セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

ガラスの山のナゾ

2017年06月17日 20時46分10秒 | クエスト184以降
またたいそう遅くなりました申し訳ございません〜、でもけっこうノリノリで書きましたの追加クエストもどき。お姫様がガラスの山の頂上に座っていて婿選び試練をするという北欧のおとぎ話がモチーフのネタで、「お姫様はどうやってガラスの山に登ったんだ?」と思ったことからできた話。女主がイザヤール様をおんぶしたり、ちょっとヤキモチ妬いたり、イザヤール様が季節外れのスノーボードをしたりと、もうやりたい放題です(笑)

 エルマニオン雪原の西側には、小さな台地状になっている丘がある。ある日、その場所に不思議な建造物が作られ始めた。目的が済んだら撤去するという約束で、エルシオン学院の許可も取ってあるそうだ。毎日少しずつ高くなっていくそれを、エルシオン学院の生徒たちは興味津々で学院から眺めていた。
 その建造物は、透明で光が当たるとキラキラと輝いて、初めは氷の山かと生徒たちは思っていた。しかし、実はそれがガラスで作られている山だということが間もなくわかった。
「この辺の寒さなら、氷で作っても全くおんなじじゃんか」
「あら、ガラスで作ってるってところがロマンチックなんじゃない」
「そっかぁ?言わなきゃ違い全くわかんねーし」
「男子ってそーゆーところがデリカシー無くてダメよね〜」
「うっせーよ!でも、なんでわざわざそんな山作ってんだろーなあ?」
 現生徒会長モザイオをはじめとして生徒たちは、放課後を利用して調査に行ってみたが、「ダメダメ、子供には関係ないの」と言われて建設現場から追い払われてしまった。
「くっそー!子供扱いしやがって!」
「だってボクたち子供じゃん」
「そういうことじゃねーだろ!じゃあ子供ナメんなよ!」
「それも何か違うような・・・」
 というやりとりをしていたところへ、タイミング良くというべきか、ちょうどミミが学院に遊びに来た。かつて学院に潜入捜査して事件解決した名探偵かつ一流冒険者、しかし生徒たちにとっては同じ生徒仲間扱いの気安いが頼れる存在である。そしてミミには高確率で、誰が見ても頼もしい冒険者であり身心共に大人な「イザヤール先生」が付いてくる。例にもれず、今日も二人は一緒だった。
 モザイオはニヤリと笑って、二人に大きく手を振り呼んだ。
「おい、ミミー!イザヤールせんせー!よく来たなー!で、さっそくだけどさあ・・・」
 ミミとイザヤールは、今日は学院にルーラで来たので、雪原の西方にガラスの山が作られていることを知らなかった。モザイオたちから話を聞いてそちらの方向を見ると、なるほど、確かにキラキラと輝く美しい山が見える。
 綺麗なものを眺めるのが大好きなミミは、うっとりと濃い紫の瞳の陰影を増してガラスの山を見つめた。学院仕様衣装でエルシオンの制服を着用しているので、恋する女子学生といった風情である。一方イザヤールは、今日は「おうじゃのマント」を装備していたので、威厳度が更にアップしていた。
「うん、さっそく行ってみるね」
「目的不明のガラスの山か。気になるものな」
 ガラスの山を近くで見たくなった二人は、わくわくしながらクエスト「ガラスの山のナゾ」を引き受けた!

