逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

安全に対して「想定外」はない

2011年05月11日 | 放射能と情報操作

『想定外』言い訳に使うな。 東日本大震災で土木など3学会が声明

『想定外という言葉を使うとき、専門家としての言い訳や弁解であってはならない』
東北関東大震災や福島第1原発事故について『想定外』を繰り返す東京電力や菅直人首相らに対し、社団法人の土木学会をはじめ、地盤工学会、日本都市計画学会の3学会が批判的見解を発表。
2011年3月23日、阪田憲次・土木学会会長は、『安全に対して想定外はない』と指摘した。

『想定が甘かったのでは』

『(福島第1原発を襲った)津波の規模は、これまでの想定を超えるものだった』(清水正孝・東電社長、3月13日会見)
『今回の地震が、従来想定された津波の上限をはるかに超えるような大きな津波・・・』(菅首相、3月12日会見)
マスコミなどに登場する自称『専門家』(産学官の利益共同体)も連日のように『想定外』という言葉を普通に使っている。
これに対して土木3学会の声明文では、
『われわれが想定外という言葉を使うとき、専門家としての言い訳や弁解であってはならない。』と指摘した上で、
『自然の脅威に恐れの念を持ち、ハード(防災施設)のみならずソフトも組み合わせた対応という視点の重要性をあらためて確認すべきだ』と訴えている。

『想定外は免罪符』

5月10日参院経済産業委員会の東京電力福島第1原発事故参考人質疑で柳田邦男氏は、『今回の大津波は「想定外」だ』とする東電や政府の関係者らの主張を『思考停止の免罪符』であると厳しく批判した。
過去の大津波について多くの研究成果があり、危機が指摘されていたにもかかわらず無視されてきた経緯を指摘。
『予算などの縛り』から→『最大限の危機を想定』が作れないので→『最低限守るべき基準』程度の危ない不完全な安全基準が作られる。
ところが基準が一度作られると『最低限の危ない基準』の中身が忘れられ→『それを維持すればよい』(安全な基準)という最大限の『線引き』に化ける『逆立ち現象』が起きる。
柳田氏は、『想定外というのは、それ以上のことは考えないことにしようという思考様式に免罪符を与えるキーワードだ。』と指摘した。

『想定外だから仕方がないという話ではない』 

3月19日鳩山由紀夫前首相が菅首相などと会談、東電に対して、『想定外のときにどうするかという発想が足りなかったのではないか』、『想定外だから仕方ないという話ではない』と明言しているが実に真っ当な指摘である。
米倉弘昌日本経済団体連合会会長の妄言は凄まじい。
『千年に一度の津波だ。あれほど耐えているのは素晴らしい。自信を持つべきだと思う。』
東電の責任は『想定外の天災』なので、『原発賠償は国の責任。』(東電の責任は無い)
『(東電は)一生懸命やっている。(東電の責任は)考えられていないが、東電自体が被災者だ。』
『甘かったということは絶対にない。国の安全基準に基づき設計されている。何十倍も安全。東電は全然、甘くはない。』
『(日本の原発計画の)廃止するという必要はない。』と、有名外国紙に『日本の財界トップが原発事故の心配を嘲笑した』と報道されている。

