昨日、猿田佐世さんが主宰している新外交イニシアチブ(http://www.nd-initiative.org/)で「オリバー・ストーンと語るもうひとつの日米関係」とタイトルされた講演会に参加した。オリバー・ストーン監督の最近の問題作「オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史」は日本では全三巻で早川書房で出版されている。またNHKでも放映されたのでご覧になった方も多いだろう。会場にも軍事評論家の田岡さんやイラン専門家の高橋さんなど懐かしい人が多く来ていた。議員も近藤さんや、福島さん他多くの議員が、また加藤登紀子さんやこのテーマなら来るだろうなと思うような人はほとんど来ていたんじゃないかな。まあ、正直言って、講演自体は場所やライトの設定や時間配分などで、「ここが聞きたい」と思ってきた人には不満が残ったかもしれない。
結局、フロアからの質問の機会はなかったのだが、その後のパーティでオリバー・ストーン監督と二度ほど話すことができた。実際に話して見てわかったのは、なんというか、当たり前というか、歴史家ではなく、まさに「監督」という感じのキャラクターで、実に気さくで直感的で人情的なひとで、著作のところどころにある深い洞察や政策分析などはむしろ共著者のピーター・カズニック氏に依存しているのだなあと感じた。また二人はベトナム戦争時代に、一人は反戦活動家で、一人は戦場で勲章をもらった...という対象的な同時代人だから、当然かもしれないし、だからこのコンビがこの「もう一つのアメリカの歴史」という大きなテーマを現実の映像作品に具体化させることができたのだろう。
この講演でもっとも強く心を動かされたのは、カズニック氏が「なぜこのような著作を書いたか?」という自己説明に、「今の暴虐:Tyranny of NOW」という概念を強く主張したことだ。NOWすなわち「今」は確かに大事で、洪水のような情報にあふれ、皆が今の話をしている。しかし、この「今」が圧倒的に存在感を持つゆえに、その今を作ってきた「過去」は忘れさられ、それゆえに、これからの正しい未来にも到達できないのだ。だから、「今」の暴虐から離れ、もう一度歴史を振り返る必要があるのだ...というようなことを彼はいや彼らは言いたかったのだろうと思う。
自分たちが経験した真実、自分たちが生きた時代に本当に起こったことをもう一度把握しなおして、今の自分のこと、自分が何であるかを考える、そのことが新しい「真の未来」と築くことにつながる...彼らの現代世界への貢献は、ボリュームのある著作でもインパクトのある映像でもなく、この思索の原点にあるのかもしれない。
結局、フロアからの質問の機会はなかったのだが、その後のパーティでオリバー・ストーン監督と二度ほど話すことができた。実際に話して見てわかったのは、なんというか、当たり前というか、歴史家ではなく、まさに「監督」という感じのキャラクターで、実に気さくで直感的で人情的なひとで、著作のところどころにある深い洞察や政策分析などはむしろ共著者のピーター・カズニック氏に依存しているのだなあと感じた。また二人はベトナム戦争時代に、一人は反戦活動家で、一人は戦場で勲章をもらった...という対象的な同時代人だから、当然かもしれないし、だからこのコンビがこの「もう一つのアメリカの歴史」という大きなテーマを現実の映像作品に具体化させることができたのだろう。
この講演でもっとも強く心を動かされたのは、カズニック氏が「なぜこのような著作を書いたか?」という自己説明に、「今の暴虐:Tyranny of NOW」という概念を強く主張したことだ。NOWすなわち「今」は確かに大事で、洪水のような情報にあふれ、皆が今の話をしている。しかし、この「今」が圧倒的に存在感を持つゆえに、その今を作ってきた「過去」は忘れさられ、それゆえに、これからの正しい未来にも到達できないのだ。だから、「今」の暴虐から離れ、もう一度歴史を振り返る必要があるのだ...というようなことを彼はいや彼らは言いたかったのだろうと思う。
自分たちが経験した真実、自分たちが生きた時代に本当に起こったことをもう一度把握しなおして、今の自分のこと、自分が何であるかを考える、そのことが新しい「真の未来」と築くことにつながる...彼らの現代世界への貢献は、ボリュームのある著作でもインパクトのある映像でもなく、この思索の原点にあるのかもしれない。