DREAM/ING 111

私の中の「ま、いいか」なブラック&ホワイトホール

負の連鎖

2008-06-12 | NEWS/TREND
【秋葉原無差別殺傷】人間までカンバン方式

派遣の問題、携帯の問題、・・・
犯人があらかじめまいた「同情、共感喚起」の種が
順調に育ってる感じでしょうか?
『蟹工船』が若者に人気を博する、
ネットトラブルが増加し、深刻化している、
そういうバックグラウンドにおいて
犯人に自分や周囲との共通点を見いだす可能性(危険)は大きい。
そしてそれこそが、この犯人の狙い(=自分だけが悪いのではない)だとも思う。

で、上記の記事に書かれてることは1つの事実。だけど、孤独が殺人の動機であっていいはすがないし、孤独以外にも、職場のマイナス条件はいくらでもある(過労死、セクハラ・パワハラ、格差、その他)。いや、マイナスのない職場のほうが少ない(人間に向上心がある限り不満はなくならない)だろう。
で、視点を変えれば「職場で人と会わない」・・・だから確保されていた自由もあったはずだし、仕事で孤独だとしてもプライベートで解消している人も多いだろう。密度だけでいうならもっと孤独な職場だっていくらでもある(私のような自営業なんて最たるものだ)。
仕事の不満は結局のところ突き詰めれば&乱暴に言いきれば個人のスキルと許容量の問題だと思う。こうした「孤独」に共感し痛みを感じる人間だけが、それを犯罪動機として認知する。そしてそれぞれが自分の痛みを犯人に投影する。

トヨタの弁護をするつもりはないが、正直、トヨタ方式=下請けシステムは今にはじまったわけではないし、今までも何度も問題になってきた(バブル崩壊後の大規模な下請けリストラ時の記憶は、私の年代にはまだ鮮明なはず)。一方でトヨタ方式がずっと日本経済を裏支えしてきた事実もある。
もちろん、だから「いい」というものではないが・・・こういう時に長らく行われてきたシステムの悪い面だけにフォーカスロックするのは読み違えをすると思う。

同様に、派遣システムが持っている根本的なビジネスベネフィットは人材の短期調整・適量配置機能であり、必要な人材(質・量ともに)だけを適時確保できるのが最大メリットであって、それは同時にイヤになったら履歴に傷をつけずにいつでも会社を変えられる(=企業や仕事に必要以上に縛られたくない)というスタッフ側のメリットでもあるはず。
ヒトによっては、正社員になりたいのになれない結果の選択という場合もあるでしょうが、もともと派遣とは、更新されないリスクを孕んだシステムだという認識は必要かと・・・。で、こちらもトヨタと同じく、派遣だからこそ別段保証やスキルや経験がなくても働けている層も存在することを忘れてはいけないかな、と。
派遣システムに問題がないわけではない。現在の日本の労働市場を不活性化させる原因があるとしたら改善すべきだし、すでにグッドウイル問題で噴出した問題への議論も行われている(実際はまだまだ根は深いですが)、ただ、それはこの事件とは無関係に行われるべきだと思います。

で、少し冷静に考えれば、過去に大量のリストラが行われそのダメージから現在も逃れられない人も多々いるし、業界を問わず今なお毎日多くの「正社員」がリストラされ続けているわけで。会社に貢献してきた長期勤続者もその例外ではない。労働環境という視点で普通に考えれば、私はそっちのほうが深刻だと思うのですが・・・。

携帯の問題、ネット犯罪の問題、親の問題、教育の問題、
事件の背景を探れば、なんだって結びついていくだろう。
ただ、忘れてはいけないのは、同じ条件もしくはもっと過酷な境遇でも
多くの人間は殺人は犯さない、という圧倒的な事実であり、
犯人の甘えと言い訳を一般に解き放してはいけないと痛感する。

いろいろな議論は重要だとは思う。が、この事件とは切り離しておかないと、犯人の思うツボだと感じる。「トヨタで働く派遣社員」「親とうまくいかない人間」「挫折をした人間(度合いは違うにしろ一度も挫折しない人間なんているのでしょうか?)」「携帯サイトに不満を書き込む人間」が全員犯罪者予備軍ではない。
犯人をこれ以上自我強化させてはいけないし、自分のシナリオ通りになった勝利感を味あわせてはいけない。


※・・・こういう記事そのものが犯人の思うツボな気がするので
 公開扱いはこれで最後にします。
 飛び散って増殖する。悪意と不満と不安はまるでレギオンのようだから。


「決意の上での犯行」 秋葉原の無差別殺傷事件 (3ページ)

加藤容疑者「誰か止めてくれればよかった」 (3ページ)


