会津八一&団塊のつぶやき

会津八一の歌の解説と団塊のつぶやき!

ペシャワール会5  M新聞・NKDさんより 

2008-10-12 23:59:58 | Weblog
 掛川市の葬儀での父親・伊藤正之さんの言葉

 5年前、初めてアフガニスタンに行くとき、「僕に何かあったら、アフガニスタンにこの身を埋めてくれ」と言って家を出て行きました。その時から、このようなことが起きるかもしれないと危惧を感じておりましたが、本人の強い意志を尊重し、送り出しました。
 現実に、心配していたことが起きてしまいましたが、私たち家族は決して和也をかわいそう、気の毒など思っておりません。小さいときからやさしく、他人思いの子で、妹、弟に対しても、いつも自分はいちばん後でいいと言って、何でも譲っていました。アフガニスタンでも決して変わることなく地元の人々に接することで、少しずつ受け入れられたと信じております。
 むしろ今回のことで、あらためてわが子がこんなにもたくましく成長していることに喜びさえ感じます。今回、本当に多くの皆様にお世話になり、私どもからお礼を申し上げるべきところですが、今この場でその言葉がうまく言い表せません。今までも申し上げましたとおり、和也は家族の誇りであり、胸を張って自慢できる息子であります。
 和也は新たに別の世界に旅立ちましたが、また大好きなアフガニスタンの地で、心温かな村の人たちと一緒になって井戸を掘り、川を造り、作物を育て、子供たちと仲良く話をしていると思います。私たちは決してアフガニスタンを憎んでおりません。恨んでおりません。ほんの一部の人間により、このようなことになりましたが、、和也も同じ気持ちだと思います。
 たまに帰ってまた出かけるとき、行ってらっしゃいと声をかけると、「行くんじゃなくて、アフガニスタンに帰るんだ」と言って出て行きました。「アフガニスタンは夜空の星がきれいだよ」と言っていました。和也はアフガニスタンの星になりました。そして、わが家の大きく輝く星になりました。会えなくなったことは寂しいですが、和也はアフガニスタンで生きております。今、日本に帰ってきていますが、もう少し家でゆっくりして、また出かけて行きます。和也の新たな旅立ちを拍手で送ってやってください。
 今回のことで、和也は私たちがなくしていたもの、忘れていたものを教えてくれました。思いやり、人の心の温かさ、そして、急ぐことなく、ゆっくりでも少しずつ積み上げていくことの大切さ、道徳の心を。
 最後に、今後は決してこのようなことが起きないよう、安全を第一としたご配慮を関係者の皆様にお願いしたいと思います。
 これから先も皆様方には大変お世話になることと存じますが、どうか今まで同様、よろしくご指導くださいますようお願い申し上げます。本日は、誠にありがとうございました。