逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

40年前の8月15日ニクソン大統領のDデー(ニクソン・ショック)

2011年07月28日 | 経済

8月2日のアメリカのXデーは不可避の情勢になりつつあるようです。
今まで無視していた一般マスコミや経済紙でも8月2日のXデーが取り上げられる様にはなったが、主要なマスメディアは何とかしてアメリカのデフォルトの話を『小さい事柄である』的な話に矮小化しようと躍起になっている。
これは日本で3・11から数週間は『日本の原発は安全・安心』とマスコミや御用学者や政府が口を揃えていっていたが、誰の眼にも原発が危ないことが判った後では言葉を修正して『日本の放射能は直ぐには影響がなく安全・安心』と言い換えたのに似ている。
アメリカのデフォルトは『直ぐには影響はなく安全・安心』と言い出す、とんでもないエコノミストが出てきたのですから、これはもうアメリカの破綻は確実ですよ。
ただで済むデフォルトは無い。
ましてや世界最大の経済規模で基軸通貨のドルのアメリカのデフォルトの影響は巨大津波並みの影響を世界に与えるでしょう。
ただ、津波は地震の直後ではなくて揺れが収まって30分とか1時間とか一定の時間が経過してから襲ってくるのですね。
Xデーの数日後から数週間後に、アメリカのDデーがやってくると考えるべきでしょう。

経済評論家で楽天証券経済研究所客員研究員の山崎 元は、
『短期的に大問題は起こらない』
『もし起こった場合に米国債のデフォルト自体は、たとえば金融危機の引き金を引いたリーマン・ショックのような大問題にはならない』
『今回起こるかも知れないデフォルトは、米政府に必要な支払いを裏付ける資金調達能力が無くなって起こるデフォルトではない。債務を膨らませたあげくに、これ以上の資金調達が不可能になる「支払い能力」が問題なのではなく、資金を調達する上での「手続きの停滞」がその本質だ。かつてデフォルトを起こした新興国や現在のギリシアのような状況ではない。』
『手続き上の障害を取り除いてしまえば米政府は資金調達能力が十分あるし、米国の長期金利は十分に低い水準にある』
と、相変わらずアメリカ経済は『絶対安全、大丈夫』で、破綻したとしても『たいしたことでは無い』と言っている。
日本の福島第一原発事故と原発安全神話の学者やマスコミ論調を参考に考えれば、この主張のちょうど正反対の事態(デフォルトは不可避であり、影響は甚大)が進行しつつある可能性が高いと考えるのが正しいでしょう。

『ヘッジファンドの雄ジョージ・ソロスの引退』

稀代の相場師でアジア通貨危機やロシアのルーブル危機、イギリスのポンド危機など悪名高き数々の武勇伝があるジョージ・ソロスは40年以上のヘッジファンドに幕を引き引退すると今回表明した。
今後ソロスファンドは運用を停止し投資家に資金を全額返還するが、実は今の金融市場はあまりに危険すぎるので現在ファンドは運用資金255億ドルの内現金比率が190億ドル(75%)が全く運用していない『休眠状態』だった。
ヘッジファンドを自主閉鎖するのは今回のジョージ・ソロスだけではなくて“物言う投資家”として有名なカール・アイカーンは既に今年3月時点で運用するアクティビストファンドの70億ドル(約5800億円)を全額投資家に返還している。
アイカーンは撤退する理由を、『過去2年間の相場急騰、景気見通しへの懸念、中東情勢の緊迫などを踏まえ、新たな金融危機からの打撃の責任を負いたくない』と説明していた。
4ヶ月前のアイカーンがファンドから撤退した3月時点では、世界最大の債券投資信託トータル・リターン・ファンド(PIMCO)の米国債保有額はマイナス71億ドル(資産の-3%)で米国債を空売りしていた重大事実が発覚している。
1月末時点では保有比率12%だったこの米国最大の債券ファンドPIMCOは、米国債を2月時点ですべて売って『現金化』していたのです。
本来は債権の利回りで運用益を稼ぐ債券ファンドが米国債を空売りし手持ちの現金をひたすら積み上げている異常事態であり、ファンド等投資家は現時点ではもはや債権での運用を諦めている。
元IMF理事でPIMCOの最高経営責任者モハメド・エラリアンは、『このままでは、世界経済がより激しい乱気流に突入しかねない』と4ヶ月以上前に語っているが、最大手のPIMCOは米国債の『空売り』で自分自身で乱気流を作り出しているのですから何をかいわんや。