「秋葉原と同じことやる」 電話の男を聴取

秋葉原殺傷:関係閣僚会議で再発防止策を協議 政府



追記:
「若さ」は自分の不幸に敏感だ。他人の不幸経験を共有化する機会が少ないと余計に。自分を振り返っても、自分だけがワリをくってるように思った時期はあった(だからこそ7回も転職してるわけで)。でも今思えば当然すぎるほど当然だ。仕事を任せてもらえる実力がなかったのだから。で、それが見えてないのもまた若さゆえで、でもそういう挫折経験含めマイナス経験ばかりではなかったと思ってる。
20代のみなさんは、もっと視野を広くもって、もっと勉強して、自己憐愍に飲まれないように。世界は広いし、日本に生まれただけでもあなたはすでにラッキーなのだから、今の時代はまだ。

と、おばさんが何を言っても、わかってもらえないかもなー。
それもまた若さのなせるワザだからなぁ。
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11 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは。 (まっつん)
2008-06-12 10:23:51
有難うございます。

私は乱暴で直球な事しか言えないので、こういった具体的な記事を書いて下さった事に感謝いたします。

>携帯の問題、ネット犯罪の問題、親の問題、教育の問題、
事件の背景を探れば、なんだって結びついていくだろう。
ただ、忘れてはいけないのは、同じ条件もしくはもっと過酷な境遇でも
多くの人間は殺人は犯さない、という圧倒的な事実であり、
犯人の甘えと言い訳を一般に解き放してはいけないと痛感する。

勿論分かってる若い人も居るとは思いますが、
同調して勘違いさせない為にも報道のあり方が左右すると思います。

最後と言わず、正しい発信は、
>こういう記事そのものが犯人の思うツボな気がするので
とはならないと思うので、
どんどん訴えた方が良いと思うんですが・・。

有難うございます。
まっつん様 (なるもにあ)
2008-06-12 14:43:48
この事件に関してはさすがに毎日多くのブロガーがとりあげておられ、
私よりはるかに理路整然かつ具体的に書かれてる方は非常に多いです。
この件では自分で記事を書くつもりはなかったのですが
言葉が押さえられず、感情に走って書いてしまいました(汗;;。
若年者犯罪、無差別犯罪、その他専門的解釈をされている記事も多い中で
私のはものすごく感情的で、「呪い」に近いと思ってます。
なので、とてもまっつん様のお役にたっているとは思えないのですが;;
もし、この読みにくい記事に少しでも共感をもっていただけたのなら、
感謝します。こちらこそ有難うございます。

>こういう記事そのものが犯人の思うツボな気がするので
とはならないと思うので、

うん。
まっつん様の考え方のほうが圧倒的にメジャーだし健全だと思いますし、
そうした自覚のある情報発信はとっても重要だと思います!
私のは本当に個人的な呪いに近く、
自分の中でマイナス連鎖になりがちゆえの懸念として
ご理解くださいね。

いろんな意見、見方があるのがブログのメリットだと思います。
またまっつん様の記事も拝読させていただきますね!
(アクセスしたのですが、こちらのPC不調でいくつかの記事が読めなかったので)
Unknown (GS)
2008-06-12 15:40:23
今朝もまたテレビで加藤事件をあれこれやっていました。「ずいぶんと中途半端に引っ張るのねぇ~」と思いました。大量殺人好きの自分としても、ずいぶんと引っ張らしてもらって、火曜日で飽きちゃったんですけど。

マスコミは滅多に無い美味しい事件をそこまでとことんしゃぶりつくそーとゆー魂胆なのかと、それならそれで裁判の経過報告まできちんとやってくれりゃあイイのに、数字が取れない臨界点を過ぎると全くやらなくなっちゃうし、だって、6月8日だよ、あの日本史上類を見ない鬼畜・宅間君の事件と全く同じ月日ですよ、ここで蒸し返してくれないでどーすんだ?!と自分は思いました。懐メロ唄ってくんないと寂しいんよ。

事件そのものよりも、マスコミ関係者の方々の消費消耗活動の動きの方がオソロシイもんがあります。

だってやった当事者にしかわかんないんじゃないでしょ?あれがなんだったのかは

みんながあんなに大喜びするとは思わんかったなー、でもみなさんも下衆で安心しましたけんど


GS様 (なるもにあ)
2008-06-12 21:10:11
いや、ちょっと前にネット不信どっぷりだったのに、
またまたマスコミにつられてしまい面目ない;
裏番組では毎度おなじみの与野党が荒れてるので、まぁ、そういう大人のマスコミ事情もあるかと思います。

で、個人的には今回の事件は「犯人は人間のクズ、おしまい」でいいんじゃないのかなぁ
とめいっぱい本気で思ってます。
なんであんなヤツのナルシストな自己憐愍な世迷いゴト(多分これからは懺悔と泣き言を目一杯含むであろう)を公共の電波を使ってまで聞かなくちゃならんのか?
今回、犯人とそうでないヒトの違いを真面目に考える必要はないと思うわけです。
でも、罪を理解し、背景(環境含む)をなんとか社会的事象として個人からひきはなし、共有化しようとする方が多いのにびっくりです。派遣システムやネット犯罪、その他あれこれのせいにすることでなにか(投資的もしくは立場的)メリットがある方々がいるのかもしれませんが。で、それは別にいいけど、それって「オレのせいじゃない」犯人の思うツボじゃん、と思ってしまいます。

>だってやった当事者にしかわかんないんじゃないでしょ?あれがなんだったのかは
そうそう、それが言いたかったんです、はい。
でもってんなもんわかりたくもありません。
記録とってこの件は終了!

