文明のターンテーブルThe Turntable of Civilization

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このミトロヒン文書は、ソ連のKGBの諜報活動についての、文字通り「最上級の超一級史料」である。

2018年04月10日 11時15分31秒 | 日記

ミトロヒン文書についての記事としては、前章でご紹介したウィキペディアの記事よりも、私がさっきネットで発見した「日本のマスメディアに向けられた外国の工作活動の実態」と題したkironitatsu.blog.fc2.com/blog-entry-83.htmlさんのブログの方が文章の書き方も含めて正確でしょう。

「電子マガジン」言志Vol. 4 が最近発売されましたが、その中に藤井聡氏が、ソ連のKGBによる諜報工作について衝撃の内容を書いてくれています。その引用を含めて、内容をご紹介します。

ミトロヒンとは、ソ連崩壊直後の1992年、ソ連からイギリスに亡命した元KGB職員である。彼は、イギリスの諜報機関MI6の助けを借りながらイギリスに亡命する時に、実に「6つの大きなコンテナ」に詰め込んだ機密文書を、MI6に手渡した。

このミトロヒン文書は、ソ連のKGBの諜報活動についての、文字通り「最上級の超一級史料」である。アメリカのFBIは、このミトロヒン文書について『これまでに得た情報では、最も完璧で、広範囲に亘り網羅している』と評し、同じくアメリカのCIAは『戦後最大の防諜情報の宝庫』と表現している。

ミトロヒンはソ連からイギリスに亡命するにあたり、大きなコンテナ6つ分にも及ぶ膨大な機密文書を持ち出したわけですね。これだけあれば、丹念に分析すれば、ソ連の諜報活動の全貌が見えてくるのは当たり前かもしれません。それでCIAが戦後最大の防諜情報の宝庫』だと言っているということなのでしょう。

さて、このコンテナ6箱分の大量の文書はその後、MI6を中心に分析が進められた。分析にあたっては、「諜報活動史」に関する学術研究を専門に取り扱っているケンブリッジ大学のインテリジェンスセミナーの一流の研究者をはじめとした世界中の英知が集められた。そしてその分析内容は、「Mitrokhin Archive」「Mitrokhin Archive II」という一般書にまとめられ、今や、誰もが入手できる一般の洋書として販売されている。

これらの書籍では、アメリカ、イギリスをはじめとした世界各国で、KGBがどの様な諜報活動を進めていたのかがまとめられている。そして、我が国日本におけるKGB活動の概要は、「Mitrokhin Archive II」の中の一つの章「JAPAN」に収められている。

何と、日本に対するKGBの活動の概要もまとめられているのですね。では実際にはどんな内容だったのでしょうか。

その章「JAPAN」の中には、日本社会党や共産党に対してKGBがどれだけ直接的な支援を行ってきたか、政府の外務省の中にどういう工作員を潜入させ、その工作員の活動によって、日本の政治にどの様な影響を及ぼしてきたか、さらには、産業スパイをどの様な手口で行い、それによって、どの様な利益をソ連が得てきたのか――といった諸点についての分析結果が収められている。

政界のみならず、産業界にもKGBの活動が及んでいたということですね。ということは、ソ連との外交交渉においてソ連側の利益になるように日本政府をコントロールしていくということも行われていた一方で、産業スパイも大いに活躍していたということなのでしょう。

さて、日本に対する工作は、政界と産業界だけだったのでしょうか。実はこれに加えてもう一つ重要な工作対象があったようです。それは一体何でしょうか。

そうした情報の中に、「マスメディア」に対してKGBが展開してきた工作活動も明記されている。

なるほど。マスメディア対策も行われてきたのですね。では、どのような対策が講じられてきたのでしょうか。

『Mitrokhin氏のファイルには、1970年代にKGBのエージェントして活動した、少なくとも5人の日本人記者の名前が挙がっている。(これには日本社会党の出版物は含まれない)
・朝日新聞の記者、コードネーム「BLYUM」
・読売新聞の記者、コードネーム「SEMYON」
・産経新聞の記者、コードネーム「KARL (またはKARLOV)」
・東京新聞の記者、コードネーム「FUDZIE」
・日本の主要紙の政治部の上席記者、コードネーム「ODEKI」』

朝日新聞のみならず、「反ソ」のイメージの強い読売新聞や産経新聞にもKGBのエージェントが活躍して、情報工作に従事していたということが明らかにされているのですね。そして、朝日新聞については、以下のような記載があるのだそうです。

『日本の最大手の新聞、朝日新聞にKGBは大きな影響力を持っている』

『朝日新聞にKGBは大きな影響力を持っている』とはどういうことなんでしょうか。

このことは、上記の「BLYUM」という朝日新聞内部の工作員が、朝日新聞内部で大きな影響力を持っていたこと、あるいは、BLYUM以外にも朝日新聞内部に複数の工作員が存在していた可能性を示している。

