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三月

賢治が封印した詩稿群(「第三集 詩稿補遺」分)
     三月

   正午になっても
   五分だけ休みませうと云っても
   たゞみんな眉をひそめ
   薄い麻着た膝を抱いて
   設計表をのぞくばかり
   稲熱病が胸にいっぱいなのだ
   一本町のこの町はづれ
   そこらは雪も大ていとけて
   うるんだ雲が東に飛び
   並木の松は
   去年の古い茶いろの針を
   もう落すだけ落してしまって
   うす陽のなかにつめたくそよぎ
   はては緑や黒にけむれば
   さっき熊の子を車にのせ
   おかしな歌をうたって行った
   紀伊かどこかの薬屋たちが
   白もゝひきをちらちらさせて
   だんだん南へ小さくなる
   みんなはいつか
   ひそひそ何かはなしてゐる
   つゝましく遠慮ぶかく
   骨粉のことを云ってゐるのだ
   一里塚一里塚
   塚の下からこどもがひとりおりてくる
   つゞいてひとりまたかけおりる
   町はひっそり
   火の見櫓が白いペンキで、
   泣きだしさうなそらに立ち
   風がにはかに吹いてきて
   店のガラスをがたがた鳴らす

     <『校本宮澤賢治全集第四巻』(筑摩書房)>

《鈴木 守著作案内》
◇ この度、拙著『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』(定価 500円、税込)が出来しました。
 本書は『宮沢賢治イーハトーブ館』にて販売しております。
 あるいは、次の方法でもご購入いただけます。
 まず、葉書か電話にて下記にその旨をご連絡していただければ最初に本書を郵送いたします。到着後、その代金として500円、送料180円、計680円分の郵便切手をお送り下さい。
       〒025-0068 岩手県花巻市下幅21-11 鈴木 守    電話 0198-24-9813
 なお、既刊『羅須地人協会の真実―賢治昭和二年の上京―』、『宮澤賢治と高瀬露』につきましても同様ですが、こちらの場合はそれぞれ1,000円分(送料込)の郵便切手をお送り下さい。

『賢治と一緒に暮らした男-千葉恭を尋ねて-』   ☆『羅須地人協会の真実-賢治昭和2年の上京-』   ☆『羅須地人協会の終焉-その真実-』

『「涙ヲ流サナカッタ」賢治の悔い』            ☆『宮澤賢治と高瀬露』(上田哲との共著)

◇ 拙ブログ〝検証「羅須地人協会時代」〟において、各書の中身そのままで掲載をしています。
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