セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

湯上がり

2017年06月14日 23時59分26秒 | 本編前
久々に天使界時代、首にタオルイザヤール様を書きたかっただけです(笑)なんかついてないイザヤール様ですが最後はめでたし・・・?

 このところウォルロ地方で続いている雨でぴっちぴちに元気になり攻撃力もHPも上がったスライムの群れ退治から、キノコ小屋の危険なカビ退治という地味ながらも恐ろしいものまで、とにかく雨の時期に付きものなウォルロ村の厄介ごとを、この地方の我らが守護天使は今日も的確に解決していた。
 その結果、御多分に漏れず今日も守護天使の中でもトップクラスの星のオーラを世界樹に捧げることができたイザヤールだったが、汚れも水も何のそのの上級天使の服も、真っ白な大きな翼も、さすがに湿っぽく濡れていて、彼は一刻も早く浴室に飛び込もうと、自室へと急いでいた。
 だが、そういうときに限って邪魔が入るのが世界の理とも言うべきお約束である。わざわざ回廊を避けて中庭を突っ切ったというのに、案の定の足止めが起こった。
「あら、イザヤール。いいところで会ったわ」
 珍しく庭園を歩いていたらしい書記係のラフェットが、声をかけてきた。
「こちらは最悪のタイミングだ。見ればわかるだろう。急ぎでないなら後にしろ」
 そう言ってイザヤールはさっさと通り過ぎようとしが、ラフェットは「ケンカ友達」の遠慮の無さで、彼の前に立ち塞がった。
「急ぎよ!書庫の『悪魔の子と呼ばれた勇者』の本、もう何年借りているのよ!最近急に貸し出し希望者が増えてるんだから、早く返しなさいよね!」
「あー、わかったわかった、後で持っていく。ていうか、昨日や一昨日言ってもいいことだろう、なんでこのタイミングなんだ?!」
「今朝まで私が忘れてたのよ」
「おまえも忘れていたんじゃないか!」
 まったく、とぶつぶつぼやきながらイザヤールが行こうとすると、ラフェットは再び呼びかけた。
「あ、それから・・・」
「まだ何かあるのか!」
「セミロングの子のヘアアレンジも見てみたくて、ミミをうちで引き留めてるから、今帰ってもミミは居ないわよ」
「・・・あまり遅くまで引き留めずに、さっさと寮に帰せよ」
 内心残念に思いながらもなんとか顔に出さずに呟いて、彼はその場を後にした。では、今日はミミの「おかえりなさい」の微笑みが見られないのかと、疲労感が増した気がした。まあ仕方ない、ミミも女の子同士で盛り上がって楽しいだろうと自分に言い聞かせて、もうすぐ自室というところで、また声をかけられた。
「お、居た居た、イザヤール」
 長老オムイの側近の上級天使だ。珍しいな、緊急の用事かとイザヤールは気持ちを引き締めて、尋ねた。
「どうした?」
「オムイ様が、さっき重要なことを言い忘れたから、至急呼んで来いとさ」
「重要なことだと?」
 一体何事かと、イザヤールは急いで長老オムイのところに戻った。守護天使は、世界樹に星のオーラを捧げる前に長老オムイに地上での出来事を報告するのがしきたりで、今日の報告は済んでいる。その報告で、オムイ様は何か重大なことに気が付いたのかと緊張が走る。
「おお、イザヤール、呼び戻してすまんのう」
 しかし、オムイの表情は、緊張感から程遠くにこにこしていた。
「オムイ様、重要な件とは何事でしょうか?」
「うむ。・・・イザヤールよ、今日はかなり長く雨に打たれたようじゃから、入浴はシャワーだけではなく、ちゃんと浴槽に湯を張って温まるのじゃぞ」
 一瞬の間。イザヤールも、オムイの側近の天使たちも、危うくコケそうなくらい脱力した。
「そ・・・それだけ、ですか?」
「うむ。重要じゃぞ?いくら若いとはいえ、筋肉の冷えをないがしろにしたらワシくらいの歳になったときにぎっくり腰が・・・」
「失礼します」

 腰ではなく精神的に頭が痛みそうになりながら、イザヤールは今度は誰の呼びかけにも応じないというオーラを満々に漂わせて自室に戻った。今度は邪魔も無く無事着いたが、いつもなら待っていてくれるミミが居ないから、当然浴室の用意もされていないだろう。それは別に構わないが、今日はもう彼女の愛らしい笑顔が見られないと思うと、思わず溜息が出た。
 体を洗う間に浴槽にたっぷりと湯を張り、ざぶざぶと溢れるほど豪快に湯に身を沈めて、イザヤールはようやく人心地がついた気分で大きく息を吐いた。確かにオムイ様のおっしゃる通り、今日は湯に浸かるのが正解だなと、機嫌を直してくすりと笑う。風呂上がりに、冷やした炭酸泉の水でウィスキーでも割って一気に空けるのも悪くないな、と、天井を見上げた。
 いつもなら、湯上がりでもきちんとシャツまで身に着けて隙無くしているイザヤールだが、今日は少し暑い気がして、ズボンを履いた後は、首に無造作にタオルをかけただけで上半身裸のまま居間兼書斎に出た。そのまま飲み物類を置いてある「こおりのけっしょう」を詰めた戸棚に直行し、炭酸泉の水の瓶を取り出す。
 と、ここで彼は、部屋に他の誰かの気配を感じてテーブルの方を向いた。すると、トレイを抱えたミミが、ぽうっとした顔でイザヤールを見つめていた。目が合った途端、みるみる彼女の頬が真っ赤になっていく。
「あ・・・ミミ、来てくれていたのか」
「はい・・・。あの・・・ごめんなさい・・・」
「何故謝る」
 こちらこそ失礼したな、と、かすかな照れと困惑の表情でイザヤールは笑い、急いで寝室に引っ込んでシャツを着て戻ってきた。戻ると、ミミは相変わらず頬を染めたままうつむいて、ウィスキーを入れたグラスに、炭酸泉水を注いでいる。師匠の威厳形無しだな、とイザヤールは苦笑して椅子に腰を下ろしたが、ミミに会えた嬉しさで今日の疲れが全て払拭された気がして微笑んだ。〈了〉
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