みちのくの山野草

みちのく花巻の野面から発信。

昭和3年12月半ば頃賢治はかなり重病だった

2017-05-20 10:00:00 | 本当の賢治を知りたい
 さてずっと気になっていることがある。それは、梅野が「私が45日入れられて帰ってきたら、その時宮澤さんは病気だったわな。そして豊沢町の自宅でね病気療養中だったんだ。だけれどもね私を訪ねてくれたよ。夜、私のところに。私が出てきてから何日かたった12月だったな、12月半ば頃だったろうかな、宮澤さんが訪ねてきたの。病気療養中のところをね、夜。そして玄関先で5~6分ねお話をして別れた。大変でしたねって、私にねいたわりの言葉を述べられてね、そしてお金をいくらか、お金をもらったな」と述懐しているわけだが、ちょうどこの頃の賢治は重篤になったはずだから、そのような賢治が12月半ば頃にわざわざそれも「」に梅野の許を訪れて、しかも「お金をいくらか」をくれたということだから、そこにはかなりの不自然さがあるからである。

 このことに関連して、大八木敦彦氏は著書『病床の賢治』において次のようなことを紹介している。かつて賢治の付き添い出張看護をしたという当時98歳の女性Tから聞き取りであり、例えば、『看病はどのくらいの間なさってましたか?』という大八木氏の質問に対してTは、
 十二月から一月くらいまでだったでしょうか。二ヶ月ほどやっていたわけですね。
とか、
 私とAさんとふたりで交代に付き添いをしていたんですが、
                     <『病床の賢治』(大八木敦彦著、舷燈社)13p~>
と、答えたという。

 一方、吉見正信氏によれば安藤のぶという女性も賢治の付き添い出張看護していて、
 安藤のぶは三十日間の出張看護を務め、賢治の危急に付添い看護したあと白鳥みさおと交替したのであった。
             <『宮沢賢治の道程』(吉見正信著、八重岳書房)260pより>
ということだから、このことと先の「友達のAさんとふたりでいくことになって、交代で付き添いしましたね」というTの回答とを併せて判断すれば、Aさんとはそのイニシャルからも推して安藤である蓋然性が高かろう。

 さらに、安藤のぶ(中村ノブ)は1995年9月23日花巻のホテルグランシェールで行われたインタビューにおいて、出張看護の時期について、
 問-いつ頃のことですか。
 答-私が十八歳の時でした。
 問-季節はおぼえていますか。
 答-ええ、十二月半ばでした。
          <『賢治研究70 宮沢賢治生誕百年記念特別号』(宮沢賢治研究会、1996,8)114pより>とい答えていたという。
 しかも、同号によれば安藤のぶは明治44年4月16日生まれであるという。となれば、のぶが「十八歳の時」ということは昭和4年の4月16日以降となりそうだが、かつては年齢を数え年で数えていたから、この「十二月半ば」とは、昭和3年のことと考えられるので、
 中村ノブが賢治の付き添い看護を始めたのは昭和3年12月半ばからであった。
と判断して構わないだろうし、おのずか、昭和3年に賢治が重篤になったのは12月半ば頃からであったとも言えそうだ。

 つまるところ、
 少なくとも昭和3年12月半ば頃以降の賢治は出張看護を受けるほどの重病であった。
とほぼ断定できそうだ。しかしそうなってしまうと大きな問題が生じてくることに私は気付く。

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