セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

つまみ食いの代償

2017年08月05日 19時58分46秒 | クエスト184以降
またたいそう遅くなってしまって申し訳ないです、ぐはっの追加クエストもどき。予告通りキャンプネタですが、またイチャがメイン、クエストはオマケみたいな展開になりました(笑)相変わらずサバイバル特訓どころかえらく快適で楽しそう生活です。キラーグースは確か7に出てきた魔物ですが違ったらすみません。

 今日はアルマの塔の前の森の広場にキャンプデート・・・もといサバイバル修行に来たミミとイザヤールは、サバイバルスキルを駆使して快適に野外生活を送ろうとしていた。今回の課題は、「なるべく外に有るものだけで生活する」だったので、装備品袋と道具袋は封印状態、装備はレンジャー装備にたつじんのオノ、他の持ち物は果物ナイフと岩塩と防水布と毛布と洗面道具と替えの肌着、それ以外は、リッカが持たせてくれたお弁当一人一食分だけである。
 森の広場の老人たちは、憧れのブライにまた会いに今度は自ら世界一の宿屋、つまりリッカの宿屋に来てしまっていて、ミミたちを少々焦らせたが、幸か不幸かブライ本人は、主君の姫に付き合わされ出かけてしまっていて留守だった。老人たちはがっかりしつつも、リッカの宿屋でゆっくりしていくことに決め、その間ミミたちに広場を使うことを許可してくれたのだった。
 ミミたちはまず広場の中の適当な場所に倒木を斧で形を整えたもので作った柱を立て、蔦を編んでロープを作り、防水布を張って瞬く間に簡単なテントを組み立てた。柔らかな草でテントの中を被ってベッド代わりにし、焚火の傍らに平らに切った大きな丸太とやや小さな丸太を置いてテーブルと椅子にした。そのテーブルに着いてリッカのお弁当を二人仲良く食べた。
「リッカ、わざわざ瓶入りの飲み物も入れてくれたのね、きっと、瓶が使えるようにって考えてくれたの」
「飲料の保存にも使えるから助かるな」
「ドレッシングの小瓶も使えそう♪ねえイザヤール様、小瓶の方は、何かに使うまでは、花を飾るのに使ってもいい?」
「ああ、もちろん構わないぞ」
 構わないどころか、ミミに甘いイザヤールは、すぐに小さいが美しい淡紅色の百合を見つけてきて、喜んで瞳を輝かせた彼女の髪に挿した。
「瓶を洗うまではこうしておまえが預かっていてくれ。な?」
 頬を染めてこくりと頷き、ミミはお礼の言葉と共に彼にきゅうと抱きついた。思いがけない甘い返礼にイザヤールは息を呑んでから、彼女の頬に手を当て顔を上向かせて、そして・・・。
 しばらく後、やや照れくさそうにしながらも作業モードに心を切り替えた二人は、今度は水汲み道具を作ることにした。炙って曲げた板をぐるりと側面に、丸い板を底にしたものを木釘で固く留めて、大小の桶を作った。小さな方には小枝で取っ手を付けてバケツにした。木で作った桶は水を入れておけば膨張して隙間が埋まるので、水漏れの心配も無い。湯浴み用にたらいも作って、使うまで木に立て掛けておいた。
 水を汲みに行ったついでに大きな鱒を数匹釣り、食べられる植物やキノコを確保し、野生のベリー類も集めた。水を入れた桶には蓋をして虫や小動物が入るのを防いだ。先ほどの淡紅色の百合は、予定通りミミの髪からテーブルの上の小瓶に移り、殺風景になりがちなキャンプ生活に彩りを添えていた。
 集めた食材は串に差して焼いて夕食を済ませた。残った食材は木のうろの中で燻して燻製にした。夕食は岩塩と香草をうまく使ったので、間に合わせ感は一切無く、むしろ野外生活の醍醐味を満喫できる仕上がりだったので、二人は昼に劣らず楽しい食事時間を過ごした。
 それから、集めた香草を燻して蚊除けにし、テントの上に直角に張り出している枝に毛布を掛けて、その陰で交代で湯浴みをすることにした。たらいに張った湯にも香草を入れて、石鹸代わりも兼ねている。
 湯浴みを終えて、湯上がりのほのかに爽やかな香のする頬を寄せ合えば、湯浴みの間は考えないようにしていた、かすかな艶かしい思いと感覚が過る。
「魔物は入って来られないけれど・・・油断しちゃダメだよ・・・ね」
「大丈夫だ、どんな魔物が来ても撃退してやる」
「私だって、イザヤールをお守りするもの」
 そうだな、とイザヤールは微笑む。
 今宵は曇り空で星は出ていない。それは少し寂しいが、今二人きりだということでもある。その後二人は、珍しく邪魔が入ることもなく、存分にサバイバルらしからぬ甘い夜を過ごした。