なるほど。そう考えるのが適切なんでしょうね。

では、全体ではどのくらいの工作員が日本の新聞社内で活躍していたのでしょうか。

『1972年の秋までには、東京の「LINE PR」の駐在員は31人のエージェントを抱え、24件の秘密保持契約を締結していた。特に日本人には世界で最も熱心に新聞を読む国民性があり、KGBが偽の統計情報等を新聞に流すことにより、中央部はソビエトの政治的リーダーシップに対する印象を植え付けようとした』
(藤井聡氏の注:「LINE PR」というのは、KGB内部の諜報組織である)

日本の新聞社の中に、ロシア関連の記事を担当する記者が果たしてどのくらいいるのかを考えれば、この数はかなり大きいとみるべきではないでしょうか。記事にする際には、社内の「ロシア通」に確認を取るということも恐らくやっているのだろうと思いますが、そうした「ロシア通」がみな工作員だったとしたら、工作の影響は新聞社が出すロシア関係の記事全体に及んでいると考えても、あながち間違いともいえないのではないかと思います。

では、メディアに対する工作は、日本の世論操作のためだけだったのでしょうか。どうもそうではないようです。

メディア関係者の中でも特定のコネクションを持つ者は、なかなか一般には公開されない政府情報にアクセスできる、という特権が、一部のメディア関係者にはある。KGBは、こうしたメディアの特権を、工作に活用したのであった。

『日本の諜報情報の主要拠点である東京の駐在員が不在の1962年~67年の期間中、最も成果を上げたエージェントは、東京新聞のジャーナリスト、コードネーム「KOCHI」であった。彼は内閣や外務省のおそらく機密文書ではなかったが、相当上位のゴシップにアクセスできていた』

なるほど。政府高官の動きまでしっかりと把握されていたわけですね。

では、こうして得た情報を、ソ連はどうやって本国に報告していたのでしょうか。ここで意外な手段まで活用されていたことがわかります。

『ジャーナリストのROYが書いた記事は、諜報情報の連絡において非常に貴重であった』

なんと、新聞の紙面をそのまま諜報情報の伝達手段としても使っていたというわけです。日本政府もマスコミも随分となめられたものです。

そして、マスコミにおける工作員の役割は、さらにもう一つあります。

『彼(藤井聡氏の注:上述の工作員ROY)は中国で諜報活動を行った日本での諜報活動のパートナーでもあったKHUNの採用に尽力した』


普通の日本の記者たちも、工作員として組織されていったというわけです。では、こうした記者たちはどうやって工作員となっていったのでしょうか。

『メディアに属するKGBのエージェントの殆どは、主に動機が金目当てだったであろう。』

仲良くなり、一緒に食事をとるようなこともある中で、「いろいろと教えてもらったので、今日は驕りますよ」みたいなことが恐らくは出発点となったんでしょうが、結果としてはお金をもらう関係になっていったということですね。

そして、そういうケースが多いものの、もちろんそのようなケースばかりではないようです。次のようなケースも書かれています。

『Mitrokhin氏の資料には、「SEMYON」については1970年代の初めにモスクワを訪問中、「彼は、不名誉な資料に基づいて採用されることとなった」とある。それは闇市場での通貨の両替と、不道徳な行動(KGBの「甘い罠」の1つである)であった』

「SEMYON」とは先にも挙げた読売新聞内のKGB工作員のことです。KGBから罠を仕掛けられて弱みを握られ、工作員にさせられてしまったというわけです。

どうも日本のマスコミというところは、外国の諜報活動に対する警戒心が希薄すぎるのではないでしょうか。それゆえに、外国勢力が流したい方向に情報が統制され、それによって日本国民の利益が損なわれていくということが普通に行われているのでしょう。
「平和主義教育」にどっぷりと漬かってしまい、日本に対して外国が悪意を持って工作活動を行ってくるという当然の想定を考えないままに、マスコミ人として行動しているというところはないでしょうか。

さて、私たちが日頃新聞を読んでいて、報道の中に強い影響力を与えているんじゃないかと疑いを持つ国としては、恐らくは、ロシアよりも中国や韓国や北朝鮮やアメリカの方を想起される方が多いと思います。

政府がマスコミのあり方に口を出すのはもちろん慎重でなければならないところもありますが、具体的な証拠に基づいて政府がマスコミを追及するようになることも、実は必要なのではないかと思います。
例えば、北朝鮮の関連団体に民主党側から2億円を超える献金を行っていたことは、時の総理である管直人氏自体が国会で認めたことでもあるのに、マスコミによって大きく取り上げられることはなく、今なおこの事実を大半の国民が知らないままだと思います。
こうした事実を例示して、マスコミには外国勢力の影響が強く浸透しているのではないか、それが報道を大きく歪めているのではないかという提起を、政府自身が行うべきだと思うのです。
そしてこうした行動によって、少なくとも、今のマスコミに対する信頼を失墜させること自体が大切ではないかと思う次第です。

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