セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

光を我が傍らに

2016年10月29日 17時57分49秒 | クエスト184以降
たいへん遅くなりましたが、ようやく仕上がりました追加クエストもどき。ジャックオランタンの伝説をベースにしてみた今回のネタなんですが、ネタバレしちゃいますとなんかサイコパスっぽい感じになっちゃいました。そしてイザヤール様がチート無敵状態(笑)邪悪より善悪がわからない、の方がある意味破滅的に危険な気が。

 夜が長くなっていくこの季節は、魔物だけでなく悪霊やさ迷える魂が多くなる。そんな魂が見えてしまうミミとイザヤールは、彼らが苦しみから解放されるようなるべく尽力していたが、心残りを聞いてやっても、まだ地上に未練を持って留まる魂たちも少なくなかった。
 ハロウィンを目前とするある晩、ミミとイザヤールは近所の子供に頼まれて迷子の子犬の捜索に出かけた。何かを夢中になって追いかけて、町の外に出てしまったということだった。
 光の石を光源にしたランタンの灯りを頼りに二人は子犬を探したが、広大な草地で小さな生き物を探すのは容易なことではない。手分けして探すことにして、ミミとイザヤールは二手に分かれ、やがてミミは、セントシュタイン城の北の、河に近いところまで来た。そして彼女は河岸に、フードとマントですっかり全身を覆った何者かが佇んでいるのを見かけた。旅人にしては武器も荷物も持っておらず、近所の人の散歩というには人家からあまりに遠い。
 その人物があまりにじっとしているので、ミミはその人が向いている方向を見てみたが、特に何かある様子もない。余計なお世話かとも思ったが、気になったので、彼女は近寄って声をかけてみることにした。
「あの、失礼ですが、どうかしましたか?」
 ミミがその人物に尋ねると、その人は振り返ったが、フードを深くかぶっているので、やはり顔はよくわからなかった。しかし、声は吟遊詩人を思わせるような低いが美しい声だったので、男性であることはわかった。彼は、淡々とした、だが悲しみを湛えた声で答えた。
「ランタンを、落としてしまったのです・・・。あの灯りだけが、たったひとつの頼りだったのに・・・。粉々に砕けて、灯も消えてしまった・・・また作らなければ」
 見ると確かに、彼の足元には、砕けたガラスの破片やひしゃげた金属の笠などが転がっている。
「それなら、私の持っているのを差し上げます。私は他の道具で代用できますから」
 ミミがランタンを差し出すと、男は首を振って答えた。
「ご親切に。でも、私のランタンは、普通のランタンではないので・・・。けれどあなたは、とても優しい方ですね。あなたなら、もしかしたら・・・」
 男は、一歩ミミに近寄った。しかし、空気が全く動かない。ここでミミは、音の着ているローブはぼろぼろではあるが実在するものだが、着ている本人は幽霊であることに気が付いた。
「ひょっとして、あなたは・・・」
 ミミが呟くと、男は頷いた。
「そうです。私は、死者の魂です・・・。訳有って、地上のあちこちをさ迷い続けています。私の姿が見えるのは、同じ死者か天使の筈ですが、天使はもう居ない筈なのに、あなたは、不思議な人だ・・・。ここでお会いできたご縁で、一つ頼まれてくれますか」
「なんでしょうか。できることならします」
「新しいランタンを作らねば、ここから動くことはできないのです。ガラス瓶を一つ、持ってきてくれませんか」
 それならたやすい願いだとミミは思ったが、次に聞いた条件に少し戸惑った。
「ただし」男は言った。「あなた一人で、来て頂きたいのです。・・・いずれにしても、私の姿は、他の人には見えないでしょうから、誰かが来ても、一緒だとは思いますがね」
「それは確約できるかはわかりませんが」ミミは慎重に答えた。「今引き受けている用件を済ませたら、ガラス瓶をお持ちしましょう」
「用件?」
「子犬を探しているのです」
「ああ、その子犬は、白くて、護符の付いた首輪をしていませんか?」
「そうです!見かけたんですか?」
「あなたがいらっしゃる少し前、東の方に走っていきました」
「じゃあ追いつけるかも・・・子犬を無事見つけたら、瓶をお持ちしますね」
 ミミはクエスト「光を我が傍らに」を引き受けた!

