逝きし世の面影

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秘密タテに答弁拒否(黒塗り資料)のままTPP強行採決

2016年11月05日 | 経済
『TPP承認案と関連法案が衆院特別委で可決』11/4(金)産経新聞

衆院TPP特別委員会の開会に抗議し、退室する野党議員ら=4日午後、国会・衆院第1委員室(斎藤良雄撮影)(写真:産経新聞)
衆院環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)特別委員会は4日、TPP承認案と関連法案を自民党、公明党、日本維新の会による賛成多数で可決した。
8日の衆院本会議で可決され、参院に送付される見通し。

『TPP承認案など特別委可決、民進・共産反対の中 与党が採決を強行』11/4(金)TBS News

安倍政権が今の国会で最も重要な課題と位置づけてきたTPPの承認案などについて、与党と維新の会は、民進党などが激しく反対する中、特別委員会での採決を強行し、可決させました。
「先日の私の不用意な発言によりまして、再び皆様に大変ご迷惑をおかけいたしましたことを心からおわびを申し上げます」(山本有二 農水相)
先月、「強行採決」に言及して大きな問題となった山本農水大臣は今週、「冗談を言ったらクビになりそうになった」と問題発言を繰り返し、4日、再び国会で陳謝し、発言を撤回しました。
「まず山本大臣にちゃんとけじめをつけさせてくださいよ」
山本大臣の辞任を求める民進・共産の両党は、塩谷委員長に詰め寄って審議を進めないよう求めましたが、聞き入れられず、抗議の意思を示し退席。その後、自民・公明の与党と維新が審議に臨み、午後4時半前、民進・共産が激しく抗議する中、採決に踏み切り、TPP承認案などは、自民・公明・維新の賛成多数で可決されました。
「数があるとここまで何でも自分は正しい、自分は間違っていない、大臣の発言は大したことないという表れだと思いました。(安倍首相は)結党以来、強行採決を考えたことがないという、まさにそれが悪い冗談だと思います」(民進党 蓮舫 代表)
与党側は「ルールに則って結論を出したもので、“強行採決”ではない」としていますが、民進党の蓮舫代表は山本大臣に対する不信任決議案の提出について、「もちろん視野に入れている」と述べ、怒りをあらわにしました。

『TPP法案、賛成多数で可決 特別委、抗議の中採決強行』11/4(金)朝日新聞デジタル

環太平洋経済連携協定(TPP)の承認案と関連法案は4日の衆院TPP特別委員会で、自民、公明、日本維新の会の賛成多数で可決された。TPPをめぐる「強行採決」発言など、失言を重ねた山本有二農林水産相の辞任を求める民進、共産両党が採決は拙速だとして抗議するなか、与党が強行した。
地球温暖化対策の新たな国際ルール「パリ協定」の承認案の採決が予定されていた同日の衆院本会議は、「遺憾の意を表して中止する」(佐藤勉・衆院議院運営委員長)として開かれず、承認は先送りされた。政府・与党は8日にパリ協定の承認とともに、TPP承認案・関連法案の衆院通過を目指す。民進党は山本氏の不信任決議案の提出も検討しており、対立は激しさを増している。
4日の特別委は、与党側が民進など野党側と審議日程の調整がつかないまま、委員会採決に向け、午後から締めくくり総括質疑を実施。山本氏は「先日の私の不用意な発言によりまして、再び皆様に大変、ご迷惑をおかけいたしましたことを心からおわびを申し上げます。また発言につきまして、謹んで撤回をさせて頂きます」と謝罪。質疑で「職責を全うする」と答え、辞任は否定した。
これに対して、民進、共産議員は、合意のない状態での委員会開会に反発し、退席。質疑の終了直前、委員会室に戻り、「強行採決反対!」などと書いた紙を手に、塩谷立委員長を囲んで抗議。採決は騒然としたなかで行われた。
民進の蓮舫代表は採決後、記者団に「数があると何でもできるんだということを、まさに自ら行っている」と与党側の対応を批判。不信任決議案の提出が「視野に入っている」と強調した。
臨時国会の会期は今月30日までだが、混乱が長引く可能性があり、政府・与党は会期延長を視野に入れざるを得なくなっている。
山本氏は先月18日の佐藤議運委員長のパーティーで「強行採決するかどうかは佐藤勉さんが決める」と述べ、その後、国会で謝罪。今月1日の自民党議員のパーティーでも自らの発言について「冗談」と発言。参加していたJA関係者には「農林省(農水省)に来て頂ければ何かいいことがあるかもしれません」と利益誘導とも取られかねない発言をしていた。
11/4(金). 朝日新聞社

