逝きし世の面影

政治、経済、社会、宗教などを脈絡無く語る

「直下型地震」双葉断層と福島第1原発

2012年02月21日 | 社会

『福島原発で直下型地震の恐れ=「耐震強化必要」-東北大教授ら』 

(2012/02/15)東京電力福島第1原発から数キロ西にある双葉断層で、直下型地震が起こる可能性が高いことが、東北大学の趙大鵬教授(地震学)らの研究で分かった。
地下から上昇してくる水が断層に入り込み、滑りやすくなって地震が起こるといい、趙教授は『原発の耐震強化が必要』と話す。
研究成果は欧州の専門誌「Solid Earth」に14日、掲載された。
趙教授らは、福島県いわき市で2011年4月11日に起きた地震(震度6弱)を引き起こした井戸沢断層と福島第1原発のすぐ近くにある双葉断層の構造を調べ、『両者の地下構造がよく似ている』(趙教授)ことを突き止めた。
二つの断層の地表から地下150キロを比較したところ、それぞれの断層の下で水が見つかった。
太平洋プレートに含まれていた水が、地下の圧力で上昇したと考えられるという。
井戸沢断層ではこの水が断層に入り込み、滑ったことで地震が起きたとみられ、趙教授は『双葉断層付近の水がさらに上昇して断層に入ることがないか監視すべきだ』と指摘する。
(時事通信)

『数年~10年かかるプール内燃料の移送』

2011年12月26日、東京電力は倒壊や大規模な水漏れが心配される4号機プールの燃料を、『来年末か再来年頃から移送する。』と発表しているが、今は建屋が破壊され燃料プールがむき出しのままの危険な野晒し状態である。
核燃料の移送どころか、全く手がつけられていない。
東電の使用済燃料プール対策に対して、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教はプール内の燃料の損傷が極軽微であるとの前提で、『もちろん、移送を開始する前に、プールが倒壊してしまえばもう、終わりです。』、『もう何も打つ手がありませんけれど。』
『もし、プールが、幸いなことに大きな余震に襲われないで今の形状を保っているとすれば、移送して欲しい。』
『通常はプールの中に、移送用の鉛と鋼鉄の100トンのキャスクに入れ使用済みの燃料を引き上げるが、ガレキが散乱して使用済燃料の上に乗っている状態で、出来るかどうかすら判らない』。
『わからないが、何とかその方策を考えて移さなければいけない』。
『2年かかるのか3年かかるのか。』
『あるいは10年かかるのかわかりませんが。大きな余震が来る前にとにかく移す必要があるが、でも大変、難しいと思う』と語る。
3月時点で、管直人首相への保安院からの報告内容では、稼働中の原子炉内の燃料棒の数倍の4号基プールが倒壊したり水の大量漏洩で、冷却が失敗してメルトダウンした場合には東京を含む関東の3000万人が退避するとの試算が出ているのです。
現在の燃料プールの現状から判断すれば、今回の福島第一原発直下の双葉断層の存在は大問題である。
ところが、この大問題がマスコミではごく小さい扱いであり、世間で話題になることは無かったのです。何とも理解に苦しむ、不思議な話である。

『場所よりも、確率よりも、期日の近さが大事?』

この、『福島原発に直下型地震の危険性』という時事通信14日配信の記事についての関心度の低さですが『異常』というしかない。
この原因では、『何十パーセント』との確率も『何年間で』との期日も両方の表示が無いので、報道機関や世間に無視された可能性が高い。
実はつい最近、今回とは正反対の面白い例がおきている。
読売新聞の1月23日朝刊1面で、『首都直下型/4年内70%/M7級/東大地震研試算』と特報して大騒ぎになる。
他紙も、この読売記事の追従報道を大々的に行ったのです。
ところが、この記事自体は新しいニュースでも何でもない。
既に4ヶ月も前に、毎日新聞の9月17日朝刊に記載されていたのですが、この時には世間に注目されることはまったく無かったのである。
4ヶ月前の毎日の見出しは、『首都圏直下/M7級/30年で98%』だったが、この記事と、読売新聞の大ヒット記事とは、実は同じ内容だったのです。
東大地震研究所の試算では、『30年以内に98%』と『4年以内に70%』を同時に発表している。
ところが4ヶ月前の毎日記事では『確率の高さ』(98%)を記事の前面に出し、読売の1月の記事では『時期の近さ』(4年以内)を強調した。
この勝負は毎日は無視され、対照的に読売が大勝利するのですから、これは不思議な話ですね。
今回の『福島原発に直下型地震の危険性』ではパーセンテージ(確率)も無いが、もっと決定的だったのは『何年以内』との期日の指定が無い。
期日も確率も書いていても無視された毎日記事の先例があるのですから、時事通信記事では100%世間から無視されるのは当然だろうとは思います。
が、しかし、それにしても数年~10年もかかるプール内の核燃料移送の困難度と、崩壊寸前の脆弱な4号基燃料プールの危険性を総合して考えれば、これは本当に困った話である。
局地的な被害がでる直下型地震の怖さは桁違いである。
阪神大震災で、新幹線や高速道路の橋脚、最新式の近代ビルが簡単に破壊する凄まじい猛威が証明されている。
爆発で上半分が吹き飛んだ4号機格納建屋ビルのプールの脆弱性は言うまでも無い事実であるし、プール内の核燃料の多さも半端でない。
しかも3・11大震災からたったの一ヵ月後に起きた福島県いわき市の井戸沢断層地震(震度6弱)と福島第一の双葉断層の間に関連性があるとすれば、それなら発生の時間的余裕も似ている可能性がある。
例え、人々の関心度の強弱に、時間>確率>場所の関係があるとしても、福島第一原発の双葉断層地震に時間的に、世間で話題になった読売新聞の『4年以内』よりも短い可能性も十分にあるでしょう。