 制服姿だと子供扱いされるというみんなの助言で、ミミは装備を愛用の「おどりこのドレス」に着替え、防寒も兼ねて「げんまのほうい」を羽織った。もっとも、げんまのほういでおどりこのドレスはほとんど隠れてしまうのだが。
 天の箱舟を使うか少々迷ったが、いきなり現れるとガラスの山を作っている者たちをびっくりさせてしまうだろうと判断して、ミミとイザヤールは歩いていくことにした。幸い吹雪は止んでおり、二人は苦もなく目的地に進むことができた。
 到着してみると、ガラスの山は完成していて、雪明かりと薄日を反射して遠くから見るより更に美しく輝いていた。だが、そのふもとで、豪華な身なりの中老の男が、ガラスの山を作っていたらしい職人たちと何やらもめていた。豪華な身なりの男の後ろには、王女のように着飾った美しい少女が立っていたが、彼女はおろおろしていた。
「あの、どうしたんですか?」
 ミミが尋ねると、少女がしくしくと泣きながら訴えてきた。
「ああ、聞いてくださいますか旅のお方!せっかくガラスの山を作ったのに、このままでは私は婿選びをすることができないのです」
「どういうことなんですか?」
 ガラスの山と婿選びがどう結びつくのかわからなくて、ミミとイザヤールは戸惑った。
「このガラスの山は、花婿候補たちへの試練の為に、父が作らせたのです。この山の頂上に馬を巧みに操って登りきり、頂上に座る私の手から金のリンゴを受け取ることができた者が花婿になる、そう決めていたのですが・・・」
 そこまで聞いてミミは、そんなおとぎ話を昔読んだことがあるような気がするのを思い出して、言った。
「まるでおとぎ話みたい・・・」
 すると、少女はぱっと顔を輝かせて言った。
「そうなんです!私、そのおとぎ話に憧れて、父に頼んでこのガラスの山を作ってもらったんです!輝く鎧兜のステキな騎士様が、ガラスを駆け上って来て、山の頂上で待つ私から金のリンゴと私の心を奪って颯爽と去って行く・・・。ステキすぎますわ!・・・でも・・・」
「でも?」
「山が完成してから気付いたんです!か弱き乙女の私は、どうやって頂上に行って座っていればいいのかしら、って!」
「・・・。え・・・と、それを考えずに作ってしまったんですか・・・?」
 さすがに呆れてミミが言うと、中老の男が職人たちに向かって怒鳴った。
「だから、なんで完成するやいなや足場をとっとと外してしまうのだ!馬鹿者どもが!」
「だって、てっきり期間限定の観賞用の山だと思ってたんですから、足場を外すとこまでやって完成って思うでしょうが!」と職人たち。
「やめて、お父様!どちらにしても、足場があっても怖くて私、登れませんもの!」少女が割って入る。やはり中老の男は彼女の父親らしい。
「無計画にも程があるな」 イザヤールは呆れて肩をすくめ、ミミはガラスの山の山肌を観察しそっと触れてみた。馬で登る試練に使うと言うだけあって、切り立った壁という程の傾斜は無いが、それでも角度は登山に苦戦しそうな険しい山肌という感じだ。ガラスでできていなくても、たとえ馬を使わなくても、この頂上に登れる者は相当の強者だろう。
(普通の山なら、ツメを装備して山肌に引っかけて登ったりすれば、私やイザヤール様は登れるだろうけれど、ガラスだから引っかからない分スピード勝負だよね・・・。そもそも、足場があってもダメ、って言っているこの女の子では普通に山登りでも論外っぽいし・・・)
 ミミは考え込んだが、ここで思い付いて、しぐさ「ヒラメキ」のポーズをして言った。
「私があなたを背負って、頂上まで連れて行くってどうですか?しっかり固定して、私につかまってくれていれば、きっと大丈夫ですよ」
「ええっ、あなたが?そんな、私くらい華奢な体で、ご冗談を」
 少女は案の定戸惑ったので、ミミはイザヤールに向き直り言った。
「イザヤール様、私にしっかりおぶさってくれますか。イザヤール様を頂上まで運べるなら、この人も運べるって信じてもらえると思うの」
「うむ、それは構わないぞ」イザヤールは笑って答えた。「お手並み拝見といくか」
 念のため何本ものベルトで二人の体を固定し、イザヤールはミミの体を後ろから抱きかかえるような感じでおぶさって、彼女の手足がなるべく自由になりそうな体勢を取った。ミミは出っ張りに比較的引っかけ易そうな形の「獣王のツメ」を装備し、「かるわざしのブーツ」を履いて、念のため「ねばねばゼリー」も手に着けて、皆が驚いて見守る中、勢いをつけてひょいひょいとガラスの山を登り始めた。
