悲歡有時,聚散無期,世間離苦,都是願賭服輸

写真付きで 悲歡有時,聚散無期,世間離苦,都是願賭服輸。也不是所有的相遇,都是人約黃昏後;也不是所有的相思

けてやっとこに咲く雪

2017-04-20 12:01:47 | 日記


真っ直ぐに同僚を見つめる春美は、ふわりと包み込むような笑顔の孝幸の双眸に、不意に湧きあがったものを認めた。
これまで春美を見守るだけだった孝幸が、安堵したのか無防備に本心を告げていた。

「一つだけ、聞いてもいいか?里中は今も芳賀さんが好きか?忘れられないのか?」
「孝幸?一つじゃなくて、二つになってるよ」

からかうように明るく、腕の中で孝幸を見上げた春美を、孝幸の真摯な眼差しが捕らえる。

「里中……俺じゃ駄目か?あの人に比べたら、そりゃ俺じゃ雲泥だろうけど。渡したくないんだ」

酔いに任せて、衆人の前で好きだと叫んで以来、おくびにも出さない孝幸の気持ちを春美は知っていた。
知っていてやり過ごし、自分のことしか考えていなかった傲慢な自分。
目の前でドアを閉めたのは、先輩ばかりではなかった。

「ごめんね、孝幸。ありがとう、ぼくね、きちんと先輩に失恋してきたよ。だから、あっ……」

孝幸が抱き寄せるまま、春美は腕の中にいた。
毛足の長い孝幸のマフラーに春美の上げた声が吸われてゆく。
そっと孝幸の背に腕を回した。

「里中、里中……」
「うん。孝幸……寒いのにずっと待たせてごめんね」

大きな身体の孝幸が覆い被さるように、春美を包み込む。

「温かい……いつも、孝幸が傍にいてくれたね。分かってるよ」

孝幸の触れた場所から、熱がじわりと広がってゆく気がする。
聡一は春美を、自分に降り積む雪だと言った。
自分が真夜中に降る雪なら、孝幸はそ割り草だ。
冷たい春美の凍えきった心に、ほんのりと大地の息吹く温かみがともる。
勇気を出して先輩についていった時さえ、孝幸はマフラーに思いを込めて巻いてくれた。

一つの魂を求め引き合うように、創造主は地上に三種類の人類を作った。
男に惹かれる男、女に惹かれる女、異性に惹かれる男女。
引き離された半身を恋うるように互いを求め合い、時間をか片割れを手に入れた二人は、欠けた相手を探り貪るように埋めあった。
一つ息を吸う。
一つ息を吐く。
二人で一つに解け合う神聖な儀式。

春美を固く抱き締めたまま、孝幸は長い間、声もなくじっとしていた。
長い彷徨の末にやっと手に入れた愛おしい者を、手を離せばまた失うと恐れているようだった。
肩に頭を埋めたまま、孝幸の低い嗚咽が響く。

「孝幸……?ねぇ、もうぼくはどこへも、行かないよ……?孝幸?」
「……春美」
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