『直下型地震の恐怖』

福島第一原発の原子炉6基が想定していた加速度は412~487Galであったが、3.11大震災時には一部で550Galに達した。
しかし1月後の4月11日に起った井戸沢断層が滑った地震(M7.0、 震度6弱) の最大加速度は2071.1Galと2千Galを超える値だった。
これは昔は絶対に地震では超えることはないとされていた重力加速度1G(980Gal)の倍以上である。
ちなみに直下型地震だった阪神大震災での最大加速度は848Galで、1995年当時としては最高値であった。
3・11の東日本大震災から3ヵ月後の2011年6月9日、政府の地震調査委員会が全国の活断層を再評価して発表している。
委員会のシミュレーションで全国の100余りの断層のうち三つが一定の基準値を超え地震発生確率が高まったと発表しているが、この内の一つが、今回記事の福島第1原発に近い宮城・福島両県にまたがる双葉断層で、以前は南相馬町までの数十キロ規模であると考えられていた。
ところが実は活断層はもっと南まで連続して続いていて、福島第一原発の遥か南のいわき市まで100キロメートルの巨大な規模の断層であることが判明している。
双葉断層に沿って幅1〜2kmの帯状で南北に連続する高重力異常が非常に明瞭に検出され、特に南にいく程、重力異常の値は大きくなっている。
『政治』 ジャンルのランキング
コメント (6)   トラックバック (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« ブラッシングボールと武道、... | トップ | 「赤信号みんなで渡れば怖く... »

6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
やはりそうでしたか (KENBO)
2012-02-20 21:16:51
双葉断層は、いわゆる活断層カッターによって短く見積もられた場所でしたが、この記事を拝見しあらためて過去の亡霊が蘇ってくるような不気味さを感じました。
数字に意味はない (くまごろう)
2012-02-21 02:17:37
意味はない、は言い過ぎですが、ざっくりとした意味しかない、というのがわからないが故に、数字に騙される。
トンデル氏の低線量被曝の論文だと、低線量被曝の影響は他の要因に紛れるが、被爆量の増加による影響の増大に関しては統計上有為な数値が出ている。
この他、低線量被曝とタバコやストレスなどの要因を統計上、有為に区別できたデータは存在しないことから、低線量被曝の影響はタバコやストレスよりずっと低い、と軽々に断じるのは誤りです。
タバコやストレスと低線量被曝とではサンプル数に大きな差があります。サンプル数が多ければ小さな影響のものでも、これくらい、と言えるが、少ないと紛れてしまう。それを考慮すれば、「低線量被曝の影響は、タバコやストレスに比べて特別高いことはないだろう」というのが現状。

最近の地震の話題であれば、数十年の範囲で首都直下や福島直下がいつあっても不思議ではない、というのが数字が意味するところで、具体的な数字はどういう条件で計算するかでどうにでも変わる。

ギャンブルなどは確率よりも期待値に重きをおきます。確率と結果をかけたものが期待値で、競馬や競輪などの胴元が絶対儲かる理由は、この期待値が常に1以下(日本の公営だと0.75)になるよう配当(結果)を決める。この場合の確率とは人気(買ったものの予想)なので、競馬で儲けるにはこの25%の目減り分を超えるだけ、周囲に抜きんでて正確に予想しなければならない。

今回の福島直下は、確率は出ていなくても、関東退避の結果をかけた期待値(心配値と言うべきか)は、かなりのものです。
大地震自体は避けられず、その被害を少なくするのは防災対策を地道にするしかない。
しかし、余震がくる確率と、その結果の積算、被害は、四号機プールの崩壊により大きく変わる、これは、困難であるにしろ、場合によっては人間の力で被害を小さく抑えられるという意味でも、大きな被害が出る確率が高いという意味でも、話題になるべきことです。
KENBOさん、はじめまして (宗純)
2012-02-21 16:19:27
コメント有難うございます。これからも宜しくお願い致します。

この双葉断層ですが、以前は南北に延びて居るが宮城県から福島県南相馬市までであり、福島第1原発からの距離は数十キロもあると見られていたのです。
ところが実は第一原発の遥か南のいわき市まで100キロの巨大な規模の断層であることが判明している。
しかも政府の地震調査委員会が3・11の東日本大震災から3ヵ月後の6月9日、
全国の活断層を再評価してシミュレーションで全国の100余りの断層のうち三つが一定の基準値を超え地震発生確率が高まったと発表している。
三つとは、
今回記事の、(1)福島第1原発に近い宮城・福島両県にまたがる双葉断層
(2)「糸魚川-静岡構造線断層帯」の一部で長野県にある牛伏寺断層
(3)東京都と埼玉県にまたがる立川断層帯