『大津波やM9 想定却下』、『想定外』ではなく事実は『想定したくなかった』

東京新聞3月23日記事で、福島第1原発の1~3号機の『設計や安全性の検証を担った』設計者ら東芝の元社員二人が証言は恐るべき内容である
元技術社員は、『M9の地震や航空機が墜落して原子炉を直撃する可能性まで想定するよう』上司に進言した。
福島第一原発の惨状を見れば誰にでもわかる、今なら当然過ぎるこの科学的に正しい提言に対して、上司は『千年に一度とか、そんなことを想定してどうなる』と『一笑に付した』という。
元技術社員は、『起こる可能性の低い事故は想定からどんどん外された。計算の前提を変えれば結果はどうとでもなる。』と語る。
東芝や東電などの経済上の利益を優先して、考えられる最悪を『想定する』ことを止め、安易に自分勝手な最善の願望(希望)の方を優先する姿勢は、危機管理の基本からは完全に逸脱していた。
国の決めた原発の安全基準とは、『ここまでなら安全である。』との普通の完成された技術体系の安全基準とは、そもそも性格が全く違っていた。
原子力発電は暴走した時には制御不能で、発展途上段階の危険極まる、巨大な実験装置に過ぎないので、本来は商業としては成り立たない未熟な技術である。
『技術体系の安全』を考えたら資本主義社会での商売が成り立たないので、『(利益を出す為には)ここまでなら(商売として)安全』との意味での安全基準の数値だったのです。
ところが一度国の基準が出来上がると、成立過程の『止むに止まれぬ』無理やりの特殊事情が忘れられて、『ここまでなら安全』との他の安全基準との混同が当然生まれて仕舞うのは、ある意味では当然であろう。
何時の間にか原子力関係者なら誰でもが知っていた『未熟で危険な原子力技術』との本質を忘れた『基準を守れば安全』なる不思議な原発安全神話が生まれてしまったのでしょう。

『福島第一は、安全性の再評価の最中の事故』

福島第一原子力発電所は、2006年に改定された耐震設計審査指針(新耐震指針)に基づいて、津波に対する安全性を再評価している最中だった。
今回3月11日に新しい耐震指針の再評価が始まるより早く大地震が起きてしまった。
東京電力は1966年の福島第一原発の設置許可申請時には、1960年のチリ地震津波での水位変動を考慮して、福島県小名浜の年平均潮位より3・1m高い水位の津波の高さを想定。引き波時の下降水位はマイナス1・9mだった。
その後、土木学会が2002年に『原子力発電所の津波評価技術』をまとめたのを受けて、東電は津波に対する安全性評価を見直した。
マグニチュード8・0の地震による津波を想定し、津波の最大高さは5.7m、引き波時の下降水位はマイナス3.0mとした。
福島県相馬市で記録した東北地方太平洋沖地震による津波の高さは、全国で最大となる7.3m。
東京電力のホームページでは、
『過去最大の津波を上回る、地震学的に想定される最大級の津波を数値シミュレーションにより評価し、重要施設の安全性を確認しています』
『発電所敷地の高さに余裕を持たせるなどの様々な安全対策を講じています』
水素爆発直後の3月13日東京電力清水正孝社長は、福島第一原子力発電所1号機が被災した原因を『地震による揺れではなく、想定外の津波が非常用電源にかかり機能しなくなったため』と無責任にも語る。
東電のホームページを、東電の清水社長は読んでいなかったようです。
本当に東電が、『過去最大の津波を上回る』規模を想定していたのなら、『想定外』という言葉を安易に使えない筈である。

『東電の印象操作』(資料)

福島第2原発、津波の高さは★約7メートル
津波は14、15メートル 福島第1原発は建屋エリアほぼ全域が浸水 津波被害を公表 東電
2011.4.9 19:13
産経ニュース
東日本大震災で福島第1原子力発電所を襲った津波の高さが約14~15メートルだったことが東京電力が9日、発表した調査結果で分かった。東電は同日、震災当日の津波の画像を公開した。
福島第1原発の事務本館1階玄関付近。壁面ガラスが割れている=3月29日(東京電力提供)
★一方、福島第2原発では津波の高さは約7メートル。
海水系ポンプが設置された海側エリアはほぼ全域が浸水したが、主要建屋エリアでは建屋周辺の道路などの浸水に留まり、第1原発に比べ被害が少なかったという。
津波は複数回、同原発を襲っており、第一波の到達は地震発生から41分後の午後3時27分だった。

(福島第一と津波高7メートルの第二は10キロしか離れていないのですから、第一だけ津波高を最初の発表の2倍の14メートルにするとは東電の『想定外』の為の印象操作は明白である)
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異常に巨大な天災地変を想定して作られた法律 (湧泉堂)
2011-05-11 15:41:29
原子力損害賠償法(3条1項)

