sweet キャンディキャンディ

伝説のマンガ・アニメ「キャンディキャンディ」についてブログ主が満足するまで語りつくすためのブログ。海外二次小説の翻訳も。

小説キャンディキャンディFinal Story あのひと考察2 なぜ今「愛の物語」か

2011年06月15日 | FSあのひと考察
 

小説キャンディキャンディFinal Story上・下巻 名木田恵子 (著) 祥伝社 (2010/11/1) の考察です
注:物語に関するネタバレがあります

まずはamazonの商品説明を見てみましょう。

(クリックすると拡大表示します)

上の内容をテキストにすると---

内容紹介
原作者・名木田恵子(水木杏子)が大人のために書き下ろした 真実の『キャンディ・キャンディ』愛の物語 ーーーキャンディ、きみはきっと笑顔でいるよね。 夢の中でアンソニーはいつも生きていて、わたしはほっとする。 …なのに、私の目は濡れている。 これは夢だと心のどこかが醒めている。

内容(「BOOK」データベースより)
原作者・名木田恵子(水木杏子)が大人のために書き下ろした真実の『キャンディ・キャンディ』愛の物語。あの日々、たくさん流した涙は今はきらめくような美しい思い出になった―。


当時のマンガ・アニメのキャンディキャンディは少女の成長物語であったということについては異論を持つ人はあまりいないでしょう。それに対し、この小説はキャンディの「愛の物語」であることが強調されています。

少女の成長物語にもたくさんの「愛」は登場しましたし、それらの愛が小説の中で損なわれているということはありません。しかし、大人のための「愛の物語」なのだと、あえて強調されているのだとすれば、そこには何か新しい展開があるはず---というか、なければならないでしょう。

マンガ・アニメが終わった当時、多くの少女たち(ブログ主にとっての少女たちとは小学生メインの想定でございます)はその展開に唖然としました。

まっ、まさかっ、キャンディの最後のお相手って、アルバートさんなの?

当時の少女たち(はい、小学生たちですね)はキャンディの経験を追体験していました。

アンソニーの死をテリィのインパクトでやっとこさ乗り越え、テリィとの大人の恋に胸を焦がし、二人の高潔さゆえの別れに激しく胸を痛め、追い打ちをかけるようにロックスタウンでテリィの苦しみを目撃したばかりなのです。多くの少女たちはこの経験を後にトラウマであったと認識するほどの衝撃なわけです。

それなのに---それなのに----アルバートさんが最終地点とはこれいかに!?

---未来を見つめ道を切り開いてきた主人公が最後になんとまだ15・6才の若さで振り出しにもどってきちゃったけど、これでいいのか?彼女の未来って?


小学生にとって20歳代後半なんてのは、あこがれのお兄ちゃんすら超えている、好きなアイドルの年齢すらもずっーと超えた想像を超えた存在なわけです。

これから中学生、高校生になって同年齢(少し上でも4~5歳上まででしょう)の男子たちと恋することを夢見る少女たちにとって、この結末は決して胸躍るハッピーエンドではなかったのでございます。

アンソニーやテリィとの恋愛は追体験できても、アルバートさんとの恋愛は…少女たちの追体験できる範疇を超えてしまうわけですね。

しかし、しかしです。そんな少女たちも長い年月(30年ですわ)をかけて大人になり、いつしかアルバートさんの年齢すらも優に超えてしまった

よく考えてみたらアルバートさんて完璧じゃないの?結局は、キャンディも包容力のあるアルバートさんと幸せになったのだわ。

キャンディとアルバートさんのフィジカルなラブメイキングはさすがに想像するのをためらいながらも、なんとなくそう自分に納得させ、キャンディを胸の奥にしまってきたというのに---今回の「愛の物語」ですよ。

そしてブログ主は、もしキャンディのお相手がアルバートさんであるのなら、作者はわざわざ「愛の物語」を書き下ろす必要はなかったと断言させていただきます。

読者の多くが、キャンディとアルバートさんは将来的に結婚したのであろうと想定している状況で、もし作者も同じ考えであるならば、それこそ今回の小説は書かずにいた方が、読者の長年の夢はそのまま保たれるのです。

それに引き替え、テリィに関して言えば、あのスザナがさっさと死にでもしない限り、キャンディとの復縁はありえないという状況で物語は終わってしまっています。テリィとキャンディの愛の成就を切に願うファンがファンフィクションの中で、スザナを何度死に追いやろうとも、原作の世界では読者には手も足もだせないわけです。

ですから読者があたためた長年の夢といわれれば、そのお相手はアルバートさんにならざるを得ないのですよ。

それでも尚、読者の長年の夢を壊してしまうかもしれないと案じながらも、作者はなぜこの「愛の物語」を書かずにいられなかったのか。

それは本当の夢を、キャンディを貫く希望を、作者はやはり形にして世に送り出したかったのだと思うのです。


「生きていればきっと会える! いつかきっと…」


©水木杏子/いがらしゆみこ

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2 コメント

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まったくもってその通りだと思います (ecru)
2012-11-17 18:06:20
はじめまして。ecruと申します。ブログ主さまのこの日記に感化され、キャンディキャンディFinal storyを購入し、読み終わった後、こちら様にまた戻ってまいりまして何度も何度も読み直しては、その通りその通りとか、そうか、そうだったのかとか、なるほど~と頷かせていただいております。