『リチャード・ニクソン大統領のDデー』

40年前の1971年8月15日、アメリカ合衆国政府は、それまでの固定比率によるドル紙幣と金の兌換を突然停止する。
アメリカドル(兌換紙幣)による固定相場制という安定したブレトン・ウッズ体制は終焉し、其れ以降は弱肉強食で下克上の戦国時代の為替の変動相場制へと転換して、現在の様な為替投機の頻発する世界経済の激動期に突入していく。
世界経済の枠組みの大幅な変化をもたらす、この兌換停止(ニクソンショック)はアメリカ合衆国議会が夏で休会していた時期を突いて行われている。
まさに突然の『寝耳に水』で、米国市民(マスコミ)には事前にまったく知らされておらず、アメリカ合衆国議会への提案も事前説明も無かった。
この兌換停止が世界経済に大きな影響を与えたがアメリカ国内メディアに、リチャード・ニクソン大統領が政策転換を突然発表する。
この歴史的出来事は『ニクソン・ショック』と呼ばれている。
米軍無敗神話の55万の遠征軍を送って十数年続いていたベトナム戦争で、当時のアメリカは史上初めての負け戦を経験していた。
ニクソンショックの2年後の1973年3月アメリカ軍はベトナムから全軍撤収している。
固定相場制で1ドル360円だった日本円は一夜で240円になり、その後は140円程度になったのですから日本が一生懸命働いて貯めていた対ドル債権は数分の一になり、債務者である借金大王アメリカが合法的に堂々と借金を踏み倒したことだけは間違いない。

『原発安全神話と米ドル安全神話と』

当ブログでは大分前から何回も『何時かは必ず起きる米ドル』の記事を取り上げている。
今回の、8月2日のアメリカのデフォルトのXデーの話ですが、色々な経済学者やエコノミストやマスコミの主張を調べたのですが、不思議なことに誰一人も現実に起きるとは考えていないのですね。
必ずぎりぎりで合意して危機は先送りされる。
デフォルトは可能性としてはあるが、ほとんどゼロであるとの主張がメインで、この態度は良く考えたら福島第一原発事故の起きる3・11以前の、いわゆる原発村の原子力学者とか電力会社、マスコミ、政府の態度と全く同じであるのです。
例外は京大の原子炉研究所の小出助教等の村八分の『異端』だけだったのです。
未だに全く収束の目途さえ立たない制御不能の福島第一原発事故での、この犯罪的な原子力村の無責任、無能力、無反省とそっくり同じであるというのも、何とも縁起が悪いですね。
調べたら私と同じ主張なのは経済学者ではないフリーの国際情勢解説者田中宇程度ですが、彼の場合は多極主義と1極主義なる不思議過ぎる非科学的な発想で、欧米を律する一神教的世界観と社会経済学の無視する態度であり、これには少し辟易とさせられます。


注、
Dデー(D-Day)とは、戦略上重要な攻撃もしくは作戦開始日時を表す際にしばしば用いられたアメリカの軍事用語。
語頭のDの由来は漠然とした日付を表すDayの頭文字との説があり、このDデーの代表例としては連合国軍によるノルマンディー上陸作戦があげられる。
このように事前に予定されているが確定日時が極秘事項であるDデーに対し、Xデーとは、起こることは確定的であるが、いつ起こるか予測できない不確定の重大事件が起きる日を指している。

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Unknown (旅の者)
2011-07-28 23:40:22
はじめてコメントします。
この件は経済危機と言うより、共和党による経済テロというべきでしょうか。

以前どこかで「通貨とは円滑な経済活動のために政府が提供するサービス」と聞いたことがありますが、共和党はこのサービスを停止させてアメリカ市民の生活を壊そうとしているんです。

国債発行高の上限を引きあげてしまえば問題がないというのに、政治的目的のために経済を崩壊させようとしているわけですからまさにテロです。
借金は何時かは返すか、破産するか (宗純)
2011-07-29 14:24:23
旅の者さん、はじめまして、コメント有難うございます。

