以下は前章の続きである。
雪崩を打つように
長谷川
どうやら「総理のご意向」という文言が一カ所であろうと見つかって、「これは!」と一気に盛り上がってしまったんではないかと思います。
内心「見たい」と思っていたものが、「見えた」ような錯覚に陥ったんじゃないか。
仮に歯止めをかける人間がいたとしても、その場の雰囲気の中で一気に押し切られてしまったのではないでしょうか。
加計学園理事長の加計孝太郎氏は、安倍首相の年来の友人であるということだし、50年以上も事実上禁止をされていた獣医学部が開設される。
これは関連付けられるだろうという頭になってしまっていた。
「加計氏と安倍首相が何かつながっているような事実関係をとにかく探せ」ということで、複数の人たちが一所懸命取材した事実があるんです。
「どういうことでもいいから、一緒にいた光景を見たことがないか」などと、必死になって探していたという前提がある。
そこへ「総理のご意向」が含まれている、いわゆる前川文書が出てきたものだから、これだ、とピートアップしてしまった。
高山
御著の中に唐木英明氏という名前が出てきます。
彼は東大名誉教授で、獣医学部新設を支持していた。
そんな彼に朝日新聞は取材に行っている。
長谷川
もっぱら安倍晋三-加計孝太郎のつながりを根掘り葉掘り問うだけで、両者の人間関係については知らない唐木氏としては答えようもなく、この朝日記者たちは無駄足を踏んだようです。
取材に行った人間は優秀な記者だったようですが、「二人が一緒にいるところを見たことがありませんか」といったことばかりを聞いて帰ってしまったようです。
この稿続く。