ところで、6月8日・・・赤い目がめっさこわかったです;;。
で、目があるとついつい何が写ってるか見たくてのぞき込んでしまうのですが
はっ、と気付いた時余計にこわかったです。
あんまりコワイのでついつい息子を呼んで共有化してしまいました。・・・
あ、もしかしたらそういうことかな、共有化・・・。
赤い眼 (GS)
2008-06-12 23:10:48
6月8日の赤い眼は、2003年、都内に住むある女性が、死の直前に携帯で自分を撮影した画像です。
目が赤いのはかつて睡眠薬で自殺を試みた際、クスリの量を間違えて一時的に呼吸が止まり。血液が眼球に沈殿したからです。女性はあの写真を撮って数時間後に自宅で首を吊って命を絶ちました。

あの手の画像にはこのようなストーリーがあるのですが、公共性のあるブログゆえ、インネンや曲解が寄せられることが多いので説明は省略させてもらっています。呪いや祟りがあったら怖いので、そーゆー片鱗が見えたら即削除する予定ですので、大切に取り扱ってあげてください。よろしくお願いします。
GS様 (なる@)
2008-06-12 23:33:06
霊的に取り憑かれ体質(最近激減しましたが)で、
磁場的なヤバイゾーンにはどうやっても踏み込めない私が
GS様ブログにどうもココロ引かれるのは
意図されてるかどうかに関わらず
GS様がイタコさんのような
もしくはアースのような役割を担ってる感が
あるからかなぁ、と・・・
呪いや祟りと共存できる(?)不思議な体質ですねー

赤い目の写真は、どちらかといえば
「念」「思い」の感じられない、作り物のような感じでしたが
(だからついついのそき込んじゃったんですが;;)
そういう経緯でしたかー
ダイイングメッセージ的なものなのかしら???

で、個人的にいろんな霊的体験者の話(当然ながら私の体験含め実話ばかりです)を収集しつつ、
生きてる人間の過剰なマイナスエナジーがマジで一番ヤバイと思ってます。
Unknown (なる@)
2008-06-13 00:00:54
ついつい見に行ってしまいました。
経緯を知って見ると、また違って見えてしまうー;
うーむ;;;

やっぱりめっさこわいです。
(大画面のほうは見れませんでした;;
おはようございます。 (まっつん)
2008-06-13 08:26:06
なるもにあさんの見解、他コメなども拝見し、
そうかそうか、なるほどね、そういう事ね、と
理解するのに5分程かかりました(笑)

私もまだまだ頭が硬いです(笑)

コメントどうもでした。

まっつん様 (なるもにあ)
2008-06-13 15:14:25
再訪問ありがとうございます&
多分にとんでもなくあまのじゃくな個人的意見への
わざわざのご理解感謝です!

すべての犯罪には犯した個人的理由と社会的側面がある、それは人間が社会的動物であるからで。で、それを要素分解しだすと、「犯罪は人間だから起る」「殺人は他人がいるから起る」に近い極論もあったりするわけで・・・。
犯人の言う社会や親、その他への不満や不安は、もちろん理解しようと思えば、いくらでも理解できます(てか、ものすごく一般的な不満だと感じます。もちろん一般的な指標では個人の不幸度は測れませんが)
・・・が、今回はそういう納得や了解が個人的にどうしてもイヤなんですー。私としては、個人的に犯人を絶対絶対絶対許したくない、 情状酌量をカケラもすべきでない、その一点だけかな、と。

今回の事件で、私のような直情的なブロガーはどちらかといえば少数派だと思います。
犯行は許せないが、社会的な問題含み酌量の(同情・理解・共感できる)余地はある、
という意見も増えつつあるのでは?
そんな中、まっつん様の反応はとてもストレート&ナチュラルだと感じましたですよー♪
Unknown (シオーヤ)
2008-06-16 01:27:12
なるもにあさんの記事を見て、僕の記事は配慮に欠けていたなと反省しました。
気付かせて頂いて、どうもありがとうございます。

あの犯行は情状酌量の余地の無い、許されない犯行だと思います。
その背景に社会問題があるだろうとして、そこで改善の意見を述べることが無く、同情の意見ばかりになってしまうのには危機感を感じます。特に裁判員制度も始まる司法の方に対して良くない流れを作ってしまうように感じました。

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