今年の映画初め。山田洋次監督の『母と暮らせば』を見ました。
山田洋次ということと、原爆の映画だということくらいしか前知識なく行ったのですが、不覚でした。
あんなに泣く映画だと思っていなかったので、ハンカチもティッシュも持っていませんでした。
特に泣かせてやろうとか、戦争はひどいとかいう訴えを一生懸命やっているわけでもないのに、
序盤からもう涙が止まらなくなってしまいました。
何気ない母子の対話から、戦争で失った幸福が彷彿とさせられて、悲しくて仕方なくなってしまうのです。
さすが山田洋次。
「どうしてあの子だけが幸せになるの。あなたと代わってくれればよかったのに」
終始穏やかでいい人だった吉永小百合が、終盤、息子の元彼女に対してつい漏らしてしまうセリフ。
これは後から山田監督が付け加えた言葉だったらしいですが、震えました。
誰も悪くないのに、こんな風に人と人を断ち切り、孤独に追い込む戦争は、なんて恐ろしいものなのか。
映画館から出た後、トイレに入ってからも、まだグシュグシュ泣いてしまうほどの悲しさでした。
「母と暮らせば」というタイトルは、なんだか地味だなあと思っていましたが、
井上ひさしの「父と暮らせば」という戯曲にちなんだものだとか。
そういえばなんとも舞台っぽい設定や台詞まわしだなあと思いました。
そのうち舞台でもやるのかもしれませんね。