この話は確率的にも場所的にも時期的にも大分恐ろしいですね。
進化心理学では (宗純)
2012-02-21 17:37:44
くまごろうさん、コメント有難う御座います。

この話は実に不思議ですね。
我々人類ですが大脳が発達したので全てを大脳で処理していると思われ勝ちなのですが、実は脳幹とか海馬とか古い脳が大事な役目を担っているらしい。
世界が百人の村だったらとの話が一時大人気を博したが、実はあれは進化心理学では当然なのですね。
人類の脳は150人を識別するのが限度らしいのです。この原因とは長い間我々人類は草原での100人以下の血縁集団で暮らしていたので、それ以上の識別能力は必要でなかった。
何千人とか何万人とかは、最初から無理なのです。
ましてや何十億人なんかの単位は識別も理解も不能。
これを『百人の村だったら』と仮定すれば簡単に真実が理解することが可能だったのでよ。
同じように4年までは我々人類の脳が理解することが可能だったが、30年先では能力的に予想することが無理なのですよ。多分。
これは我々人類が草原で2~3百万年もの長い間に身についた能力の限界であり特性でもある。
何とも不思議なのですが橋下とか石原慎太郎などの怒るリーダーの真っ赤な嘘を、一般市民が信じると言うのも、進化心理学では説明が出来るそうで、こちらの方はもっと古くて人類が600万年前に森林に居た時代の名残らしいのですよ。ジャングルの道徳ですね。
冗談じゃ無い何が進化心理学。 (農婦)
2012-02-23 13:01:18
確かに、一理もに理もあっルカもしれません橋したのいゆことは。とにかく弱い物者を、一掃してから、日本を、日本人を、良い方向へ、改革しようという心根が気に食わない。第一私などはずうと底辺そうで生きてきたから(別に自慢で無いのですが、成り行きで)、私も人間です。それなりに日本国民で有り貢献してきました。誰かがその立場に立って、労働をしなければ糸を紡ぐことはできないのですと、私は言いたい。私のひがみかもしれませんが(私はそうは思ってませんが).簡単なこと。生かされていることを、謙虚な心で受け止めて、生きることができる心があれば、持てれば、いくらか楽になれるものに、と、私自身に言い聞かせつつ、腹を立ててます。相変わらずすみません。
説明がつかない不思議な現実 (宗純)
2012-02-25 14:35:38
農婦さん、コメント有難う御座います。

この進化心理学ですが、これはニュースステーションでの橋下徹と山口二郎のテレビの討論番組で2チャンネルが橋本大勝利と誤解した椿事を、無批判に事実であるとして愚樵空論が紹介していたことに由来しているのですよ。
愚樵さんですが1年程前から何とかして科学の鼻を明かしたいとの思惑から不思議な妄想に囚われてしまい正常な判断が出来ない。
橋下の今までの言動の記録とか客観的事実と照らし合わせれば山口二郎北海道大学教授の圧勝なのは誰の眼にも明らかなのですよ。
ですから2ちゃんねんるとか愚樵さんとかは正常な正しい判断が出来なかっただけであるのですね。
では何を根拠として橋本の圧勝と事実と正反対に感じたかと言えば、この理由がさっぱり判らない。
正しく物事が見えないのですが、ほんの僅かの常識があれば誰でも可能なのですよ。
普通なら誰も間違えない。
ビデオを何度も見て観察した結果、橋下はわざと怒って見せていたのですよ。
これで知性に問題のある2ちゃんねるは、橋下は信用できる、正しいと判断したらしい。
もちろん山口氏はインテリなので、そんな恥ずかしい真似は判っていても絶対に出来ないのですね。
そして2ちゃんねるの連中は人類が未だ密林に居た500万年程度前の道徳とか知識程度に止まっているので『怒っているものは正しい』とのジャングルの知識や常識で判断下のでしょうね。何とも阿呆臭い話です。

コメントを投稿


コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

数字4桁を入力し、投稿ボタンを押してください。

あわせて読む

2 トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
  • 送信元の記事内容が半角英数のみのトラックバックは受け取らないよう設定されております。
  • ※ブログ管理者のみ、編集画面で設定の変更が可能です。
今ほど陛下の弥栄が祈られる時はないかもしれない。 (Dendrodium)
今日は久しぶりに暖かく晴れた日となった。 天皇陛下も集中治療室から病室に移られたと、ニュースで言っていた。 関連記事 http://sankei.jp.msn.com/life/news/120220/imp12022011300002-n1.htm 執刀医の...
『天災と国防』 (反戦塾)
戦後、大規模自然災害は何度かあった――。 今、世に起きていることの「非日常」はとてもそんなものではない。地震・津波の地獄、放射能汚染危機、人口移動、内外の経済秩