『国が亡ぶ前に、通常先ずマスコミが滅ぶ』

国家に超越するTPPの強行採決を報じたマスコミですが、親米売国右翼の産経新聞が数行と短いのは当然としても、肝心の『強行採決』の文字が無い代物であり、真実を報じる気が最初から無い。
ダラダラと長い朝日新聞とか毎日新聞系列のTBS Newsが『採決強行』と書いているが、日本国のマスコミの姿勢には違いが無く、基本的に産経新聞と同じなのです。
TPPでは一番の問題点とは政府自民党の強行採決ではなく、未だに肝心のTPPの中身が分からないことなのですが、テレビや新聞など既存のマスコミはこの事実を誰も報じない。
アメリカのオバマ政権の進めるTPPは直接的な生産や流通(関税問題)だけではなくて、労働、環境、安全基準、健康保険や年金など社会保障全般が盛り込まれているが、いずれの協定も交渉は秘密裏に進められ、その内容は議会にも庶民にも知らされていない。
TPPに含まれるISDS条項により企業から賠償を請求されるので、世界企業のカネ儲けを阻むような法律や規制を政府や議会が作ることは事実上禁止されると言われている。
8400ページのTPP関連文章で和訳されたものは2400ページに過ぎないが、もっと問題なのは国会質問でも核心部分に迫るものは『交渉内容の守秘義務』を盾にして答弁拒否を繰り返したことであろう。
表題と日付しかない全て黒塗りのTPP交渉資料では、そもそも国会審議自体が成り立っていないのですから、今回の強行採決以上に問題である。ところが新聞もテレビも一番大切なこの事実を報じていない。

『マスコミの報道では、』

山本農水大臣が10月19日に TPPについて『強行採決するかどうかは佐藤勉(議運委員長)が決める』 と発言したのが騒動の始まりだった。
ところが、自民党の 佐藤勉・衆院議院運営委員長ですが、与野党で4日には『パリ協定』を通過させるために、TPPの方は7日以降に先送りすると決めたいたので、今回は強行採決は蚊帳の外だった。(地球温暖化対策「パリ協定」が11月4日に発効することが既に決まっていた)
議会運営全般を取り仕切る議運を無視した今回の強行採決劇の事実に、民進党議員が、『関東軍と同じだ』と発言しているのですが言い得て妙。弱肉強食、下剋上、今までの常識や慣例が一切通じない何でもアリの戦国時代に突入したのでしょうか。

『本会議中の委員会招致には議長の許可が必要』

衆議院規則第四十一条 には、『委員会は、議院の会議中は、これを開くことができない。但し、議長の許可を得たときは、この限りでない。』とはっきり書いてある。
ところが、TPP特委の塩谷委員長ですが、TPP特委の開催を、議運にも知らせず、衆議院議長にも知らせず、自民党の国対委員長にも知らせなかった。
11月4日午後1時にはパリ協定の批准に向けた本会議が予定されていたので、TPP特別委員会の招集を知らされていない議長の許可はないので、TPP特別委員会の招集は、衆議院規則違反にあたる可能性が濃厚である。
本会議開会に向けて議院運営委員会で調整中にTPP特委が開催されていたが、これはドラフト期間の『空白の1日』で巨人軍に入団契約した江川卓のような常識破りのインチキ話。到底『強行採決』とさえ呼べない代物だった。

『与党自民党幹部さへ認める深刻すぎる法令違反(立法府への介入疑惑)』

11月8日付け毎日新聞によると、『自民党内にも不満顕在化』(TPP採決先送り「非を認めることに」)と題して、
参議院自民党幹部が『「・・・採決した意味がない。与党に非があったと認めることになって仕舞う」と漏らした。』とか、
『先に特別委採決を事前に知らされていなかった同党の佐藤勉衆議院議院運営委員長は7日、衆院議運委で「厳重に与党国対に注意した。こんな風に強引(委員会採決に持っていった例は今まで一回もない」と述べた。』
と与党自民党の明らかな法令違反を、その自民党の幹部すら認めているのですから驚くやら呆れるやら。
国権の最高機関とされる立法府(国会)に対する行政府(安倍晋三政権?それともアメリカのオバマ政権?)の露骨な介入は明らかなのですから問題は深刻である。


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2 コメント

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海賊行為 (あたし新聞)
2016-11-06 22:02:01
何もかも、すべてを奪い取る海賊が、
乗り込んで来る為に、板を掛けてきた。

コノ外患誘致が解って無いお花畑ウヨクっ!
ウスラ馬鹿が愛国とか?国防とか?

諧謔というか笑えませんょ!

漠然とした不安 (宗純)
2016-11-07 08:22:41
あたし新聞さん、コメント有難うございます。

志村建世のブログ2016年11月05日21:37
TPPで日本の破滅へ急ぐ安倍政権
http://blog.livedoor.jp/shimuratakeyo/archives/55711464.html
が指摘しているように、

・・・どう考えても常軌を逸脱していた。安倍政権が、こんな無理をしてまでTPPの採決を急ぐ理由がわからない・・・

誰が考えても、少しも得にならないのです。
詳しく論評しようにも、そもそも成立している今でも交渉内容が4年間は機密扱いで誰も分からないのですから、私としても書きたくても曖昧な推測程度でしか続きが書けない。
情報が黒塗りでは、結果的に今回の記事はえらく短い。
一番考えられる『答え』としては対米従属以外ないが、その中身ですが破壊的カルト宗教の類に一番っ近いでしょう。
破滅に向かってまっしぐらに驀進していることだけは確からしい・・・
NHKでは大河ドラマの真田丸が放映中ですが。…
歴史を知っている我々としては全員が主人公の辿る悲劇的な結末を知っているのですが。これ、今の日本そのものですよ。

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