セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

守って食欲の秋

2016年10月15日 18時17分48秒 | クエスト184以降
ぐぐぐ、今週も結局土曜夜更新になってしまったすみません〜の追加クエストもどき。金曜日ただでさえいろいろ重なるのにヨシ○コ楽しく試聴しているからでしょ・・・。食欲の秋ネタということで今回またのほほんな内容です。エルシオン学院舞台はやっぱり書いてて楽しい〜。「やくぜん鍋」はドラクエビルダーズに登場する料理で実際はキノコとニガキノコを使用していますが、今回の話ではげんこつダケとうるわしキノコに変えさせて頂きました。いずれにしてもすごく漢方な材料だと思います。ビルダーズでは確か守備力が上がりますが、ダイエット効果は果たして?

 エルシオン学院の学食はとてもおいしいと評判だ。食事の時間は基本きっちりと決められているが、育ち盛りの生徒の為に、軽食は常に用意されている。そんな軽食を軽食と言い難いほど豪快に食べる生徒も居た。彼の姿は勉強をする暇があるのか心配になるくらい頻繁に学食で見かけられ、その幸せそうにほおばる姿と食後の満ち足りた顔は学食の隠れた名物の一つになっていた。
 今日はエルシオン学院でイザヤールと待ち合わせをしていたミミは、予定より少し早く着いたので、学食で温かい飲み物をもらって彼が授業を終えるのを待つことにした。イザヤールは今回は弓の教師の代理に呼ばれていたのだった。イザヤールが今回代理に選ばれた理由は、弓の教師ガルシス曰く「自分には負けるが素晴らしい筋肉をしているから」だそうだ。ガルシスはミミの弓スキルも認めてはいるが、ミミの華奢な見た目の筋肉では教師代理をするにはまだまだ、だと言う。
 それはともかく、ミミは愛しい人に会えるまでのわくわく待つ時間も嫌いではなかったので、学食でのんびり楽しく過ごしていた。だが間もなく、学食内の雰囲気が、どうもいつもと異なることに気が付いた。ネージュ先生のココアは変わらずおいしいし、現在仕込み中の包丁さばきも見事だし、内装も変わってないし、とちょっと考えてから、いつもの定位置に座っている学食の名物少年を見てわかった。彼が、普段のようにおいしそうにもりもり食べているのではなく、溜息をつきながら食べていたのである。たくさん食べていることに変わりはないのだが。
 些細な変化も大事の予兆の場合があると経験的に知っているミミは、少年に歩み寄って尋ねた。
「いつもおいしそうに食べているのに、今日はどうかしたの?」
「フフィー・・・」
 これは少年の答えではなく溜息なのだろうが、彼に食事中に話しかけると数回はこう聞こえる音を発するのである。だがいつもは天の箱舟の汽笛のように勢いある「フフィー!」も、今日は弱々しく元気がなかった。
「お腹でも痛いとか?」
 聞いてからミミは、自分でも間抜けな質問をしてしまったことに気付いた。お腹が痛くてこんなに食べられるわけがない。だが、返ってきた答えは、質問に劣らず衝撃的だった。
「フフィー・・・食欲が無くて」空になった食器を前にしていては、説得力が無い。ミミが不思議そうな顔をしたからか、少年は皿の数を数えながら説明した。「いつもより頼む量が一品も少ないんだ」
 少年にとってそれは由々しき事態らしい。
「そ・・・そうなの・・・。何か心配ごとでもあるの?」
「この前、生徒会長のモザイオに、それ以上デブるとキングスライムと全くおんなじ体型になっちまうぞ、って言われた。ひどくない?」
「モザイオは、あなたの体のことを心配してそう言ったんじゃない?」
「そうかあ?それに、女の子たちがさあ、『マッチョは勘弁って思ってたけど、イザヤール先生みたいな感じならイケてるよねー』って話してたんで、『僕だって胸板の厚さならイザヤール先生と変わらない』って話したら、『全然違う!』って総ツッコミ受けたんだ。同じような厚さだよねえ?お腹周りは余裕で勝ってるし!」
 女子生徒たちがツッコミを入れたのは数値的問題ではないだろうとミミは思ったが、体型や付いている肉質についての言及は避けた。ミミがなんて答えようかと迷っている間に、少年は続けて言った。
「でもやっぱりちょっとヤバいかな〜ってさすがに思い始めてさあ。ネージュ先生に相談したら『若いうちは食べていいからとにかく運動や実技の訓練をたくさんするんだよ』って言われて、運動や訓練しまくったらよけいお腹空いてよけい食べちゃうし、でも食べ物減らさなきゃダメかなって思ったらそんなのイヤだからもう心配で心配で、食欲が無くなった、ってわけ」
「食欲が無くなれば痩せるのには好都合なんじゃない?」
 一品少ないだけで食欲減退と言っていいのか疑問に思いながらもミミが言うと、少年は大きく頭を振って否定した。
「やだね!食欲の秋に食欲無くてどうするんだよ?そんなの秋じゃない!・・・いっぱい食べても太らなくておいしい食べ物さえあれば、解決なのに〜」
 するとここで、会話を聞いていたらしいネージュ先生が、仕込みの手を止めて口を挟んだ。
「それなら『やくぜん鍋』がいいと思うんだけどね。あいにく、手に入りにくい材料があってねー。学食では出せないんだよ」
「そんなメニューがあるのか!」少年は目を輝かせてミミに言った。「食べてみたい・・・フフィー・・・(よだれをすすった音らしい)材料、手に入れてきてくれない?」
「自分では行かないの?」
「もし夕飯までに帰って来れなかったらたいへんじゃないか!食べそこなう!」
 門限の心配はしてないようだ。それはともかく、イザヤールと合流した後はどちらにせよ錬金の素材集めの予定だったので(素材集めという名のデートみたいなものよね、とよくみんなにからかわれる)、ミミはついでに「やくぜん鍋」とやらの材料集めをすることにした。ミミはクエスト「守って食欲の秋」を引き受けた!