★原子炉の運転等の際、当該原子炉の運転等により原子力損害を与えたときは、当該原子炉の運転等に係る原子力事業者がその損害を賠償する責めに任ずる。
ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない。

異常に巨大な天災地変が起こることを想定してこの条項が作られたわけです。国民の健康や生命よりも、電力会社の損益を心配して。

原子力利権関係者は、異常に巨大な天災地変が起こることを想定していた(だからこそ、この責任逃れ条項が作られた)。
この観点からも想定外なんていう表現は大嘘です。

もちろん、震度も津波の高さも、過去にもあった程度で、どちらにせよ想定外なんていう言い訳は通用しませんが。
原子力損害の基本は、無過失でも無限責任 (宗純)
2011-05-11 17:06:12
湧泉堂さん、コメント有難う御座います。

この主張は矢張り無理筋でしょうね。
何故ならより震源地に近く地震も津波も福島県よりも大きな規模だったが、東北電力の女川原子力発電所は冷温停止に成功して、周辺地域には汚染は起きず何事も無く収束しています。
ですから比較的弱い地震被害だった東電一人だけが、『異常に巨大な天災地変』を主張していることになる。
そのための印象操作として宮城県の女川の13メートルの大津波を超える14メートルに津波高を嵩上げしたのでしょう。
姑息な手段ですね。
この法律では安全院は、
『免責事由(異常に巨大な天災地変)について』として、
「異常に巨大な天災地変」とは、一般的には日本の歴史上余り例の見られない大地震、大噴火、大風水災等が考えられる。
例えば、関東大震災を相当程度(約3倍以上)上回るものをいうと解している。
 原子力損害賠償制度に関する国際条約としては、OECDのパリ条約とIAEAのウィーン条約があるが、前者では「異常に巨大な天災地変が免責となっているのに対して、昨年9月に採択されたウィーン条約改正議定書においては、第Ⅳ条パラ3において従来免責とされていた「異常に巨大な天災地変」が免責となっていない。
『異常に巨大な天災地変』とは有史以来人類が経験したことの無い天変地異と考えるべきでしょう。
この地域は100年毎に巨大地震と大津波が繰り返されていますし、1000年毎には超巨大な津波と地震が繰り返されていて、前回からは1100年の間隔が空いていた。
それなら他の発電所などとは大きく性格が違い、『絶対に外部に汚染物質を漏洩』してはいけない『絶対に安全である』筈の原発では、この程度は当然予想の範囲であるべきであったと解釈出来るのです。
被害者保護の立場から、原子力事業者の責任を無過失賠償責任とするとともに、
原子力事業者の責任の免除事由を通常の『不可抗力』よりも大幅に限定し、極めて異例な事由に限るという意図で、立法されているのです。
無過失でも原発には責任が生まれるのですが、今回は色々な見過ごしに出来ない大きな過失が福島第一では明らかで、それなら東電には、民法709条による過失責任による賠償責任まで生まれる可能性があるでしょう。
過失責任ですが、そもそも地震列島の津波多発地帯に原発を造ることを認可したことの国の責任も考えられるが、これも東電自体の当事者責任を免れることは無理がある。
いくら天変地異があったとしても今回のように明確な過失によって原子力損害が生じた場合に東電が免責となることは無いでしょう。
それにしてもですね、原発では基本的に無過失でも法律で無限責任を定めているのです。
それならリスクヘッジの観点から、商業的には原子力での発電自体に無理があったのです。
想定外は想定内か (伯爵)
2011-05-28 01:14:26
理屈を言えば、想定外の原発事故でも起きるときは起きると分っていたと思います。 実際には、東電側に蓋然性の比較的低い災害対策にお金を払わないという安全軽視の体質があったのは明らかです。

