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規制緩和でタクシー業界は存亡の危機 法律の抜本改正を

2013年06月26日 | Weblog

【インタビュー・シリーズ その78】
規制緩和でタクシー業界は存亡の危機。法律の抜本改正を
全国自動車交通労働組合連合会 書記長 松永 次央さんに聞く

【プロフィール】
 1957年東京・豊島区生まれ。一般企業を経て、92年に日本交通(株)に入社と同時に、日交労働組合に参加し、同銀座支部で94年から支部役員、書記長、支部長を歴任。その間、日交労の常任執行委員、本部教宣部長を務め、2011年10月から全自交労連書記長に就任。若い頃はバスケットボールやスキーなど様々なスポーツを楽しむ。海釣りが趣味で「海を見ながら何も考えない時間はとても貴重」。しかし、今はほとんど休みも無く「書記長になったばかりなので、時間があれば労働関係の資料を読むばかり」の日々。

 

――松永さんが労働運動に入られる経緯を教えてください。
 私は薬品関係の会社に就職し全国営業をしていました。しかし、業績も上がっている中で、突然、計画倒産をされました。労働組合もなかったので、労組を結成して約3年間闘い、一定の補償を勝ち取りました。その時、労組の必要性を痛感したのですが、同時に大変さも味わったので、日交労に入っても積極的に運動をやるつもりはありませんでした。しかし、組合の運営のやり方に意見を言ったら、それをきっかけに周りから組合役員に推挙されてしまいました。その後、会社と様々なことで交渉して、仲間を助けることに目覚めたのか、すっかり組合活動にはまってしまったようです(笑)。

――全自交労連はどのような組織なのですか。
 戦後まもない1947年9月に、東京や名古屋、大阪など6大都市のハイヤー・タクシー関係の組合が集まり「全国旅客自動車労働組合連合会」(全旅労連)を結成し、58年に総評に加盟しました。60年に組合の名称を「全国自動車交通労働組合連合会」(全自交労連)に変更、ハイヤーやタクシー、観光バス、自動車教習所で働く労働者を組織しています。
 全自交は早くから、ノルマ制の禁止、乗務距離の最高限度規制、休憩及び睡眠施設など過労運転防止に関する法規制の整備などに取り組んできました。大都市だけでなく地方組織の加盟も進み、65年には566組合、約5万人の組合員を擁したこともあります。
 また、同じ産業で働く労働者を組織する全国交通運輸労働組合総連合(交通労連)や日本私鉄労働組合総連合会(私鉄総連)とともに「ハイタクフォーラム」を作って、ハイヤー・タクシー産業の健全化と適正な労働環境の確立を求めています。

――ハイヤー・タクシー業界は、小泉構造改革以降、大変な状況ですね。
 2002年に改正道路運送法が施行され、需給調整規制の撤廃に伴い、増車と低運賃など、過当競争にさらされました。そもそも、公共交通やマイカーの発達で、タクシー利用者はこの30年間で、年間延べ32億人から15億人に減っているのです。そこに規制緩和で事業者が倍増したのですから、売り上げが減るのは当たり前です。その低下分はほぼ全額、人件費削減として労働者に押しつけられ、年収は、1991年の430万円を頂点に、2011年には291万円まで下がってしまいました。
 タクシー産業で働く労働者の厳しさをマスコミなどが取り上げ、社会問題になり、09年に「タクシー適正化・活性化特別措置法」が施行されました。国も20~30%も車両が多いことを認めましたが、強制力のない減車の取り組みのため、不十分な台数削減にとどまり、減車しない事業者との不公正も生み出しました。また、運賃も新たに自動認可運賃制度が導入され、3年間で下限割れ運賃事業者は1208社から317社まで減りました。しかし、労働者の賃金・労働条件については抜本的な改善には至っていません。