 翌朝、二人は朝食を済ませて水を汲みに出かけた。もちろんただの水汲みではなく、水を入れた大桶の水をこぼさず運んでくることで、体幹が鍛えられるというなかなか難易度の高い訓練込みである。この後アルマトラに会いにアルマの塔に行く予定だった。
 交互に桶を持ち、新鮮なベリー類も摘み足して帰ってくると、キャンプ場所に異変が起きていた。きちんと片付けていった筈なのに、燻製にしておいた鱒が食べられ骨が散らばり、塩漬けにしておいた野草も無くなっていた。しかも、テントの中からキマイラロードの唸り声のような重低音の謎の振動音が聞こえる。ミミとイザヤールは顔を見合わせた。
「魔物が入り込んだのかな・・・?」
「結界の中にか?だとしたら相当強力な魔物だな、気を付けて行くぞ」
 たつじんのオノを構えながら二人で中を覗くと、丸々と太った中年男が、ちゃっかり二人の毛布を使って眠っていた。謎のものすごい音は、どうやらこの男のイビキらしい。
「凄い音・・・」
「やれやれ、人騒がせな」
 まあしばらく眠らせておこうと二人がそっとその場を離れようとすると、男は寝言で突然叫び出した。
「わーっ!すみませんー!必ずお返ししますから食べないでー!」
 どうやら悪夢を見ているらしい。「ツッコミ」でミミが起こしてあげると、男は飛び起きてから、まじまじとミミの顔を見て言った。
「あれ・・・?地獄かと思ったら、天国・・・?」
「しっかりしろ、ここはまだこの世だ」
 イザヤールが言うと、男は照れ笑いをして頭を掻いた。
「いや〜すみません、寝ぼけてまして・・・。私、ミスリル鉱石を取りにこの地へ来たんですが、途中でお腹が空いて倒れそうになって、ここを見つけて、つい・・・。お帰りを待たずに勝手に食べてしまってすみません」
「それは構わないです。でも、何かお困りなんですか?ずいぶんうなされていましたけれど・・・」
 ミミが尋ねると、男は感激して叫んだ。
「おお、怒るどころか心配までしてくださるとは!あの魔物もあなたくらい優しければよかったのに!」
「魔物?!」
「はい。実は私、旅の商人なんですが、お恥ずかしい話ですがとても食いしん坊でして。いつもは食料品をちゃんと持って旅をしているんですが、どうしても足りなくなったある日、今日みたいにキャンプを見つけまして、ちょっとお邪魔してつまみ食いしちゃったんです。そしたらあなた!それが魔物のテントだったんですよ!それで見つかって激怒されて、食い殺されそうになって!必死で謝ったら、『オリハルコン』と『ミスリルこうせき』と『プラチナこうせき』を持ってくれば許してやるって。それでこうして慌てて採掘に来たってわけです」
「そうだったんですか・・・」
 そんな怖い目に遭ったのにまた人のキャンプに侵入するなんて、よっぽど食べるのが好きな人なんだなあとミミは思った。
「ん?待てよ?」イザヤールが首を傾げた。「解放されたのなら、そのまま逃げてしまえばよかったのでは?」
「いえ、それが・・・。人質ならぬもの質を取られていまして・・・」
「ものじち?」
「はい。とっておきの究極の逸品、『キラーグースのフォワグラ』の瓶詰めを奪われてしまいまして。要求された物を持って行かなければ、キラーグースのフォワグラは魔物に食べられてしまうんです!」
「オリハルコンより大切なんですね・・・」
「なら魔物のテントでつまみ食いなどしなければよかったものを」
「そうなんですがね。自分の意地汚さが憎いです〜。でもここでお食事を頂いて、助かりました!元気にミスリルの採掘に行けます!ありがとうございます!」
 よかった、とミミは微笑み、今日は珍しくクエストを受けないうちに解決するのかな、と安心したようなちょっぴりがっかりなような気分になった。だが、その直後。
「いて、いててて・・・!う〜ん、お腹が・・・!」
 男は突然苦しみだした!
「どうしたんですか?!変な食料は置いてなかった筈・・・」
「ミミ、食料の成分じゃない、量の問題だ。見てみろ」
 イザヤールに言われて見てみて、昨日作り置きした食料のほとんどを食べられてしまっていたことに気付いた。二人で二、三日もつ分量だったから、それはいっぺんに食べたら腹痛を起こすのも無理は無い。
「うう・・・。すみません、あまりにおいしくてつい・・・。申し訳ないですが、しばらく動けそうにないんで、代わりにミスリルこうせきを取ってきて頂けませんか?代わりに余分に持っているオリハルコンを差し上げますから」
 オリハルコンは充分間に合っていたが、このまま放ってもおけないので、ミミはミスリルこうせきを取ってくるのを承知した。ミミはクエスト「つまみ食いの代償」を引き受けた!

