Vermont 徒然

米国Vermont州在住のCardiology Fellow(循環器科フェロー)のブログです。日々の出来事を徒然と...

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メタボリックシンドローム

2007-04-05 05:59:37 | 徒然と・・・
 「メタボリックシンドローム(metabolic syndrome)」がCirculationという循環器科で最も有名なの雑誌の"Controversies in Cardiovascular Medicine"に載っていました。このシリーズはcontroversialなトピックを取り上げ、立場、見方の違う二つの論文を載せています。以前は突然死を起こすBrugada症候群にICDは必要か?、や最近では、Drug-eluting stent(薬が塗ってあるステント)は本当は安全なのか、どうなのか、も載っていました。

論文は以下の二つ。

Metabolic Syndrome Is It a Syndrome? Does It Matter? by Richard Kahn, PhD
Circulation. 2007;115:1806-1811.

Metabolic Syndrome A Work in Progress, but a Useful Construct
by Richard S. Beaser, MD and Philip Levy, MD
Circulation. 2007;115:1812-1818.

興味のある方は読んでみてください。なかなか対照的で面白いです。最初の論文はかなりリサーチに重きをおいて論を展開しているのに対し、後者は「メタボリックシンドローム」の実際の使われ方に重きをおいているように見えます。時々同じような論文を引用して、同じような質の臨床研究を持ち出して論争していますが、今回はそうではないようです。

両方の論文を考慮すると、

-メタボリックシンドロームの現行のクライテリアはこれからいい方向に変えていく必要があるだろう
-病態生理も複雑である

あたりが浮かんできます。これらをどう見るか、という立場の違いで2者2様の言い分が出て来るようです。

メタボリックシンドロームにおいては、このように、論争が続いていますが、それはおいておいて、一般社会ではメタボリックシンドロームの知名度がかなり上がっているようです。以前タイムでも日本の大臣がメタボリックシンドロームに対して生活習慣を変えたりする写真が載っていましたし、ニューヨークの日本人の友達も「メタボ」とメタボリックシンドロームのことを言っていました。どちらにせよ、心臓病のリスクファクターが多い場合には、しっかりとそれぞれ治療をして、運動、食事にも気をつける、というのが最も大事なこと、ですね。(言うは易し、、、実際にするのは難しいことではありますが…)
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メタボリックシンドローム (おぶ)
2007-04-07 06:21:56
5年ほど前から騒がれ始めたメタボですが、ここ1-2年でいろいろと議論が起きてます。

特に2005年に以下のメタボを批判する論調の論文がでてからは、そのシンドロームとしての存在を疑問視する動きがでてます。

Kahn R, Buse J, Ferrannini E, et al. The metabolic syndrome: time for a critical appraisal: joint statement from the American Diabetes Association and the European Association for the Study of Diabetes. Diabetes Care 2005; 28:2289-2304

大きな問題は以下の点です
(1)将来の心臓病に対するpredictive valueがそれ程高くない。メタボでない人の1.5-2倍くらいです。糖尿病とか喫煙の方がメタボよりよっぽどリスクとしては高いです。

(2)Framinghamスコアの方が10年後の予後の予知に関しては優れている

(3)本当にインスリン抵抗性だけで病態をすべて説明できるのか怪しい。

(4)糖尿病のリスクファクターとしても使われるのに、メタボのクライテリアに高血糖があるのはおかしい。


当初のメタボの概念は、”インスリン抵抗性が諸悪の根源で、それによって高血糖、高脂血症、高血圧、肥満、inflammatory&prothrombotic stateになってる。だからインスリン抵抗性に効く薬で全てのリスクファクター、さらには動脈硬化、心筋効果を完全に予防できる”、という(主に内分泌の方々による)ものでした。

実際のところは、”心臓病のリスクファクターは重複(clustering)しやすい”、”生活習慣の改善が大切”という、今までもずっと言われてきたことの念押しには役立つ概念だと思います。

Re: メタボリックシンドローム (TS)
2007-04-07 19:59:16
おぶ様、コメントありがとうございます。good points!、ありがとうございます。

私も考えたことを少し。

(1)、(2)に関しては、全くその通りです。
これまで言われているリスクファクターで心臓病がかなりの部分説明できてしまいます。高血圧、高脂血症、喫煙、年齢、家族歴、でかなりカバーされてしまう、と言うことだと思います。

(3)に関しては、私は、「怪しい」どころか、「インスリン抵抗性だけでは全てを説明できない」と思います。インスリン抵抗性の周りにある他の病態生理が間違いなくメタボリックシンドロームに含まれていると思います。本当は、「インスリン抵抗性」を測定できる何かが簡単に手に入り、それを使えれば良かったと思うのですが、おそらくそうも行かなかったのでしょう。

(4)に関しては、高血糖をインスリン抵抗性に関係した「症候群」に入れるのは自然だと思います。糖尿病もインスリン抵抗性に関係している、と言う意味ではメタボリックシンドロームと糖尿病は近い関係と言えると思います。ただ、ATP IIIの定義では糖尿病もメタボリックシンドロームの中に含まれていますが、それは個人的にはどうか?と思います。

昨年ADA(アメリカ糖尿病学会)とAHA(アメリカ心臓病学会)が合同でメタボリックシンドローム(とは銘打っていませんがそれに近いこと)に関してコメントを載せていました。

Eckel RH, Kahn R et al. Preventing cardiovascular disease and diabetes: a call to action from the American Diabetes Association and the American Heart Association. Circulation. 2006 Jun 27;113(25):2943-6.

これによると、メタボリックシンドロームのことを、"cardiometabolic factors"と呼び、メタボリックシンドロームの有無は別にして、メタボリックシンドロームに含まれている個々の疾患(高血圧、肥満、、、)に対して治療をしていく必要がある、とのことでした。

徒然と書いてみました。メタボリックシンドロームは現在のところ「人気先行」の感がありますが、定義をよりよいものにする(refinement)、(可能であれば)メタボリックシンドロームに特異的な治療法(今のところありません)、あたりがなされるべきことだと思います。ただ、複数のリスクを持っている患者さんのリスクを減らし、糖尿病や心臓病を予防する、と言うのがメタボリックシンドロームの将来的な使い道であると思います。将来糖尿病、心臓病になるのを予防する、というのがこれからますます必要になることだと思います。


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