――規制緩和政策の根本的な転換が必要ですね。
 小泉構造改革を進めた竹中平蔵は「構造改革のモデルはタクシー業界だ」と言っていますが、いまや、タクシー運転手の平均年齢は57歳で、高知県や徳島県では65歳前後になっています。しかも、高知県では年収は160万円程度と最低賃金以下の状態で、若い人が入ってこないのですから、業界として存続できるか大変厳しい状態です。
 私たちは、この現実を踏まえ、ハイタク政策を根本から転換させるため、業界団体や民主党と連携して、道路運送法を抜本改正して新たな「タクシー事業法」の制定を求めてきました。昨年3月に民主党がまとめた法案は、事業者資格の免許制、減車の徹底、運賃制度を改善するもので、成立を期待したのですが、12月の解散・総選挙で先延ばしされました。現在は、与野党間で内容を調整して、自公民の三党が合意して、今国会に提出されることに期待を寄せています。内容は不十分なところもありますが、それでも成立させないと業界が潰れてしまう危機感から、私たちも全力で関わっています。
 特に労働環境の改善に向けては、歩合給の割合を抑えた固定給を中心とする賃金制度の再確立や、不当な運転手負担や賃金カットをなくすよう求めています。運賃制度では、下限割れ運賃を認可しないことや、「相対運賃」の根絶、極端な遠距離割引などを排除させ労働環境の抜本的な改善が望まれます。
 また、過疎地域などで公共交通機関に寄りがたい場合に例外的に認められている自家用車を使った有償での輸送が、その趣旨を逸脱して拡大していたり、運転代行業でも違法営業が目立っており、実態調査を行って必要な法制化を求めています。これらは、利用者にも理解してもらうことが必要です。

――将来的にはどのような業界になればいいと思っていますか。


新潟県内でのタクシー運賃改定が公正取引委員会からカルテルと
認定されたことに抗議する行動(5月9日・公取委前)

 今は35万人のタクシー労働者がいます。そのうち、全自交労連は約2万2千人の組織です。ハイタクフォーラム(交通労連・私鉄総連・全自交労連)の組合員をあわせても約5万人しかおりません。将来は、組織を増やしタクシー労働組合連合会を作って、労働者の賃金・労働条件を確立し、各地域のタクシー事業者に「利用者に喜んでもらえるタクシー労働者を紹介して業界の活性化をめざす」、これが私の夢です。
 タクシー労働者の中には、利用者を荷物のように扱ったり、様々な会社を渡り歩く人もいます。そうしたことを止めさせ、労働者もスキルアップする必要があります。全国的に報酬や労働条件を同じレベルにしていけたらと思っています。

 

――平和フォーラムに期待することはありますか。
 いま、一番大きな問題は憲法だと思います。自民党の改憲案では国防軍を作るとしています。しかし、いまの自衛隊の人数だけで足りるのか、どういう人を募集しようとしているのかなど、問題が多いのに、マスコミは伝えようとしていません。96条を変えて改憲発議をしやすくして、国民投票をしようとしていますが、その前に止めていくことが必要です。私は意識的に組合員に憲法問題を提起していますが、参議院選挙での争点にしていくべきです。方針をしっかり打ち出せば、人は動いていくと思います。ぜひ、改憲反対の大規模な集会をやってほしいと思います。
 また、脱原発や沖縄をはじめとする米軍基地の縮小・撤去も課題です。環太平洋経済連携協定(TPP)についても、新自由主義の直撃を受けた私たちは反対しています。消費税増税も、タクシー業界では売り上げ1000万円以下の免税となる個人タクシーもあるので、廃案を求めています。多くの分野で平和フォーラムに期待していますし、私たちも出来る限り活動に参加していきます。

〈インタビューを終えて〉
僕が幼い頃、故郷の北海道の村にはタクシーが1台ありました。赤いいすゞのベレット、リヤエンジン・リヤドライブの車に憧れ、運転するおじさんの姿が輝いて見えました。しかし今、規制緩和の象徴にされたようなタクシー業界は、その存続さえも危ない状況に陥っています。松永書記長の言葉に危機感がひしと伝わってきました。しかし、この熱い思いがあればこそです。働くことと共存できない社会は、発展しないと思います。働く者の権利と誇りを取り返す闘いは大切です。   (藤本 泰成)

社民党のHPは http://www5.sdp.or.jp/


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1 コメント

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労働法~生活~ (村石太ダー&芸能DNA)
2013-07-03 11:08:12
消費税増税で 検索中です
消費税増税すると 中小企業 農業 漁業~失業者~失業保険~フリーター~どうなるのかなぁ。金利は どうなるかなぁ?(ローン)
物価高になるのかなぁ?家賃値上げになるのかなぁ?
国家赤字の埋め合わせなのかなぁ。
衆議院 参議院 かぁー?(思い起こせば 政治~社会科の授業~選挙~与野党~。政治研究会(名前検討中
自公政権の大人気ですね。対抗馬は あるのかなぁ?票割れと選挙と~選挙率低下~
夏の参議院選 どうなるかなぁ?
民営化大企業と日本~思えば 民営化は 国の財産だった・・・と思う。

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