 道具袋を開けて渡してもよかったのだが、ミスリルこうせきの採取場所は近くだったし、依頼人はしばらく休ませておいた方が良さそうだったので、ミミとイザヤールは依頼人を置いて採取に行くことにした。そこにはいつも通りミスリルこうせきが二つほどあって、それの採取はすぐに終わった。
 ミスリルこうせきを持ち帰ると、依頼人はまだ腹痛に苦しんでいた。
「すみません、このオリハルコンとプラチナこうせきと一緒に魔物に届けてもらえませんか・・・。りゅうのしっぽ地方にテントを張っているアンクルホーンに届けてください・・・」
 やっぱりと思いつつ、アンクルホーンもキャンプなんてするんだと妙なところで感心してミミは天の箱舟を呼んでそこへ向かった。
 箱舟内に居たサンディは、ミミとイザヤールが今日もクエストに巻き込まれたことに笑って呆れたり気の毒がったりしつつ、冒険の記録を書いてくれた。
「・・・で、ちゅーの邪魔をされた、と」
「さ、されてないってば!・・・あ」
 などという会話をしつつりゅうのしっぽ地方に到着すると、果たして一見普通のテントがあった。その側には、顔を真っ赤にしてまだ怒っているアンクルホーンが居た。
「代理で頼まれた物を持ってきました。キラーグースの瓶詰めを返してください」
 ミミが言ってオリハルコンとミスリルこうせきとプラチナこうせきを差し出すと、アンクルホーンはふんと鼻を鳴らしつつ瓶詰めを放り投げて寄越した。
「でも、勝手につまみ食いは確かに良くないけれど、オリハルコンその他を要求するなんてちょっと酷いんじゃ・・・?」
 瓶詰めを受け取りミミが言うと、アンクルホーンは怒るどころか泣きながら反論してきた。
「うるさい!アイツは、オレの愛妻弁当を食っちまったんだぞ!ホントはどんなお宝だって許せないところだ!」
「あ、なるほど・・・」
「気持ちはわかるな」
 ミミの手作り弁当を食べられたらと想像したイザヤールが大いに共感して頷いたので、アンクルホーンはやや機嫌を直し、言った。
「おまえらはいい奴だから特別に教えてやろう。その瓶詰め、腐っているぞ。何せ百年前の物だから、間違いない。ほれ、底の紙に書いてある」
「え・・・ええー!」
 こうしてミミとイザヤールは無事瓶詰めを取り返してきたが、依頼人に瓶詰めはもう腐っていることも伝えなくてはならなかった。
「そ、そんな・・・。確かにひいひいじいちゃんの代から伝わってきた物だが・・・。瓶詰めは腐らないと思っていたのに」
 がっくりした依頼人はそれでもオリハルコンをくれて、とぼとぼと去っていった。そのショックからか、食いしん坊具合がいくらか軽減したという。

 その後ミミとイザヤールは予定通りアルマの塔に行ったが、アルマトラのところに居たスライムに、「アルマトラと一緒に昨日の君たちの様子を見てたよ!相変わらず仲良しだね♪あ、ちゅーのとこやお風呂は見てないから安心してね!」と言われて、あたふたしたという。〈了〉
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