているのです。

強制への反動は、テロに繋がります。

テロを起こさないためにも、
徹底的な議論と、大多数の賛成が必要です。
Unknown (農婦)
2013-08-27 13:05:16
私はフェイスbookで何回かすぐ疎開した方がいいといいましたが、答えはイェスではなかったです。なぜ危険区域に若い人達が留まろうとするのか解りません。私も3/11の被災者ですが、いつ復興するか解らない所には帰りません。近じかこの仮設住宅の辺りに居を構えようと予定してます。同じ言葉を話す東北ですからあまり心配はないとおもいます。福島の皆さんも別天地は移住した方が懸命です。絆は何処でも結べます。外国へ移住する訳ではないのですから、すぐ引越しの準備をした方がいいと思います。済みません。この場をお借りして。10/13にち日、国会議事堂前で原発反対の集会デモが有ります。全国から集結します。主催、首都圏反原発連合です。ぜひ参加を望みます。「原発いらない」のステッカーを持って東京へ行きます。皆さん行きましょう。
もうすでに日本の大敗北で、決着が付いている (宗純)
2013-08-28 16:16:01
鬼丸竜馬さん、農婦さん、コメント有難うございます。

あの小泉純一郎までが脱原発に舵をきったようです。
風知草:小泉純一郎の「原発ゼロ」=山田孝男
毎日新聞 2013年08月26日
http://mainichi.jp/opinion/news/20130826ddm003070155000c.html
小泉の脱原発ですが、これは橋下徹と同じで、単に世間の風を見るに敏であるに過ぎない。
意味は何も無いでしょう。
今、福島では数万人程度の検査でも数千人に一人の割合で小児甲状腺がんが発症しています。最終的には最悪なら数百に一人が小児甲状腺ガンなんて酷いことになっている可能性まであるのですよ。
もう、自民党政府の原発推進は砂上の楼閣、夢物語にすぎません。これから日本が戦争に戦争に巻き込まれるのではない。敗戦が確定しているのです。
今の原発事故後2年半での福島県への住民帰還ですが、ビキニ水爆から三年後のロンゲラップ島民の帰還と同じで、悪魔の飽食、人体実験ですね。極悪な政府による犯罪行為です。

二十一世紀の集団自決 (桁 喜世二)
2013-08-29 00:58:01
バイアスを『しがらみ』という見方をしても理解が出来る気がします、一度しがらみが断ち切れた後は以前と打って変わって、驚くほど自由闊達に振る舞うという例がしばしば見られるからです。








薄々は全員気が付いているのだが (宗純)
2013-08-30 16:35:20
桁 喜世二さん、コメント有難うございます。

日本ですが、横並びで他人と同じなら安心する不思議な習性があるのですね。
現状ですが、1945年8月15日の直前と同じで、全員が日本の敗北を知っているのですよ。
今の福島県検討委のインチキ臭い一部だけの発表でも2000人に一人が小児甲状腺がんなのですが、
癌は成人病であり子供はそもそも稀な病気で、通常0歳から20歳までの20年間で全ての癌の発症率が2000人に1人なのです。
甲状腺癌ですが、全ての癌の中で1%程度の少数。
単純計算で20年かける1%なので、今の福島は2000倍の比率であり、これは有機溶剤での胆管癌よりも多いのです。
全ての情報は、福島県での放射能障害の爆発的大発生を示しています。
口先だけで誤魔化せる程度の些細な話ではないのです。
今後、何時の段階で事実を認めるかだけの時間的な差の話ですね。
Unknown (えまのん)
2013-09-25 14:29:20
発症率とスクリーニングで結果で癌疑いの見つかった率を比較してもしょうがないのではないでしょうか?今現在でスクリーニングによる比較可能な数値は存在しないのが実情でしょう。福島以外の多数の地域で同様のスクリーニングを行い、その結果を比較するしかない。それも福島以外が原因の放射線(韓国にも原発があったりしますし、空間線量は東京より高いかったりしますしね)の可能性もあるわけです。
つりでないとしたら (宗純)
2013-09-25 14:57:15
呆れ果てて『この愚か者が』としか言葉がありません。

馬鹿馬鹿しすぎてコメント不能です。
2月の時点(3人確定、7人疑い)ではこのような大馬鹿者が再発生して、このブログのコメント欄を賑わしていたのは事実であるが、
6月発表の時点では無くなっていた。
8月発表以後は完璧に無い。
今は9月も終わりですよ。
二月か三月の記事やコメント欄を読んで勉強して下さい。

周回遅れというよりも、これはマイケル・クライトンの小説『ジュラシック・パーク 』の世界と同じで、絶滅していた筈の恐竜が生き返ったのでしょうね。ある意味愉快なので大事にこれは残しておきましょう。

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