 基本的には比較的緩い斜面を足で登るが、どうしても急なところはツメを引っかけて二人分の体重を持ち上げる。イザヤールはミミが見た目よりずっと力があることをもちろんよくわかっていたが、それでもずっと体格の大きい自分を背負わせるのが可哀想な気分で、彼女に囁いた。
「私があの娘を運べると申し出れば、おまえに重い思いをさせずに済んだのにな」
「いいの、重くないし、それに、私が悪い子だから、自分で引き受けるの・・・」
「悪い子?何故だ?」
「イザヤール様が、緊急時じゃないのに私以外の女の子をぴったりくっついておんぶするのイヤ、ってヤキモチ妬いちゃったから、悪い子なの・・・」
「どこが悪い子だ」イザヤールはミミの肩を邪魔にならない程度にきゅうと抱きしめ、耳元に唇を寄せて囁いた。「そんな可愛いことを言う、とてもいい子なのに」
 その抱擁と熱を帯びた囁き声にミミは頬を染めどぎまぎし、その勢いで更に猛ダッシュで斜面を駆け上がって、無事頂上に着いた。ガラスの山のてっぺんは、小さな部屋程度に平らにしてあった。頂上に着くと、イザヤールは一度二人を繋いでいたベルトを外し、改めて向き直る体勢で互いの体をベルトで固定してから、ミミを抱き上げた。
「帰りは私がおまえを運ぼう。しっかりつかまっていてくれ、一気に行くぞ」
 ミミは頷き、イザヤールの首に腕を巻きつけ、頬をぴったりと鎖骨の辺りに寄せた。イザヤールは「ヘキサグラム」を取り出し、それをスノーボードのように使って、山肌を斜め斜めに移動しながら一気に滑り降りた。最後は、雪の深い地面を選んで飛び降りて、柔らかな雪の抵抗と方向転換をうまく利用して、鮮やかに止まった。
 少女とその父親をはじめ一同は、ミミとイザヤールの身体能力に呆然としていたが、やがて少女は目を輝かせて言った。
「きゃー!すごいですわー!・・・でも、私、おんぶされて登るのもやっぱり怖いです・・・気絶してぶらーんだらーんてなったら、二人一緒に落っこちちゃうかもですし〜!」
 また降り出しであるが、ミミは地面に描かれたヘキサグラムの滑り跡を見てまたしぐさ「ヒラメキ」をし、少女に言った。
「それなら、たいへんな手間ですけれど、このガラスの山の側面を雪で埋めて、ダーマ神殿のような階段を雪で作れば、安全に頂上に登れるんじゃないでしょうか?あなたが頂上に着いたら、炎系の呪文で雪の階段を溶かしてしまえばいいですし。あなたはキメラのつばさを持って行けば、試練の後にちゃんと怖くなく帰れますしね」
「それ、いい考えですわ!」少女は飛び上がって喜んだ。「ねえ、お父様もそう思うでしょ?」
「うむ、そうじゃな!旅のお方、ナイスなアドバイス感謝しますぞ!」
 少女も、これで憧れのお婿さん選びの試練ができると喜んで、お礼にと「きんのブレスレット」をくれた。だが少女は、少しもじもじして、イザヤールに言った。
「あの〜、もしよろしかったらあなたも、婿選びの試練に参加なさいません?」
「!」
 ミミは目を潤ませて思わずイザヤールの手を握りしめたが、イザヤールは安心させるように笑って手を握り返してから、きっぱりと答えた。
「せっかくだが断る。この子と生涯を共にすると、決めているからな」
「ああ、やっぱりそうですのねー。この方が妹さんなら、ステキなお婿さんとカワイイ義妹ができるって思ったんですけど・・・残念だけど仕方ないですわー」
 本当に残念そうな少女とその父親と、さっそく雪の土台作りを始めた職人たちを残して、ミミとイザヤールはエルシオン学院に戻った。

 学院の生徒たちは、興味津々でガラスの山ができたわけを聞いて、婿選びの為と聞いてロマンチック〜と盛り上がる者とくだらね〜とシラケる者に二分された。モザイオはシラケる派だった。
「なんだそんな理由かよ、くだらね〜。悪かったな、ミミ、イザヤール先生、つまんねえこと頼んで」
「モザイオ、あんた選ばれそうもないから僻んでんじゃない?」女子生徒の一人がまぜっかえす。
「ちげーよ!」
 その後、婿選びの試練は無事行われたが、頂上までたどり着くことができた騎士は、宝の地図の洞窟からわざわざ無理やり飛び入り参加したゴッドライダーだけだった。しかし、「イヤー!」と叫んだ少女に思いきり金のリンゴをぶつけられてガラスの山から転がり落ちた上に、馬ではないので失格になったという。〈了〉
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