私も小学生の時のドンピシャリ世代、あの時は、
「なんだよ~。アルバートさんに落ち着くのかよ~。騙された・・・。これまでわたしの一喜一憂を返せっ~」
と作家さんたちを恨めしく思い、その後大人になってみると、
「アルバートさんがお相手としては最高だったと今なら理解できるわ。そうゆうのがわかる歳に自分もなったんだな」
と冷静に感じたりして、キャンディキャンディは私の人生の中からしばらく消えておりました。先日、ふとしたことで読み返してみると・・・、(相当な)大人になっても狂おしく胸がはち切れんばかりのストーリーはいまだ新鮮で、子供の時に憶えた以上の感慨に数日間ひたってしまいました。あの時感じた以上に辛すぎるストーリー、切なすぎる結末。

そして、その数日の朦朧から目覚めた後思ったのは、やはり

「テリィじゃなきゃ厭だ。別れるの離れるの悲しすぎる。まわりの優しい人たちに囲まれ、幸せだと思い込んで自分を偽ってみても悲しすぎるよ~~~っ

という思いでした。そして、また浸る日々。

他の読者さんたちは、これで納得しているんだろうか(←今さら^^;)と検索してみて、Final storyの存在を知りました。「最近(といっても2年前ですが)こんな本が出ていたのね 読み返したのは実はタイムリーだったんだ」(2年の誤差がありますけど?)そしてそして、その本自体の存在よりも興味を引かれたのは、原作者の思うその後のキャンディのお相手が誰かという事。読者間でテリィなのかアルバートさんかで揉めてるではありませんか

読む前は正直、それでもやっぱりアルバートさんかなぁ~。そんな自分が書いた話を自分で覆すってないであろうと感じました。だってだって、あの終わり方は、どう考えてもアルバートさんですし。

そして、読後。迷いながらも、
「これ、どう見てもテリィ・・・だよね。テリィだとわかるドンピシャな単語もあったし。」
しかしながら、作者の意図するところに私もやられてしまい、時系列が複雑になっている分、少し自信がないのも否めず。

そしてそして、またこちら様に舞い戻ってきて、理路整然と深く深く分析されている見解にただただ感心しつつ、私のただのカンだったテリィ説について、確信をもたらせていただいた次第でございます。

本当にブログ主様がおっしゃる通り、お相手がアルバートさんなら、わざわざFinal storyを書きおろす必要なんてないわけですよね。あのままアルバートさんに落ち着けばキャンディが心穏やかに暮らしていけるであろうことを予測するのはたやすいこと。それを、『わざわざ』Final storyを書きおろしてまで今のキャンディの心身ともにとろけるような幸福感を表現する必要があったということは、答えは明確です。ブログ主様の見解を拝見して私もその通りだと確信いたしました。

テリィの存在感、キャンディとテリィとの間に生まれた互いを引力よりも強く強く引き寄せ合う深い感情は、ファンの中ではもう他の誰をも受け付けないほど強烈であったのですね。しかしながら、もう結論が出ているstoryにファンには手を出せません。アルバートさんと一緒になればキャンディは今生の至福の歓びとまではいかないにせよ、穏やかな幸せを得ることはできたと思います。けれどテリィは? ロックスタウンでキャンディに再び生を吹き込まれ廃人から脱却はできたものの、スザナの呪縛から解かれることなく一生涯幸せにはなれないのは誰からみても明らかでした。

キャンディがどんなに体裁を整え自分を偽っても体の奥深くから求める相手はテリィしかいない。テリィはキャンディを失ったその後の人生に光が差し込むことはない。作者が意図したストーリーを超えるほどの人格を持ったキャラクターたち自身の思いに、原作者が動かされるという、ある意味すごい事が起きたと思わずにはいられません。キャンディの、テリィの、奥底に閉じ込めた思いに原作者がその思いをほおっておくことはできないとまで思わせたのですから。

キャンディの愛の物語に出会えてよかったです。この小説のおかげで、やるせなかった私の胸のつかえも、ようやく着地することができました。そしてその手助けをして下さったブログ主様の分析も、わたしのバイブルとなり救われました。このブログに出会わなければfinal storyを手に取ることはなかったし、読後もこちらがなければこんなにスッキリと胸のつかえも取れなかったでしょう。その感謝と御礼をここに申し上げます。本当にありがとうございました。
(長文、失礼いたしました)
ecru様 (ブログ主)
2013-01-31 19:16:38
とても思いのこもった、素敵なコメントをありがとうございました。これだけ一生懸命に気持ちを伝えていただいたのに、公開やお返事が遅くなってしまってすみませんでした。

ecru様の一喜一憂した気持ちがひしひしと伝わってきました。キャンディキャンディ....あの時代にこのお話に引き込まれた世代のファンにとって、本当にスペシャルな物語なんだなぁと思います。

このブログでは、「あのひと=テリィ」はもうファイナルアンサーですから 

また気づいたことなどあったら、どうかシェアしてくださいね。 

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