ショートシナリオの館

創作物からサイエンス物まで思いつくままに書いています。月曜日の週一回の投稿を目指しています。時には二回もあるかも・・・

向島百花園で秋の七草を愛でる  

2016-11-07 08:39:51 | 日記


春の七草は七草粥に使うので、知っている方も多いと思いますが、秋の七草には特別な行事が
あるわけではないので覚えにくいですね。

一説では、山上憶良が万葉集で連続して詠んだ2首に起源を持つといわれています。

・秋の野に 咲きたる花を 指折り かき数ふれば 七種の花 
                        (万葉集巻8第1537番)
・萩の花 尾花 葛花 なでしこの花 女郎花 また藤袴 朝貌の花 
                        (万葉集巻8第1538番)

この説が正しければ、随分と古い時代に選定されたものになりますが、秋の定義が当時と現在
では違いますから、私たちには「これって秋の花?」と疑問に思うものが含まれています。
なぜこれらの花が秋の七草として選ばれたのでしょうか?向島百花園の秋の七草コーナーで、
それぞれの花を愛でながら、それぞれの花の特徴などを考えてみることにします。

(1)萩(ハギ):万葉集で最も多く詠まれた植物のようですが、今どきの感覚でも、萩は秋
     の代表的な花のひとつですね。萩は群生して風に揺れる様子が素敵です。奈良・白
     豪寺の石段の両側に咲く萩の花は壮観でした。向島百花園には萩のトンネルがあり
     ます。選ばれるべくして選ばれた花だと納得できますね。

(2)尾花(オバナ/ススキのこと):草がしげっている様子が「薄(ススキ)」で、穂が出
     た状態は動物の尾に見立てて「尾花」といいます。茅葺屋根の材料として使うので
     「茅(カヤ)」ともいいます。和名は「すくすく立つ草」から名付けられたとも・
     ・・生活に密着した植物として選ばれたのでしょうか。西陽を浴びて輝く姿が印象
     的で、萩と共にお月見には欠かせませんね。

(3)葛(クズ):和名がそのまま英名「kudzu」になっている数少ない植物の一つです。ク
     ズの根からとったデンプンが葛粉で、和名は奈良県の国栖(くず)が葛粉の産地だ
     ったことにちなむものとされています。繁殖力が旺盛で、ツルがどこまでも伸びて
     いく生命力の強さが特徴ですが、現代人には厄介者扱い。葛粉を精製するのに手間
     がかかることで、本葛粉は今や高嶺の花となりました。葛の花は近くでじっくりと
     見ると、なかなか美しいですよ。

(4)撫子(ナデシコ):和名は愛児を失った親が、その子の愛した花を形見として撫(な)
     でたことに由来し、別名「片身花」といいます。日本女性の代名詞「大和撫子(や
     まとなでしこ)」がこの花からきていることは皆さんご承知ですね。思わず撫でた
     くなる可憐な風情を醸し出す花です。

(5)女郎花(オミナエシ):恋に破れて身投げした女性の脱ぎ捨てた衣が、この黄色い花に
     なったといいます。白い花だと「男郎花(オトコエシ)」、自然交配種は「オトコ
     オミナエシ」というそうです。美人を圧倒するほど美しいという意味で「女圧し
     (おみなえし)」、そして花が粟粒に似ていることから「女飯」の転化ともいわれ
     ます。漢字で「女郎花」と書くようになったのは平安時代の半ば頃とか。万葉の人
     はこの花を見てどのような女性を想像したのでしょうか?

(6)藤袴(フジバカマ):袴に似た藤色の花をつけることから藤袴と呼ばれるといいますが、
     実際に花を見ると、ちょっとピンと来ませんね。奈良時代に香料として唐から輸入
     したものが野生化したようですが、「香草」という別名もあるくらい、香りが利用
     されたそうです。乾燥させた藤袴を香袋に入れ、十二単に忍ばせて楽しんだのでし
     ょうか。香りの他に生薬としても利用されたので、利用価値抜群です。

(7)朝貌(アサガオ):現代の朝顔ではなく、桔梗だという説をとる人が多いようです。立
     秋をまたいで咲くので、夏の花とも秋の花ともいえますね。名前の由来は薬草とし
     ての漢名を音読みした「キチコウ(キチカウ)」が「キキョウ」に変化したもので、
     漢名の語源は乾燥した根が硬いことから来ているようです。桔梗の根は咳やのどの
     痛みに効くとして日本薬局法に記載されています。

結構、人に役立つものが秋の七草に選ばれていますね。身近な存在であり、なおかつ美しいと
感じられる草花だったということでしょう。今回、秋の七草を愛でた都立向島百花園は私にと
って適度な広さで、しかも多くの種類の植物を観察することができるので、好んで出かける場
所です。園内の池にかかる小さな橋の上からスカイツリーを眺めるのも、最近の楽しみのひと
つになりました。思いがけない花を見つけると、さらに嬉しさが増すものです。


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