sweet キャンディキャンディ

伝説のマンガ・アニメ「キャンディキャンディ」についてブログ主が満足するまで語りつくすためのブログ。海外二次小説の翻訳も。

小説キャンディキャンディFinal Story あのひと考察13 ポニーの家の油絵

2011年06月29日 | FSあのひと考察
 

小説キャンディキャンディFinal Story上・下巻 名木田恵子 (著) 祥伝社 (2010/11/1) の考察です
注:物語に関するネタバレがあります

小道具から見るあのひと考察、今回はポニーの家の油絵について検証していきます。

キャンディとあのひとが住む家にはポニーの丘を描いた油絵が飾られています。その絵は、かつてポニーの家にいたスリムという子供が孤児院を出た後に描いたポニーの丘から見下ろす5月のポニーの家の全景。

あのひとがその絵を見つけた時のことをキャンディはこう説明します。

数年前、ロンドンの蚤の市でその油絵をみつけてくれたのは、あのひとだ。
なんと素敵な贈り物だったことだろう。
あのひとは、たくさんの古びた油絵の中から一目見てすぐにその絵が“ポニーの家”を描いたものだとわかったのだ。

(上巻P7-8)


ポニーの丘でキャンディは丘の上の王子様と出会い、テリィとは入れ違いになってしまった経験があります。

では、アルバートさんとテリィ、それぞれがポニーの丘にいた時の状況を、小説に書かれた文章を通して見てみましょう。

アルバートさん

車を止め、あの丘になぜのぼったのかは、わからない。
大きさといい高さといいなんとなく“丘”という僕のイメージにぴったりだった。
そこで寝ころんでいると、空が高かった。空の青い色に吸い込まれていきそうだった。

(下巻P301)


テリィ

あなたがポニーの家に滞在したのはほんの短い時間。
でも、わたしがいつも登っていたナラの大木、投げ縄の修行をしたリンゴの木、そして、ポニーの丘をめぐってくれたこと、先生たちから聞きました。
あなたが触れたかもしてない木々、佇んだ丘---わたしにはいっそう大切になりました。

(下巻P174-175)



アルバートさんとテリィがその丘にいた時に見ていたものの違いが、作者によって明らかにされています。

アルバートさんは何かを求めて空を見上げ、テリィはキャンディを思い丘に佇みポニーの家を見ていたのです。

アルバートさんは、キャンディに宛てた手紙の中で、ポニーの丘で空を見上げていた時に幼いキャンディに出会い、その子の中に生き方を見つけたこと、そしてレイクウッドで再会した時に、その子を幸せにしよう、自分にはそれができるはずだと心に決めたのだと告白しています。

その決心の結果が、キャンディを養女として迎え、見守ることでした。最後に、キャンディに養父として自分の素性を明かし、幼い時に少女が出会ったのは他ならぬ自分であったことを告げたことで、アルバートさんとポニーの丘の話は完結します。

一方テリィは、二人が愛を育んだロンドンのにせポニーの丘でキャンディからポニーの家やポニーの丘の話を聞き、一人アメリカに渡った後の冬の日にポニーの家を訪ね、丘に佇んで景色を見ていた。キャンディとテリィは入れ違いで会うことはかなわなかった。

その後、スザナの事故で悲劇的な別れを経験するのですが、今回のFinal Storyでそのスザナは死に、テリィは手紙でキャンディに、自分は何も変わっていないと告白します。テリィは変わらずにキャンディを思い続けてきたのです。

テリィはキャンディとの大切な思い出であるポニーの丘の景色を何度も何度も心の中で思い描き続けてきたことでしょう。

キャンディも、"あなたが触れたかもしてない木々、佇んだ丘---わたしにはいっそう大切になりました"と、テリィがそこにいたことで、触れたことで、そこが新たな価値を持つ場所になったと告白しています。

ポニーの丘とテリィの物語は、この油絵の登場でやっと完結するのです。

そして、そのような二人のすれ違いの過去や、離れ離れの時があったからこそ、

あのひとは、たくさんの古びた油絵の中から一目見てすぐにその絵が“ポニーの家”を描いたものだとわかったのだ。


というキャンディの驚きがあり、喜びがあるのです。

アルバートさんはポニーの丘で空を見つめ、テリィはポニーの丘からポニーの家を、キャンディを見つめていた。愛の物語としては、テリィが油絵を見つけてきたその人であると言って間違いないでしょう。



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