 ミミが幽霊の教えてくれた方向に急いで走っていくと、子犬を見つけるより先に、見覚えがものすごくある人影を見つけた。駆け寄ってみるとやはりイザヤールで、しかも件の子犬をしっかり抱えていた。子犬もイザヤールが気に入ったのか、おとなしく腕の中に収まり、静かにしっぽを振っている。
「ミミか、ちょうど今子犬を見つけたところだ、うまく会えてよかった」
 イザヤールが言ってミミに子犬を見せると、子犬は一瞬怯えたが、間もなくくんくん鳴いて、ミミの頬をぺろぺろとなめ始めた。ミミはなつかれて嬉しかったが、近くで見たことで、ふと子犬の首輪に付いている護符の一部が、黒く焦げていることに気付いた。
「あら?・・・これ、どうしたの?」
 しかし子犬が口をきける筈もなく、ただしっぽを振るばかりで、イザヤールが放してやると今度はミミの腕の中に収まった。
「私になついたと思ったが・・・ミミの方がやはりいいか」イザヤールは苦笑したが、彼もここで護符の異変に気付いた。「これは・・・破邪の印が刻んであるな・・・。焦げているということは、発動したということか?」
「そういえば、河岸で会った幽霊さんに、この子の行った方向を教えてもらったの」
「なんだと?!」
 ここでミミは、河岸に佇んだ幽霊のこと、壊れたランタンの修復にガラス瓶を頼まれたこと、一人で届けに来るように言われたことを話した。
「それでまさか、本当に一人で行くつもりではあるまいな?」
「ううん、まさか。・・・でも、もしかしたら、一人じゃないときは出てこない幽霊、とか?」
「あり得るが・・・。そもそも、何故地上をさまようことになったのか、あまりいい予感はしないな・・・。何と言われようと、私はおまえが届けに行くのに付き合うからな。見つからなかったら、また考えればいい。・・・とにかく今は、子犬を届けてやらなくては」
「うん。・・・さあ、もうすぐおうちに連れていってあげるからね」
 後の方は子犬に言って、ミミはルーラを唱えた。