26日記事、『中国の底力の底、西欧民主主義の暗部、米国債と円高』
にも書いたのですが、マスコミや日本のエコノミストが言うような『共和党(茶会運動)による経済テロ』程度の瑣末な話ではない。
今起きている出来事は善と悪の対立、正誤の白黒のはっきりした、そんな簡単なことでは有りません。
『今まで大丈夫だった』ので、『これからも大丈夫だろう』との思い込みや安心感は何の気休めにもならない。
今まさに、百年に一度起きるか起きないかの価値観の転換を含む激動期に突入しかかっているのです。
アメリカですが、普通なら借金とは何時かは返すか、それとも夜逃げするか、自己破産するかしかないのですね。
ところが借金大王のアメリカは40年前に、ニクソンショックを引き起こして合法的に踏み倒すことに成功している。
それまでのアメリカは世界中の金の8割を所有していて、単なる紙切れのドル札を『金と同じ値打ちがある』と主張して、他国にも認めさせていた。
ところが一夜にしてドル札はやっぱり元のただの紙切れに化けて『今までは美しい夢だった』としたのですね。
ところが、何しろ当時は今以上の圧倒的な軍事力と経済力を持っていたので誰一人文句が言えなかったのです。
40年ぶりのアメリカ大統領のオバマ・ショックですが、ニクソンと同じ手は二度と使えない。
しかし、だからと言って今までの借金を返す気もない。
夜逃げも出来ないし破産することも多分出来ない。
それなら150年前のリンカーン大統領と同じ政府紙幣の発行に踏み切らざるを得ないのです。
政府紙幣の大量発行でのハイパーインフレで借金をチャラにする気です。
ユーロで借金しているギリシャなどとは大違いでアメリカは自国のドル建ての借金なので、何の心配も無いのですね。
QE2が6月末で終了し、ヘッジファンドが米国債を空売りしている現在、国債の上限枠など、今では何の意味もありません。
幾ら日本でも今の状態ではアメリカ国債は買えない。
誰も買う者が無いのです。
ですから共和党の責任云々のオバマ演説とは為にする低級で悪質なプロパガンダの類ですよ。
旧約聖書では20年ごとの奴隷の解き放ちの項目があるのですが、何と50年ごとの徳政令で借金を免除して無かったことにするとの項目もあるのですね。
キリスト教などの一神教では利息は『悪』であり、認めていないのです。
日本人が考えている常識と正反対で、金を借りて返せないこと(アメリカ)は何ら悪ではないが、その様な返せないような金を貸した方(日本)が悪いのですよ。
今後のアメリカですが、胸を張って堂々と踏み倒す確率が一番高いでしょう。
www (雪だるま)
2011-07-30 19:46:33
随分悲観的だけど、この米国債の強い上昇はどう説明するんだ??www
チャート見てみなよw

デフォルトなんて非現実的、もし起きても議会が債務上限引き上げを可決すれば終わること。

今までの国のデフォルトみたいに通貨安を利用して貿易額伸ばして外貨稼いで再建なんて時間も費用もいらないんだよw

たかが数日償還や利払いが遅れても大量保有しているFRB・中国・日本は別にお金に困っていないでしょw

必要以上に怖がると事実誇張のホラ吹きになるよwww
不愉快なら (宗純)
2011-07-31 10:59:31
雪だるまさん、残念ですが『不愉快である』との感情は判りますが、何が主張したいかが理解出来ません。

『米国債の強い上昇』とは、何を指しているのでしょうか。
債権不安での金利の上昇のことですか。
それともデフォルト警戒での米国債の破綻保険の強い上昇でしょうか。
クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場での史上最高値をつけている事実は、世界の投資家は可也悲観的であり、楽観視している人は関係者では一人を居りません。
QE2終了間際の6月時点での駆け込み需要の上昇を指しているなら、その後何が起きたかを見てください。
この記事に記載されていることは、全てが事実であり少しの誇張も歪曲もありません。
何か、事実との齟齬があるならご指摘下さい。

客観的な現実が気に入らないのであれば、今のように目の前の醜く恐ろしい現実に目を瞑り『なかったことにする』のが最良の方法なのです。
ところが、これは結構難しいのですね。
雪だるまさん、良かったですね。
現実を見たくないなら、見なければ何も嫌な思いはしないのです。

此処は何を書いても良い掲示板ではありません。
次回からは、同程度の意味不明の塵コメントは不掲載とします。

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