それよりも問題なのは、どうやって原発事故被害の責任を取るかという、現実的な課題です。 その際に厄介なのは「連帯責任論」なる論理がまかり通ってしまうのではないかという点です。 つまり『国民は原発にリスクがあるのを承知で電力サービスを享受してきたのだから、その地方自治体に金銭的補償が行なわれてきたのであって、今さら危険性を全く知らなかったと言うのは虫が良すぎる』、従って『東電・政府の責任を問うのは当然としても、ある程度の国民の税金や電気料金への転化という形も仕方ない』という話です。

徹底的に東電に金銭的な賠償責任を求めると倒産してしまうかもしれませんが、連帯責任論を適応すれば(倒産を)免れることが出来るのです。
みんなが判っていたと思いたいが (宗純)
2011-05-28 11:16:15
伯爵さん、コメント有難う御座います。

この話ですが、『みんなが危険性を知っていた』筈なのですが、福島第一原発事故後の国や東電やマスコミなど全ての関係者の言動を冷静に見つめて見ると、実に不思議な様相なのですね。
斑目原子力安全委員長は過去に2006年の国会答弁や2007年の浜岡原発訴訟での中部電力側の証人発言でも同じように、
全ての危険性を考えたのでは原発の『設計が出来ない』と明確に述べている。
ですから斑目は『原発は危険である』と認識していたことになりますね。
原発関係者の全員が原発は危険だとは判っているが、
その危険性を全て考えたら原子力での発電などは商業的には成り立ちようが無いのです。
ですから『とりあえず対処出来る範囲の危険性』程度の対策に止めて、それ以上の危険性は『想定外である』として言論を封じ込めしたのが真相です。
想定外の意味は、『想定の範囲から経済的な理由で外した』だったのです。
想定『外』の意味が、普通に使われる能力の範囲を超えていて『想定出来なかった』の意味ではなくて、目先の極短い期間限定の『経済』を優先したために、意識的に想定から『外した』の意味。
長い目で、廃棄物の処理まで考えたら事故が起きなくて商業的には成り立たない。
フィンランドで世界で唯一の原発放射能汚染物質の最終処理所を地下500メートルに建設して今後10万年間管理するそうですが、日本では最終処分地どころか中間貯蔵施設さえないのが現状です。
冷却をやめれば崩壊熱で高温になり爆発する危険性がある使用済み核燃料を、何と原子炉のすぐそばの剥き出しのプールに大量に臨時保管していた恐るべき事実が今度の停止していた筈の4号機の原発水素事故で発覚する。
この危険がいっぱいの燃料プールですが、稼動から年数が経つので何処の原発でも満杯状態で溢れてこれ以上の溜め込みは無理であるらしい。
危険性を認識していたのだが意識的に封じ込めて『原発は安全である』として、この真っ赤な嘘を原発村の全員で声を揃えて合唱していたのです。
ところがここで不思議な事が起きてしまう。
『安全だ』『安全だ』と念仏を何回も何回も全員で唱えると、まったくの虚構であり何の実体もない『安全』が、何時の間にか唱えている全員の脳内で実体化していくのですから恐ろしいですね。
何やら筒井康隆のSFホラー小説のパプリカの様な話なのですよ。
原発メーカーのGMは福島第一原発のマーク1は安全性に問題があり脆弱、水素爆発やメルトダウンの危険性を福島県の事故以前に発表しているのですが、日本国にでは既に実体化していた『安全神話』の恐ろしい影響力で、誰も彼もが『安全である』と思い込んでいたのです。
斑目は管直人に日本の原発は絶対に水素爆発しないと説明していたらしいですよ。
考えたら、これはもうSFホラーのスティーブン・キングの小説並みに恐ろしいですね。

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参照記事:安全に対して「想定外」はない 危機管理、危機管理と言葉だけが流行るが・・・実際にはメディアこそが危機にうとい。 もう、福島県全域が放射能汚染により危険地帯へと成りつつある。 味噌・昆布などヨード類が放射能には良い・・と言われているが、そんな....