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感想:猫好きから見た、キャッツ(劇団四季)

2019-09-14 12:36:34 | 歪んだ批評

劇団四季のキャッツを観ました。感じたこと、私にとって良かった事なんかを綴ります。

良くも悪くも、話の筋が殆どない作品だと思います。話を端的にまとめれば20分で描けそうです。これは良くない部分に捉えられますが前向きに捉えれば、話の筋はあまり気にしなくて良い、とも考えられます。本筋以上にもしかしたら各猫たちの個々の猫たちのストーリーに力を入れているのかも知れません。

キャッツからは、兎に角驚かせよう!楽しませよう! という気概を感じます。

天井からこうやったら、驚くよね! とか、ここが開いて猫が出てきたらびっくりするでしょ! とか、猫のようにお客さんと目があったらじっと見つめて目を離さない! とか。こっちにいた猫が、別のところからいきなり出てきたら驚くよね! とか。

 

規模は大きくても発想は小劇場、みたいな感じを受けました。

休憩時間中に舞台見学できたら喜ぶんじゃないか! とかね、セットと客席が動いたらビビるでしょ! とか、キャスト全員で握手して回るんだ! とか。映画じゃできないことをこれでもかこれでもか! とやる訳です。ミュージカルというか、体感型のアミューズメントパークのようなもので、シルクドゥソレイユなんかの感覚に近いかも知れません。

 

猫好きからみたキャッツ

いいか!お前は猫なんだ! 猫がそんな動きするか? 猫だったらどうするか、考えろ! とか檄が飛んでそうです(勝手な想像)。実際の猫好きからすると「猫はそんなに動かないよ」というところなのですが(笑)、猫としてのイメージ通りの動きだと思います。だらんと休んでいる姿も本物の猫見て研究したんでしょうね。難しいのは、機敏な動作を下手にやると猿に見えてしまうこと。体の構造の問題ですね。腕を水平に開くのも、猫としてはできるのですがイメージにそぐわなかったりして、そういう動きはなるべく入れないようにしている気がします。歩くときの足の動き一つとっても、そういう動かし方はしないけど猫のようだ、という動きが取り入れられている気がしました。そうそう、面白いことに、一般的な猫の仕草「毛づくろい」「耳の後ろを掻く」「ニャーと鳴く」などはやりません。江戸家猫八さん江戸屋子猫さんも失業です。


昭和の香り

どこまで残っているかわかりませんが、浅利慶太さんの痕跡を感じる気がします。たまに演劇やミュージカル、歌舞伎なんかもそうですが、何が大事かなあ、と思うことがあります。キャッツにはとても大事なものがたくさん含まれている気がしました。勇気も貰いました。


【感想】ピラピラネッパ その2

2019-06-30 18:37:13 | 歪んだ批評
【感想】ピラピラネッパ その2
※僕の感想は、内容よりも変な部分にフォーカスされています。

新宿眼科画廊での公演ですが、きちんとライトが持ち込まれており、壁パチパチ照明ではありません。客席の作りも「小劇場」となっていて、なかなかこれは良い感じです。



電源が安定せずかなり苦労されたそうですが、それだけの効果は十分あったと思います。笑いって、いろいろな要素がありますけど、オーバースペックな技術による笑いというものがあると僕は思っておりまして十分そこにハマったのではないでしょうか。
※とはいえ、僕が眼科画廊でやるとなったら、きっと壁パチパチ電気で行きます(笑)。

「日常のちょっとした事を」と作家の梅咲さんは仰ってましたが、私からするとかなり非日常の発想です、はい。
「脱皮」なんかは僕もそのお題でやりたいです。

それにしても役者さんがうま過ぎますねえ。唯一のお笑い芸人 ノンタクトさんも演技力が格段に上がっておりまして、うっかり感動するところでした(笑)。

端々に作・演の女性らしさを感じます。まあ、私の勝手な「女性作家像」なのですが、きちんと細かいところまで設定してあったりするんだと思います。
あと、女性らしい「共感という笑い」も見受けられました。要は「あるある」でしょうか。
現地に入って、照明を実際に操作して「こんなこともできる!」なんて気づきもあったそうで、羨ましい限りです。

今回、年齢の若干高めな役者さんを起用することができて、今まで寝かしてきたネタを披露することができたそうです。いろいろな要因でコントの幅が広がった公演ということになるのでしょうか。とても楽しく拝見させていただきました。

感想:翔んで埼玉

2019-03-10 21:31:53 | 歪んだ批評
認めたくないのですが。面白いです。チッ。

「アリータ: バトル・エンジェル」をブチ抜いてトップに躍り出た「翔んで埼玉」。まあその天下もドラえもんに譲ることになるのですが、それにしても認めたくないものです。三日天下じゃん、ぶちぶち(負け惜しみ笑)。

映画だの何だのに全く興味がなかった私がビビって狂ったように観た映画が T2 です。ですから、その監督であるジェームズ・キャメロン氏が関わったアリータは、私にとって、とても大切な映画でした。アリータは若干、絵のような画像があったり、長すぎたりという欠点はあるものの、それでも私にはとても嬉しい作品でした。それを…訳も分からぬ埼玉映画なんぞに…。

