阪神間で暮らす

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いまこそ冷静さと知性が必要

2015-12-28 | いろいろ
白川勝彦氏の「永田町徒然草」より

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いまこそ冷静さと知性が必要

15年12月26日

No.1802


 押し迫ってきた。今年を大雑把に振り返ると、“異常なことの連続”と言ってよいであろう。この暮れになっても、各地で異常なことが続いている。世界各地で、異常な気象現象が起こっている。異常な暖冬なのである。それに比べれば、わが国の暖冬など、可愛いものである。暖冬というと直ぐに“地球温暖化”といわれるが、もしこんなスピードで温暖化が進んだのでは、大変なことになる。エルニーニョ現象が、その原因なのではないか。

 だからといって、地球温暖化問題がどうでもよいと言っているのではない。間違いなく地球温暖化は進んでおり、人類は、これに立ち向かっていかなければならない。私は、最大の責任は先進国にあると思っている。わが国は、いまや間違いなく“先進国のひとつ”である。その先進国に住む私たちは、省エネルギーに最大限努めなければならない。

 私のような世代は、わが国が先進国といわれる以前の生活を知っている。昭和30年以前のわが国は、中進国とも言えなかっただろう。その時代の生活を思い浮かべるなら、本当に必要なものは何であるかが分かる筈である。若い人たちから、そんな“みじめったらしいこと”をしなくとも良いのではないかと言われても、“質素と倹約”に努めた方が良いと、私は思っている。

 地球温暖化問題が大きくなるに従って、原発がまた大手を振って歩きだしてきた。わが国は福島の原発事故で、原発の恐ろしさと悲惨さを嫌というほど知らされた筈だ。原発事故の恐ろしさと悲惨さを知っている国として、ドイツと共に、原発が無くとも文化的な生活が可能であるとして、脱原発を実践する国を目指すべきだと、私は考えている。世界の殆どの国は、原子力発電を当然だとしているが、必ず、大きな悔悟と反省をすることになるであろう。

 暖冬と言われているが、冬は冬である。いま、世界全体で2000万人が住む家を失い、難民となっているという。冬空の中で、一家して彷徨う人々のことを、忘れないようにしたいものである。世界の先進国で起こっているテロも、果たしてその大本の原因に、先進国の責任はないのか。アフガン戦争とイラク戦争がなかったならば、現在問題となっているテロもなかったことだけは確かだと、私は、そう考えている。

 18世紀後半に起こったアメリカ独立革命とフランス革命が掲げた“自由・平等・博愛”の理想と思想は、ヨーロッパとアメリカとわが国等の基本的価値観となった。しかし、その基本的価値観が、すべての国や地域で基本的価値観になるとは限らない。少なくとも“自由・平等・博愛”の基本的価値観を強制することは、できない筈である。私は、テロとの戦争ということで、アメリカやフランスや西側諸国が“自由・平等・博愛”の基本的価値観をかなぐり捨てようとしている現実を、悲しく思っている。私たちが信じる“自由・平等・博愛”の思想は、そんな薄っぺらなものでは筈だ。

 世の中全体が異常なのについては、大方の人々が同意してくれるだろう。しかし、私の政治的感覚が普通の人より過敏なのだか何だか、この異常な現象が私には“狂”と映って仕方がないのである。そんなに、質的な違いがある訳ではない。“異常”であろうが“狂”であろうが、こういうものに対するときに必要なものは、“冷静”と“知性”である。たとえ大勢に嫌われようが、良識ある人々は、冷静さと知的さを失ってはならないと考えている。

 今日は、このくらいにしておこう。それでは、また。
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