 セントシュタインに戻り子犬を飼い主の子供の元に届け、それからミミとイザヤールはランタンに使えそうな大きさのガラス瓶を手に入れて、先ほどの河岸まで戻った。幽霊は、相変わらずフードを深く下ろしたまま、河岸に佇んでいた。
「お待たせしました。ガラス瓶、持ってきましたよ」
 ミミが言うと、幽霊は振り返って、イザヤールの姿も見て、ミミが一人で来たのではないことを知って、低い声でくすくす笑った。
「やはりお一人ではいらっしゃいませんでしたね。・・・でも、あなたの連れの方には、決して私の姿は見えない筈だ。先ほどは申しませんでしたが、私の姿が見えるのは、死者か、天使か、魔神か、そして・・・私の犠牲者だけなのですから」
「犠牲者?」
「そうです。ふふ、私の声ももちろんあなたにしか聞こえていませんよ。あなたの連れの方は、きっとあなたの頭がおかしくなったと思うでしょうね。何せ虚空に話しかけているのですから」
「・・・それより、犠牲者ってどういうことですか?」
「私は遥か昔の生前、恐るべき大罪を犯し、天使にさえ見捨てられ、しかし地獄の魔神をも騙したので、呪われて地上を永遠にさ迷う羽目になりました。しかし、魔神はある条件を付けたのです。私がさまよい歩くのに使うランタン、そのランタンの灯りに、心清らかなる者の魂を使えば、天国への道筋を示してくれる、と。
ただし、ランタンは何度も壊れますから、その度に魂は逃げ出し、やり直しです。だから私は、生前と同じように、何の罪も無い清らかな魂の持ち主を殺しては、ランタンにしてきました。まあ幽霊を哀れんでくれる優しく度胸のある人に出会うのは難しくて、思っていたより数は増やせていませんが、ね。・・・そうそう本当は、ガラス瓶は、ランタンを直すのに必要なかったんです。あなたをここに呼び戻す口実、というか、わざわざ持ってきてくれるくらい優しい人か試す為だったんです。嘘をついて、すみません」
 幽霊は、これから殺そうとしていることよりも、ガラス瓶が必要なかったことの方を申し訳なく思っているらしかった。それがミミを、かえってぞっとさせた。イザヤールは、この会話が聞こえているともいないとも、幽霊が見えているとも見えていないともわからない表情だったが、ミミの肩を、安心させるようにそっと抱いた。
「どうして・・・魔神の呪いの後はともかく、生前にも罪の無い人を・・・」
 ミミが悲しげに呟くと、幽霊は静かに首を振った。
「自分でも、よくわかりません。ただ、美しいものを、清らかなものを、そのまま永遠のものにしておきたかったのかもしれない。変わってしまうことに、耐えられなかったのかもしれない。できればそんな清らかな光を、手元に置いておきたかった・・・。殺してしまえば、私のものにもならないけど、他の誰のものにもならない、そのままにしておけるんです。そうでしょう?」
「そんなの、間違って・・・」
「わかっています。だから私は、天使にも神にも見捨てられる罰を受けた。酷いことだとはわかっていたのに、やめられなかった。泣きながらやめられなかったんです。死ねば、ようやく終わりにできると思ったのに、魔神の呪いで、天国に行けるまで結局同じことを・・・。でもきっと、あなたの魂を使ったランタンなら、天国までの道しるべになってくれますよね?私を照らし続けてくれますよね?私の光に、なってください」
「それは、できません」ミミは首を振った。「私は、生きたいの。全力で、あなたと戦います」
「あなたも、拒絶するんですね。先ほどランタンの灯りにしようとした無垢な子犬も、護符を付けていたことでランタンを壊して逃げ出しました。でも、あなたは護符を付けていない。そして、魔神の力によって、あなたがどんなに強くても、あなたは身動きひとつできず死んでいく。あなたの連れの方は、何が起きているかわからないまま、目の前であなたが死ぬのを見ていることしかできない・・・!」
「!」
 ここでミミは、自分の体が、天使の理にかかったかのように動けなくなっているのを知った。イザヤール様、と呼ぶ声も出ない。幽霊は、短剣を握りしめ、ミミの心臓にゆっくり向けてきた。
 だが、イザヤールはミミの異変に気付いていた。すぐに彼女の前に立ちはだかり、幽霊に向かって、静かに、だが魔神よりも恐ろしいと思わせるような力に満ちた声で、呟いた。
「魔神の力で動きを縛ることができるのは、ターゲットだけのようだな」彼は、剣を抜いて、まっすぐ幽霊を見つめた。「あいにく私も、おまえの姿が見えているし、話も聞こえている・・・!」
 ライトフォースで光の力をまとい、イザヤールは聖なる紋章の形に刃を振るって幽霊を斬った!ローブが光に飲み込まれ消滅していくと同時に、幽霊の姿も少しずつ消えていく。
「・・・おまえのようなものを放置していたのは、我々天使たちの怠慢だ・・・。解放が遅くなってすまなかった、神の元で裁きを受けるがいい・・・」
 呟いて、イザヤールが剣を納めると、幽霊はかすかな声を残し、消えた。
「じゃあ・・・あなたたちはまさか・・・てん・・・し・・・どうりで・・・」

 幽霊が跡形もなくなると、ミミは動けるようになっていた。
「イザヤール様、ありがとう・・・。イザヤール様が居てくれなかったら、私・・・」
 心配かけてごめんなさい、と言うのを制して、イザヤールはミミを固く抱きしめ、囁いた。
「心配など、いくらでもかけろ、こうして、必ず守ってやるから・・・」
 優しさ故に遭う理不尽な危険から、必ず守ってみせるから。そう囁く彼にミミは、愛らしい笑みを浮かべた。
「それにしてもよかった、イザヤール様のおかげでさ迷える魂も魔神から解放できて」
「そうだな、だが、危ない目に遭ったお仕置きはちゃんとするからな」
「ええっ、そんな・・・」
 笑顔から一転あたふたするミミを抱き上げて、イザヤールは笑ってキメラのつばさを放り投げた。〈了〉
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