という事で確認のために観たのですが…素晴らしい。

後半が若干、いらないかな〜ではあるのですが、とても楽しかったです。

埼玉がスクリーンに映された時の映画館のざわめき。笑いではなく、騒めき。観客の心が漏れ聞こえる映画って楽しいです。もっと増えてくれるといいなあ、こういう映画。

おふざけ映画ではありますが昨今の青春グダグダ映画(例えば:斉木楠雄のΨ難)とは違った面白さだと思います。青春グダグダ映画はそれはそれで喜んでいる人たちがいるので、ターゲットが違うのでしょうね。

よく分からないんですけどね、翔んで埼玉、真面目な作りだった気がするんです。
景色が、一生懸命だったり、衣装も一生懸命だったり。

埼玉じゃなくて知らない国の名前がついてたら、それなりに納得した気が…しなくもないのです。
人間関係とかそういったものがきちんとベタですが、面白かった気がしました。物語として。
ただ、ベタだから後半に行くに連れ笑わせるものが減ってゆくと、何となくさみしい気がしました。

それでも、とても面白くて、よかったと思いました。

Needs?

2019-02-24 20:55:20 | 歪んだ批評

アリータを見ました。すごく面白かった。なんで日本人はこう云う娯楽に満ちたものを作れないのかなあ、と思いつつ、おや、原作は日本じゃないですか、と笑ってしまうが、海外の評価を見て笑ってしまった。

 北米最大の映画レビューサイト、ロッテントマトでの評価
 評論家スコア  60
 一般観客スコア 93

全く…評論家というのは…。

いや、気持ちはわかる。アクション中心の映画と、心に訴えかける哀しみの大きい映画なら後者を「素晴らしい映画」と位置付けたい。
潜在的に抱えている心の、誰もが気づいているが気にかけないようにしている繊細な部分を詳らかにし、それを嘆いたり笑い飛ばしてみたりして心に寄り添う…そんな映画を「素晴らしい」としたい気持ちはよく分かる。

先日、「テレビドラマや映画にタバコのシーンを入れるのはやめろ!と言うのは現実と作り物の区別がつかない思想だ」と言うツイートがバンバン飛んでいた。
飛んでいたっつっても2〜3件だけど。

過去に作ってしまった映画で、タバコのシーンをわざわざ消す必要はないと、僕も思う。まあ、本気で頑張れば消すこともできるだろうとも思う。

ただ、「タバコのシーンをこれから撮る作品に入れたい」となるとちょっとうーんと思ってしまう。
作り手の「タバコは雰囲気があってイイでしょ」と視聴者の「タバコ見たくないなあ」と言う感覚の違いは、僕なんかは見たくないなあ、と見なくなってしまう気がするんだ。

アリータは、エンタメに舵を振り切った映画で、少なくとも学生さんたちに「これ、素晴らしいですよ!」とは薦められない(すげ〜面白いよ、と言う薦め方はできる)。
でも、観客を喜ばせるならこっち、とか、技術的なことで見るべきはこっち!とか思う訳です。

アクションばかりじゃないか! CGじゃないか!
なんですけど、アクションはその一流の方々が、CGにしてもその表情を作った役者が裏には居て、同じ技術でエンタメ映画を作り上げているのだと思います。

エンタメという形にするか、芸術という形にするか。どちらが有用でどちらが人々を喜ばすことができるか。
どちらのチケットを多く買い、どちらのグッズを買い求め世の中を回してゆくのか。

最終的に、どちらが人に喜ばれたのか。その辺、もうちょっと日本の作り手さんたちにも考えてほしいな。



感想:人魚の眠る家

2018-11-18 22:42:50 | 歪んだ批評
とても素晴らしい出来の映画でした。
涙が止まらず、要所要所で恐ろしくもあり、美しく。辛く。

同じ事柄が、人によってこんなにも受け止め方が違い、こんなにも簡単にひっくり返ってしまうのか、という恐ろしさ。
とてもとても、見応えのある映画でした。


昔の話ですが、私はハムスターを飼っていました。

ハムスターは、最後に目が飛び出そうになる程膨らみ、魂を吐き出して命を終えました。

私がハムスターを埋めなければと思っていた時、「このまま飾っておくことはできないか?」と言われました。

死んでもその姿は寝ているかの様でしたが、その言葉には非常に驚いた覚えがあります。
そしてこの時、僕は 「もしかしたら毛皮はそのまま残りつづけ、その姿が保たれるかも?」 と一瞬躊躇したのです。
1分もない時間でしたが、本当に悩みました。

しかし、きっと酷い状態になる。酷い状態になってきた時に、果たして「やはり埋葬しよう」と言えないのではないか。


映画を観て、色々な角度から、色々な立場で涙が出ました。
素晴らしい映画だし、色々な方が良い映画だ、とネットで見るたびに「そうだろうそうだろう」と思います。

ちょっとわがままを言わせていただければ…僕はポップコーンを食べながら馬鹿笑いできる映画をそろそろ観たいなあ、とも思いました。
崇め奉っている監督が褒められるのはとても嬉しいんだけどね。