みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

DVD「その4 イギリス海岸」(朝倉六朗)

2016-10-23 08:30:00 | 賢治渉猟
 では今回再び戻って、「その4 イギリス海岸」からだ。というのは、先の〝DVD「その8 バナナン大将」)〟において、早坂が「社会主義者賢治が」と言っていたことを初めて知ったので、一度は軽く聞き流していた朝倉の次の証言は無視できないぞということに気付いたからだ。

《朝倉六朗》(大正13年卒)
 私は計画的に先生は10分ぐらい時間を後にとったと思うんですよ。50分授業のうち40分ぐらいはぴたっと授業をやって。ここだけは忘れるなと言って○をし、そして後の――いつもではなかたんですよ、たまたま、その10分は自分の読んだ本の感想を言ったり…(投稿者略)… 教科書以外の授業を10分間ぐらい時たまやる先生だった。あれ、余ってるんじゃなかったと思うですよ。計画的に先生がそういうことをやったと思うんですよ。必ず本を読み出すと、その本の感想なんかを始終、こういう本の中にこういうことがあったということを、よく言われる人だったんですよ。
 そしてこれに対して鳥山氏が「覚えているのがありますか」と訊くと朝倉は、
 はっきり覚えてはいないけど、よくレーニンの話をしたんです。レーニンはこう言った。本当のレーニンの思想は今スターリンに引き継いでいないと。レーニンを尊敬したようなことを言って、本当はスターリンというのはレーニンの思想を本当に引き継いでいないというようなことを、あとちょっと聞いた気がしますね。だからあの頃の私にとっては、ずいぶん過激な話をするものだなと。
と答えていた。

 まずは、「よくレーニンの話をしたんです」という回答からは、賢治はしばしばレーニンに関する話をしたであろうということが推断できる。しかも、「覚えているのがありますか」という問いに対して朝倉が「ずいぶん過激な話をするものだなと」いう印象を長らく持ち続けていたということがわかるから、当時の賢治は、早坂が「社会主義者賢治が」と言い直しいることと重なる。つまり、賢治本人の認識はさておき、教え子たちから賢治は「社会主義者」と、そしてその一部からは「かなり過激な社会主義者」と見られていたということはもはや否定できなくなってきた。 

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       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
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 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。
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◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。

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