 ネージュ先生がやくぜん鍋の材料を教えてくれた。レシピは各地によってキノコの種類が少しずつ異なるが、それ以外は基本同じらしい。
「げんこつダケにうるわしキノコ、それにカエルと黒ヤモリ肉が必要だね。カエルはともかく、黒ヤモリが手に入れるのがたいへんだよ」
 材料は確かに薬と言えば薬っぽいが、果たしておいしいのかどうかミミはちょっと心配になった。
「黒ヤモリはどこで手に入るんですか?」
「『じごくのメンドーサ』って魔物が怪しげな薬を作るときにたまに使うらしくてね。ただ、必ず持っているわけじゃないから、根気が必要だよ。おたからスキル『ぬすむ』を辛抱強く使ってみるんだね」
 それから間もなく、授業を終えたイザヤールが学食にやってきた。彼がコーヒーを飲んでいる間に、ミミはクエストを引き受けたことを説明した。
「やくぜん鍋?なるほど、確かに体には良さそうだが・・・どちらかと言えば、野外サバイバル生活の時に参考になりそうなメニューだな。で、先に黒ヤモリを取りに行くか?それとも先にカエルと錬金の素材探しを並行するか?」
「では明るいうちに素材探しとカエル釣りをしましょう」
「フフィーっ(うへーっ、と言ったのかもしれないがこう聞こえた)、カエルも野生で調達すんのかよ?!・・・旨そう!」
 さすがエルシオン学院の生徒と言うべきか、意外に動じない少年と、夕食の仕込みを再開したネージュ先生を学食に残して、二人は出発した。
 きよめの水が採取できる近くには意外にカエルは居ない。水がきれいすぎると餌も少ないので生き物は棲みにくいのだ。採取場所から少し離れた場所の木陰などがほどほどに水草や昆虫も居たりする絶好ポイントだ。カエル釣りと便宜上二人は言ったが、実際は「ばくれつけん」の動きを生かして超高速でカエルをつかみ取りするというなかなかにワイルドな捕獲方法だった。冬眠前でカエルの栄養状態は絶好調のようだ。
 どんな鍋になってもがんばっておいしく頂くからねとミミはカエルたちに誓いつつ、漁用の袋に詰めていたが、イザヤールはふと動きを止めて、そんな彼女をしげしげ眺めながら大真面目に呟いた。
「カエルを両手につかんでいても可愛らしい女性というのは、世界でおまえだけかもしれないな」
「え・・・い、イザヤール様、からかっちゃイヤなの・・・」
 いくらなんでも冗談が過ぎるとミミは真っ赤になって抗議した。そこまで言われるとさすがにからかわれているとしか思えない。だが、イザヤールは大真面目らしかった。
「手づかみ漁の魚がカエルになったというだけなのだから、可愛らしさに違いは無い筈だ」
「そんなことを思う物好きはイザヤール様くらいなの・・・」
「物好きで一向に構わない」
「じゃあイザヤール様、私がカエル漁をしているイザヤール様もかっこいいって言ったらどう思う?」
「物好きだと思う」
「ほら、やっぱり。・・・でも私も、イザヤール様はカエル漁している時だってかっこいいと思っちゃうの・・・」
「お互い物好き同士だな。でも嬉しいぞ」
「私も、本気で褒めてくれているならとっても嬉しい♪」
 こんなバカップルな会話を交わしつつ、捕獲したカエルはヒャドで氷漬けにし、その後も二人は錬金素材集めをしながらげんこつダケやうるわしキノコも手際よく採取し、鍋の材料も集めた。そうして残すところは後は黒ヤモリだけとなった。
 じごくのメンドーサがたくさん棲息しているダンジョンに到着すると、二人は錬金素材集めで殊に根気と体力が必要な作業の一つ、「モンスターからひたすらお宝を狙う」ことを始めた。しかし今までたくさん戦ってきたじごくのメンドーサが黒ヤモリを持っているのも見たことが無いくらいだから、手に入れるのはかなり難しそうだった。
 もしかしたら、じごくのメンドーサに黒ヤモリを持っているか直接聞いて、物々交換してもらった方がいいのかなとミミは考えて、交渉してみることにした。人間の頼みごとを聞いてくれる可能性がものすごく低いことは承知していたが。
「あの、黒ヤモリを持っていたら、私たちの持っているアイテムと交換してもらえませんか?」
 試しにミミが一匹のじごくのメンドーサに申し出てみると、意外な答えが帰ってきた。
「よかろう、交換してやろう」
「えっ、本当に?」
「ただし・・・」じごくのメンドーサの一つ目がギラリと光る。「貴様たちの命とな!」
 こうして戦闘になり・・・五分後、じごくのメンドーサの方が返り討ちに遭うというお約束の展開となった。
「ひいい、命だけはお助けを〜!黒ヤモリはいくつでも差し上げますから〜!・・・あれ?かすかだがこの芳しい匂いは・・・」
 ヘビの魔物であるじごくのメンドーサは、漁用の袋に氷漬けになっているカエルの匂いを敏感に感じ取ったらしい。結局同量くらいのカエルと黒ヤモリを交換することに話がまとまって、黒ヤモリも無事に入手することができた。やくぜん鍋の材料が集まったので、二人はエルシオン学院に戻った。

