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〔そもそも拙者ほんものの清教徒ならば〕

賢治が封印した詩稿群(「第三集 詩稿補遺」分)
  〔そもそも拙者ほんものの清教徒ならば〕

   そもそも拙者ほんものの清教徒ならば
   或ひは一〇〇%のさむらひならば
   これこそ天の恵みと考へ
   町あたりから借金なんぞ一文もせず
   八月までは
   だまってこれだけ食べる筈
   けだし八月の末までは
   何の収入もないときめた
   この荒れ畑の切り返しから
   今日突然に湧き出した
   三十キロでも利かないやうな
   うすい黄いろのこの菊芋
   あしたもきっとこれだけとれ、
   更に三四の日を保する
   このエルサレムアーティチョーク
   イヌリンを含み果糖を含み
   小亜細亜では生でたべ
   ラテン種族は煮てたべる
   古風な果蔬トピナムボー
   さはさりながらこゝらでは
   一人も交易の相手がなく
   結局やっぱりはじめのやうに
   拙者ひとりでたべるわけ
   但しこれだけひといろでは
   八月までに必らず病む
   参って死んでしまっても
   動機説では成功といふ
   ところが拙者のこのごろは
   精神主義ではないのであって
   動機や何かの清純よりは
   行程をこそ重しとする
   つまりは米もほしいとあって
   売れる限りは本も売り
   ぽろぽろ借金などもして
   曖昧な暮しやうをするといふのは
   いくら理屈をくっつけても
   すでにはなはだ邪道である
   とにかく汗でがたがた寒い
   ごみを集めて
   火を焚かう
   槻の向ふに日が落ちて
   乾いた風が西から吹く

     <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)> 

《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。
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