文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization on September 2016

日本の時間、世界の時間。
The time of Japan, the time of the world

決済能力のない通貨を持ち、国際的な融資をした経験もない国が国際銀行をつくるというのは滑稽でしかない。

2017-06-19 09:31:01 | 日記

以下は前章の続きである。

これまでは、たとえばギリシャやスペイン、ポルトガルのような技術的後進国は、優秀な技術や機械をどんどんドイツから買っていた。

普通ならば関税がかかるが、EU(欧州連合)になったものだから、それもかからない。

丸儲けである。

ところが最近では、EUの各国とも破産寸前でモノが売れなくなってきた。

イギリスもフランスも同じようなものである。 

それでロシアに目を向けて販売拠点をつくったところが、ロシアの外貨収入のほとんどは石油や天然ガスだけだから、原油の突然の暴落とウクライナ問題で経済制裁を受けてロシアに購買力がなくなってしまった。 

そんなときに、自分たちの国のものを買ってくれる唯一の可能性のある中国に誘われたら渡りに船である。

欧州の国にとってどうせ出す金はわずかなものだし、アジアの軍事的脅威など彼らには興味がないから、とりあえず入っておこうというさもしさから参加しただけのことだ。

中国の機嫌を損ねない程度にお付き合いして、市場を確保しておこうというわけである。 ところが日本とアメリカはほかの国とは立場が違う。

まず軍事問題が無視できない。

それに日本とアメリカはIMF(国際通貨基金)とADB(アジア開発銀行)の最大の出資国である。

そこから金を借りて返さない国が新しくつくる金融機関など話にならない。

だから、いかにも日本とアメリカが金融界で孤立したようなことを言うメディアがあるが、あの傲慢な中国が、ことA11Bに関しては実に腰が低い。

安倍総理との会談の席でも、習近平は以前の仏頂面とはうってかわってつくり笑いを浮かべていた。

日本が参加しなければ動きがとれないからである。 

さらに、中国の元は国際通貨ではない(編集部注。「元」はその後「国際通貨」入りした)。

国際通貨は現在ドル・ポンド・ユーロ・円の四種類で、スイスフランも通用するかもしれないが、規模が小さいから、国際的に決済できるのはこの四つだけである。

習近平は「大中華帝国」の夢のために「元通貨圏」をつくりたいのだろうが、そもそも元を国際通貨にするには固定相場制を廃して自由にしなければならないが、そうしたら中国経済は大変なことになる。 

決済能力のない通貨を持ち、国際的な融資をした経験もない国が国際銀行をつくるというのは滑稽でしかない。

だから、日本は名誉ある孤立を守り、これについてもジッと見守っていればいいのである。

このバスには乗り遅れてもよいのだ。

中国共産党がハンドルを握っている危険な金融バスなのである。          

(『歴史通』二〇一五年七月号初出)

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