 ネージュ先生に材料を渡すと、さっそくやくぜん鍋を作ってくれた。キノコ類と黒ヤモリからダシが出たところにきれいにさばいたカエルを入れて香辛料を加えて煮込むというシンプルな調理法だ。
 依頼人の生徒はわくわくと、ミミとイザヤールは少々覚悟しながら試食したが、意外というかネージュ先生の力量と言うべきか、鍋はとてもおいしかった。
「フフィー!この鍋の味サイコー!しかもヘルシーだし!フフィー!」
 少年は鍋の大部分を平らげスープまで飲み干し、満ち足りた溜息(やはりフフィーと聞こえた)をついて腹をなでながら言った。
「ありがとう、鍋の材料を集めてきてくれて!これお礼な!」
 ミミは「ごうかなクッキー」をもらった!この少年にとって食べ物をお礼にあげるというのは、破格の感謝を示すらしい。ミミはありがたくクッキーを受け取った。
「よーし、この鍋をこれからも食べて痩せるぞ〜。・・・ネージュ先生、おかわりー!」
「いい加減にしたら!夕食まで食べといて!」
 これはやくぜん鍋だろうと痩せそうもないだろうが、彼の幸せ満腹顔が守られたのだからまあいいだろう。ミミとイザヤールはやれやれと肩をすくめつつも、目は笑っていた。〈了〉
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