すぴか逍遥

音楽・美術・読書・写真 など
さまよい歩いて書き留めたい。

夏目漱石の美術世界展 (つづき)

2013-05-16 23:35:42 | 美術
  夏目漱石の世界美術展(つづき)
         

  漱石文学と古美術から
   
   伊年《四季花卉図屏風》(部分)  17世紀(江戸) 東京国立博物館
   漱石が津田青楓にあてた絵の批評を、津田青楓が反論している。「鶏頭の
   赤い方の花はよろしいと思ひます。もっと思ひ切って大きく描いたらと思ひ
   ました。紫陽花はいけません。全然私もいやです。然し二三間の距離から
   たヾ色合いを眺めて御覧なさい。矢張り良いですよ。」

   ふーん、これ紫陽花ですか、その当時から博物館が所蔵していたので、漱石
   もこの絵を見ていたのだと思うと解説にありました。   
     
   左:与謝蕪村《漁父臨雨行》18世紀(江戸)(夢十夜)
   右: 渡辺崋山《黄粱一炊図》重美 1841(天宝12)年 (こころ)
      「こころ」よりの引用『渡辺崋山は邯鄲(かんたん)といふ画を描くために、
      死期を一週間繰り延べたといふ話をつい先達て聞きました。他人(ひと)
      から見たら余計な事のやうにも解釈できませうが、当人にはまた当人
      相応の要求が心の内(なか)にあるのだから、已(や)むを得ないと
      も云はれるでせう。』     

      旧仮名遣いで書いてあると、もう読むのがおかしくなりそう、明治時
      代の文章も思い出して作品を読むことにします。

  文学作品と美術『草枕』『三四郎』『それから』『門』から
     
   左:長沢蘆雪《山姥図》重文 1797(寛政9)年頃 厳島神社 
     奥山に住む鬼女山姥が金太郎を連れています。恐ろしい絵、でも目に焼きつい
     て離れません。(草枕)
   右:鏑木清方《秋宵》 1903(明治36)年 鎌倉市鏑木清方記念美術館
     清方が結婚間もない頃に妻照をモデルに描いたといわれている作品だそうです。
     なんとも初々しくすてきな絵です。(三四郎)
    
    浅井忠《雲》 1903年頃 静岡県立美術館
    この雲の絵に惹かれた。水彩だというけど、ほんとに噴出してくる様子見飽きな
    い。(三四郎)

  漱石と同時代美術から
     
     夏目漱石《文展と芸術》原稿 1912(大正元)年 岩波書店
     書き出しの部分は「芸術は自己の表現に始まって、自己の表現に
     終るものである」

     「文展と芸術」という批評を「東京朝日新聞」に連載した。
   
   佐野一星《ゆきぞら》 1912(大正元)年 京都市立芸術大学芸術資料館
   漱石はこの絵を「文展と芸術」で「二枚折りの屏風があった。其屏風はべた
   一面枝だらけで、枝は又べた一面鳥だらけであった。夫が面白かった」
と批
   評している、そうです。なんとうまい表現なのでしょう。わたしは見た瞬間
   いいなあと思っただけ。
   
   坂本繁二郎《うすれ日》 1912(大正元)年
   好きな画家坂本繁二郎が出ていると、見つめていました。何か胸がざわつく
   絵です。漱石は「此荒涼たる背景に対して、自分は何の詩興をも催さない事
   を断言する」と言いながらも、「それでも此画面には奥行があるのである。
   そうして其奥行は凡て此一疋の牛の、寂寞として野原の中に立ってゐる態度
   から出るのである。牛は沈んでゐる。もっと鋭く云へば、何か考へてゐる」

  親交の画家たちから
   
   樋口五葉《孔雀と印度女》 1907(明治40)年 鹿児島市立美術館
   うつくしい絵。
       
ジャンル:
ウェブログ
コメント (2)   この記事についてブログを書く
この記事をはてなブックマークに追加
« 夏目漱石の美術世界展 東京... | トップ | 文楽『曽根崎心中』をみました。 »
最近の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (oki)
2013-05-19 20:25:21
今日行ってきました。
空いてましたね、悲しいほど。
全展示室使って、所蔵品展なんてやらない。
僕は漱石が、同時代の画家を評したところが面白かったです。漱石辛口、批判も沢山する。
批判するくせに、漱石自身の絵は窮屈で、批判が跳ね返ってきそうなところがー。
Unknown (すぴか)
2013-05-19 21:46:00
okiさん
こんばんは。日曜というのにそんなにすいていましたか。
初日もガラガラだったけど。わたしの仲間は、芳賀徹さんが論文書いてるというので、みんな夢中、でもいつもより難しい。
けっこう入れ替えがあるので、又行くつもりです。
絵がずらっと並んで変な絵もあると思っていたら痛烈な批判、見てると漱石の好きな画家がわかって面白かったです。
今日は池袋のカルチャーで清川先生の講座いってきました。枕草子、プロの朗読つきでよかったです。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

美術」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事

トラックバック

この記事のトラックバック  Ping-URL
ブログ作成者から承認されるまでトラックバックは反映されません。